韓国が中国に人工降雨実験の共同実施を提案したらしい話

以前、韓国で大気汚染問題の対策として、国外(中国)由来の微細粉塵を人工降雨によって洗い流す計画についての記事を取り上げました。
1月に行われた第一回の降雨実験は失敗に終わっています。

該当の記事はこちら↓ ebiss.hatenablog.com


年内に計15回の実験を計画しているとのことだったので続報を待っていたんですが、その前に中国へ人工降雨の共同実験を提案したという報道が出てきました。


深刻化している韓国の大気汚染

3月に入って韓国国内の大気汚染レベルが極めて深刻な状況になっています。
粒子状物質非常低減措置が7日連続で発令されています。

粒子状物質非常低減措置とは、公共機関の職員が利用する車両を制限したり、工場の操業時間を変更・短縮するなどの措置をとることです。

「国内の粒子状物質(日本で言う微細粉塵)排出量を30%削減する」と公約で掲げていた韓国の文在寅大統領でしたが、この非常事態に5日までだんまりを決め込んでいたようです。

で、そのだんまりを破って出てきたのが「中国と協議して共同で人工降雨実験を行う」というものです。



中国と韓国の見解は食い違っている

前の記事でもお伝えしましたが、韓国国内において汚染物質の大半は中国由来というのが通説です。
韓国の専門家は韓国国内の汚染物質の30-50%は中国由来で、多いときは60-80%に達するとしています。

もちろん中国側は否定しています。
中国生体環境部の司長は「大気汚染は地域性の問題。特定の時間帯、特定の地域で、同じ空気の流れがあれば、その地域内で汚染物質は互いに影響し合う」「大気汚染問題に取り組むのに特に大事なのは、現地の排出削減対策である」と反論しています。
更に、「2013年以降、中国の重点地域の大気汚染は40%以上改善している。一方、公表されているデータによれば、韓国のPM2.5の濃度はほぼ横ばいか逆にやや悪化している」としています。


このように、両者の主張が真っ向から対立している状態で、中国が韓国の申し出を受けて共同実験などあり得るでしょうか?

韓国が主張するところの汚染源である中国と共同実験って…中国側が韓国の主張を認めなければ実現しないと思うのですが、どうでしょう?

しかも、人工降雨のノウハウについては韓国より中国の方が上です。
中国側からしたら、韓国と協力するメリットはそう大きくないのではないでしょうか。


現時点では、韓国大統領府が「中国政府と協議し、共同で人工降雨などの緊急対策を取るよう関係部署に指示した」と報道されています。
一部では「政府は西海(ソヘ、黄海)上空で中国と共同で人工降雨を実施する案を協議し、年内に共同実験を推進する計画だ」と、中国側から確約を取り付けられることを前提としたかのような報道が出ていますが、現時点で中国側は返事をしていません。



人工降雨による対策は博打

人工降雨は未だ確立されていない技術です。
しかも大気汚染対策としてどの程度有効かも実証されていません。
そもそも韓国の国内汚染物質が本当に中国からの飛来物なのかもはっきりしていません。

不確実要素が多すぎるというのが現状です。


既に大気汚染が看過できないほど深刻化している中で、国内の車両の4割を占めると言われている古いディーゼル車の規制石炭火力発電所の見直しなど、地道だけれども確実性の高い対策を放置して人工降雨による一発逆転を狙うなんて、博打以外の何物でもないと感じます。

仮に人工降雨技術が確立されたとして、大前提となっている「韓国国内の汚染物質の30-50%程度は中国由来」が間違っていたら、何の解決にもならないわけです。

自衛には限界があります。その頃には肺がんや気管支喘息が国民病と言われているかもしれません。



まとめ

大気汚染対策というのは日本も他人事ではありません。

特に、一部東北地方や日本海側では九州や関西の都市部より数値が高く出ることがあり、偏西風に乗って大陸や半島から流れてきている可能性が指摘されています。

正直な話、日本からすると中国だけでなく韓国も大気汚染物質の発生源です。
韓国の主張通り「30-50%が中国由来」であったのなら、残りの「70-50%は韓国由来」として発生し、偏西風に乗って日本へ向かうわけですから。

韓国の大気汚染対策の迷走は日本へ不利益をもたらすかもしれません。しっかりしてもらいたいところ。


韓国都市部へ旅行や出張で行かれる方はマスクをお忘れなく。
メガネもあると良いかもしれませんね、花粉症用の目をすっぽり覆うゴーグルタイプのものをおすすめします。最近100均などでも取扱があるようです。