徴用工・挺身隊関連の訴訟の話

連続で取り扱うのはダルいネタなのですが、今の所の状況をザックリまとめておきます。


4月4日にソウル中央地裁と、4月29日に光州地裁に追加提訴のされた日本企業はそれぞれ4社9社です。(重複あり)

そのうち日本製鉄さん(18年10月30日)と三菱重工さん(18年11月29日)は既に過去の訴訟で賠償命令の判決が確定しています。(カッコ内は判決確定日)
この2社と不二越さん(判決は未確定)については資産差し押さえ命令が出ました。

ついで、5月1日には日本製鉄さんと不二越さんの資産売却手続きが裁判所に申請されました。


企業名 判決 状況
日本製鉄(旧「新日鉄住金」) 2018/10/30 4/1 ソウル中央地裁に追加提訴
5/1 資産売却申請
三菱重工業 2018/11/29 3/25 資産(特許)差し押さえ
4/1 ソウル中央地裁に追加提訴
5/1 韓国内資産の情報開示請求
不二越 4/1 ソウル中央地裁に追加提訴
5/1 資産売却準備申請
三菱マテリアル 4/29 光州地裁に提訴
日本コークス工業 4/1 ソウル中央地裁に追加提訴
4/29 光州地裁に提訴
住石ホールディングス 4/29 光州地裁に提訴
JX金属 4/29 光州地裁に提訴
西松建設 4/29 光州地裁に提訴
日立造船 4/29 光州地裁に提訴

※判決日は確定判決が出た日付
※状況の日付はすべて2019年


判決が「未」のものについても、賠償命令が出るのは既定路線と思われますが、まあ一応…。
訴訟が多岐に渡りすぎていて分かりにくのですが、4月の追加提訴は昨年の確定判決が出たものとは別の訴訟になります。


三菱重工さんに関して、韓国内の資産の情報開示を要求しているのは、差し押さえている資産が「特許」しかないためでしょう。
既に三菱重工さんは、韓国での事業を撤退しています。
差し押さえの時点では「8千万相当」と報道されましたが、特許は競売に掛けられます。
売れなければ現金化は難しいわけで、韓国内でしか使えない特許は売れる見込みが少ないのですね。(状況は日本製鉄さんや不二越さんの非公開株と似ています)
まあ、三菱重工さんが「買い戻したければその額で」という提示金額だったのかもしれませんが。


その他の企業さんについては、まだ詳細が分かりませんが、三菱マテリアルさんについては韓国内の資産はクリーンなようです。
少なくとも合弁会社やグループ会社の存在は確認できませんでした。
韓国企業の有価証券を持っていたら狙われるかもしれませんけれども、三菱重工さんの事例がありますから、以前から三菱グループ内で韓国司法に対する警戒心は相当高まっていた可能性があります。


日本コークスさんは三池炭鉱、住石ホールディングスさんは庄司炭鉱、忠隅炭鉱を経営していた住石マテリアルズさんの親会社です。
徴用工が強制連行を主張する際に好んで使う「炭鉱業」からのエントリーです。


原告側は韓国内の資産の有無は確認せずに片っ端から訴えるつもりのようですね。
他にも537件の訴訟の要望を受け付けたそうです。

実際に着手されるのがどの企業になるのかは分かりません。
というのも、昨年の日本経済新聞さんの報道では、訴訟は既に70社に及んでいるはずなのです。(対象企業は全部で299社あるとか…)
が、その多くの企業では「訴状が届いていない」状態だったとか。

ちょっと追いきれないので、追加報道が出次第、表を埋めていこうと思います。