昨年、韓国の統一部が外交部の反対を押し切り、南北交流事業に関する制裁免除の嘆願書を米国に送付していたことが分かりました。
統一部と外交部の足並みが揃っていないようです。
朝鮮日報さんの報道です。
韓国の統一部が要求していた制裁免除の内容は、「開城(ケソン)満月台(=高麗王朝遺跡)共同発掘」のための重機搬出です。
北朝鮮側の作業員は重機がなく、手作業で地面を掘っているので負傷者が相次いでいる、といったような内容だったそうです。
外交部は難色を示したそうですが、最終的に統一部に押し切られる恰好で「米韓ワーキンググループ」の議題に上げられたのですが、アメリカが制裁免除に同意しなかったため重機は搬出できなかった、とのことです。
更に記事の後半では北朝鮮にも拒否されています。
統一部は人道支援として米国を説得し、インフルエンザ治療薬「タミフル」を届けたようなのですが、北朝鮮側から受け取りを拒否されたそうです。
これに対して、大統領からのプレッシャーを受けた統一部が無理に「南北交流」を推進しようとしている、という見方が出ているようです。
統一部のやり方を見ていると、かつての中国や韓国に対する日本のやりようを彷彿とさせるところがあります。
かつての日本外交は「豊かになれば彼らは変わる」という考えだったように思います。
ひたすら「飴」を与え続けて、経済的に豊かになればやがて日本に感謝するだろう、過去は水に流すだろう、と。
そしてそこには少なからずアメリカからの要請もあったことでしょう。
韓国は今、同じことを北朝鮮にやっているように思えます。
ただし、アメリカからの要請はないでしょうが。
「豊かになれば、それを与えた韓国に涙を流して感謝するだろう、韓国のことを好きになり、韓国のようになりたいと心から願うだろう。
それこそが平和による南北統一だ」
と、いうのが統一部の見解なのかもしれません。
ところで、韓国が与えようとしている支援というのは誰に渡っているのでしょう?
かつて日本が行った経済支援は、直接韓国人を助けたでしょうか?
当時、韓国は軍事政権でした。
強力なトップダウン体制は今の北朝鮮と変わりません。
韓国では日本からの支援は殆ど顧みられることはありませんでした。
北朝鮮でも恐らく同じではないでしょうか。
北朝鮮が今一番望んでいるのは経済制裁の解除より、現体制の維持と思われます。
民主化された韓国での悲惨な国家元首(大統領)の末路をずっと見てきたのが北朝鮮です。
同じ轍は踏みたくないはずです。