韓国経済の話2です。
今回は、主に株価と為替の関係について見ていこうと思います。
貿易依存率と為替についての前回の話はこちら。
韓国総合株価指数とウォンの逆相関性
早速ですが、次のチャートを見てください。
上部が韓国総合株価指数KOSPIで下部が韓国ウォンの為替チャートになっています。
グラフ1本が一ヶ月の動きを表す月足です。
大体の動きが分かりやすいように矢印を入れてみましたが、どうでしょう?ほとんど真逆に動いているなということが見て取れますでしょうか?
動きが横ばいのところはあまり気にせず、大きく動いているところや、最終的に向かっている先に注目してみてください。
KOSPIが上昇しているときはドルウォンのチャートは下落し、KOSPIが下落しているときはドルウォンのチャートは上昇しているのが分かるかと思います。
このように逆に動く動きを負の相関または単に逆相関と呼びます。
なぜ逆相関は起きるのか
私は経済アナリストではないので、ごくごく基本的なことしか説明できませんが、多分、経済を俯瞰するにはそれくらいの知識でも大丈夫だと思います。
株価が買われるときはウォンも買われる
上で見たチャートは、株価のチャートが上がっているときにはドルウォンの為替チャートは下がっています。
ドルウォンのチャートが下がっているのは、ドルに対するウォンの価値が上がっているときです。
つまり、ドルが売られてウォンが買われている状態であることを意味しています。
これを引き起こしているのは海外投資家による資金の流入と考えられます。
海外投資家はウォンを持っていません。
ですが、韓国の株を買うためにはウォンがいります。
そのため、手持ちの資金を一旦ウォンに交換します。
前回の為替の話でも触れましたが、その際に必ず基軸通貨であるドルを経由してウォンに交換されるので、ドルウォンチャートが下落し(ドルが売られウォンが買われ)ます。
その後、ウォンで韓国株を購入するので連動して株価も上昇するというわけです。
株価下落時には、これと逆のことが起きます。
株を売り、手元に戻ったウォンを元の通貨に戻すためにドルを経由して交換するためドルウォンチャートが上昇し(ドルが買われウォンが売られ)ます。
特にこのときの、国内の海外投資資本が流出する現象のことをキャピタルフライトと呼んだりします。
ただし、日本には当てはまらない
韓国のチャートだけを見ていれば、この説は納得できる説明です。
韓国のみならず、多くの国のチャートでこの現象は確認できます。
ところが、日本では逆になります。
逆相関の逆なので、日経225とドル円チャートは正の相関を示します。
海外資本が多く入っているのは日本も韓国とそう変わりません。
つまり、ドルを円に転換してから日本株を買う、という仕組みは同じということです。
にもかかわらず、動きが正反対になる理由が実は専門家たちも明確に説明できません。
ただし、一部で指摘されている「日経平均の構成銘柄が輸出に依存している」というのはそれなりに説得力があります。
日経平均には特に製造業の輸出企業が割と多く入っています。
日本の製造業は中小の下請け企業から部品納入を受けていますので、韓国ほど部品価格に為替の影響を受けません。
そのため、円高に振れると国際市場での価格競争で不利になります。
為替に連動して株価が下落するのはそのためではないか(上昇時はその逆)と言われています。
いずれにせよ、これらの動きはチャートから「人間が読み取ったもの」です。
ということは、なにか「隠れたの要因」があるかもしれないということです。
現在の経済情勢がたまたまこの「隠れた要因」を満たしているから、前述の説明で事足りているように見えるだけで、状況が変われば相関性は失われるかもしれません。
とはいえ、現在はこの説を覆す反証はありませんので、正しいと仮定して進めていきます。
株安とウォン安の連鎖は加速する
ウォン安になる*1と、国際市場での競争力という意味では上がります。
※前回の記事で例示した1ドル1000ウォンのときの話を参考にしてください。
ところが、貿易依存度の高い韓国企業は、部品の多くを輸入に頼っています。
そのため原価は高騰することになります。
原価(コスト)が高騰すると純利益*2は減少します。
当然、業績は悪化します。
このことは株安に拍車を掛けます。
そうすると、更にウォン安も進みます。
完全な悪循環にはまるのです。