検証されていない情報で株価が乱高下する韓国市場の話

韓国の証券市場だけ世界と逆行している...なぜだ?的な記事を紹介しましたが、もしかしたら関連があるかもしれない話題がありましたのでご紹介。
あるテーマ株価が「なんの検証もされていない情報」で急上昇・急下落を繰り返していることから、証券関係者の中からは「(検証されていない情報で)株価の方向性がたびたび変わる銘柄の株を分析する意味があるのか」との声が上がっているとか。
これは私見ですが、投資家の側からすると「避けたい市場」となってしまっているのでかもしれません。

去年の夏に話題となった「LK-99」、憶えておられるでしょうか?「超伝導体」として査読前論文で大いに盛り上がったアレです。

結局その後、複数の研究チームが追加検証を行い、韓国の検証チームも公式に「超伝導体ではない」と発表。幕が引かれたかに見えました。
ですが、実は終わってませんでした。
超伝導体テーマ株はその後も何度も急騰・急落を繰り返しています。その根拠となっているのはいずれも「何の検証もされていない情報」です。

 



ザ・スクープの記事からです。

「そうだ」 vs 「ちがう」超伝導体口論6ヵ月の記録[分析]


(前略)

超伝導体テーマ主義の隊長はシンソンデルタテックとパワーロジックスだ。両社が超伝導体の対象株に浮上した原因は持ち分関係にある。シンソンデルタテックはクォンタムエネルギー研究所の持ち分9.37%を保有しているL&Sベンチャーキャピタルの大株主(持ち分52.52%)だ。パワーロジックスも同社の持ち分11.51%を保有している。

シンソンデルタテックの株価は昨年7月27日の1万2200ウォンから10月11日には6万4500ウォンへと垂直上昇した。その間、株価は絶えず乱高下した。変動性がどれほど深刻だったかを見てみると、49取引日の間に28取引日は上昇、19取引日は下落した。残りの2取引日は急騰傾向を理由に取引が停止された。

(中略)

パワーロジックスの株価も同様の流れを示した。同期間(2023年7月27日~10月11日)、同社の株価は5900ウォンから9090ウォンに上昇した。49取引日の間、パワーロジックスの株価が20%以上上昇したのは7日だった。

(中略 ※その後、国内外の研究機関の検証を通じ「LK-99は超伝導体ではない」と結論付けられると両株価が下落したことに触れ)

終わると思われた超伝導論議に再び火をつけたのはLK-99開発に参加した研究陣だ。昨年12月11日、クォン・ヨンワン高麗大学研究教授は「LK-99が超伝導体だと信じる」とし「LK-99の商用化を念頭において検証を進めている」と強調した。同日、両社の株価は小幅上昇した。

状況は2日後の12月13日、韓国超電導低温学会の検証委員会が検証白書を発刊したことで変わった。検証委が「LK-99が常温・常圧超伝導体という根拠は全くない」と明らかにしたためだ。シンソンデルタテックの株価はこの日、11.91%下落し、パワーロジックスの株価も5.11%下落した。12月15日にはクォン教授が検証委の検証結果に反論し、株価は再び乱高下した。

議論が大きくなると、小さな可能性にも株価が躍った。4日、中国の有る研究所がLK-99を複製し、常温超伝導体を発見したという便りが聞こえると、シンソンデルタテックの株価は上限値(5万6200ウォン)を記録した。8日にはLK-99の開発を主導したクォンタムエネルギー研究所のイ・ソクベ代表が、ある大学行事に参加するというニュースで株価が揺れた。

(中略)

しかし市場の期待はすぐに崩れた。イ代表は「LK-99が超伝導体である」と主張したが、市場が抱いている疑惑を解消することは出来なかった。LK-99サンプルについても「特許問題があって公開が難しい」と話した。「合法的な手続きによって検証を受ける」と知らせたが具体的な検証方法と時期も言及しなかった。

すると関連株の株価は急激に下落に転じた。イ代表の発表翌日の10日、シンソンデルタテックの株価は5万5000ウォンを記録し、前取引日対比20.29%下落した。パワーロジックスも同日、7.54%(9680ウォン→8950ウォン)下がった。依然として検証されていない学説が株価を左右しているという話だ。

検証されていない主張だけが飛び交うので超伝導体関連株の方向性を分析することは何の意味もないかもしれない。証券業界関係者は「超伝導体議論により株価の方向性がたびたび変わり、銘柄を分析する意味があるか疑問」とし話を続けた。

超伝導体イシューが初めて登場した6ヶ月前と比べて変わったことは一つもない。LK-99の言葉が飛び交うだけで、何も検証されていない。これを基に株価と銘柄を分析することは何の意味もない。

(後略)



ザ・スクープ「“맞다” vs “아니다” 초전도체 입씨름 6개월의 기록 [분석+](「そうだ」 vs 「ちがう」超伝導体口論6ヵ月の記録[分析])」より一部抜粋

今回の記事は超伝導体関連株についてのみ言及されていますが、超伝導体に限らず多くの銘柄で似たようなことが起こっているのではないかと予想します。
小学生のサッカー(失礼)みたいに、みんなボールに群がる習性があるようで、そこを狙って仕掛けをする機関筋もあるんでしょうね。