BBCの報道からです。
14カ国の調査でワクチンの効果による子宮頸がん発症件数の軽減が確認されたそうです。
一方で、日本では少し前から「ワクチンの副作用(?)」の疑いが広く知られるようになり、ワクチン接種を推奨しなくなってしまいました。
ワクチン接種を強制することは出来ませんが接種する/しないを正しい情報を元に判断できているのかが疑問です。
重篤な副作用ばかりが報道され、必要以上に恐怖を煽ることで逆に生命を危険に晒している可能性もあるのではないかという気がします。
「副作用」の存在は医学的に証明されていない
まず、大前提としてワクチン接種と所謂「副作用」と言われている症状との因果関係は証明されていません。
「子宮頸がんワクチンによる健康被害」に関する報道は、この部分にあまり触れませんが、一番大事なことです。
別の重篤な病気を「ワクチンによる健康被害」と誤認させてしまう可能性があります。
実際にワクチンの副作用を疑って医療機関を受診した中には、全身性エリトマトーデスや若年性関節リウマチ、てんかんなどの症例が見つかっています。
「副作用」と言われている症状
ワクチン接種の副作用として表れると言われている症状には次のようなものがあります。
期間は初回ワクチン接種から初めて症状が出るまでの期間です。
症状 | 期間(月) | 症状 | 期間(月) |
---|---|---|---|
発熱 | 4.6 | 全身倦怠感 | 12.3 |
掻痒感 | 1.5 | 起床困難 | 7.5 |
嘔吐 | 11.2 | 手足の疼痛 | 13.1 |
頭痛 | 10.1 | 立ちくらみ | 3.8 |
しびれ | 11.0 | 不随意運動 | 13.3 |
関節痛 | 4.7 | 腹痛 | 10.0 |
めまい | 12.3 | 失神 | 11.3 |
厚生労働省の資料より
重篤なものから軽微なものまで何でもアリです。
発症までの期間もまちまちで長いものだと1年を超えます。
実際のところ他に原因が見つからないからワクチンによる副作用と結びつける場合もあるのではないかと思われます。
私は頭痛持ちで、明け方に偏頭痛の痛みで起こされて、薬を飲もうにも身体を動かすだけで酷い吐き気に襲われてどうにもならないことがままあります。
軽い頭痛なんてしょっちゅうで、特にこの梅雨時や夕立前の気圧変化が大きいときはよく頭痛薬のお世話になっています。
偏頭痛は体質によるもので、10代から症状が出始めると言います。*1
ちょうどワクチン接種の期間と重なっていれば「副作用による症状」にされてしまうんじゃないでしょうか。
治療にしてもワクチンの副作用に対する専用の治療方法があるのではなく、各症状に合わせた薬事療法が主です。
症状に合わせてあるのですから、当然効果があります。
ですから、治療効果があった=ワクチンの副作用というわけでもありません。
数字で考える
それでも万が一に副作用があったら…と考えると不安でしょうが、ワクチン未接種の現状維持でも生命の危険があることは十分留意しておく必要があります。
BBCの報道ではイギリスの毎年の子宮頸がん発症例は3200件、うち850人が亡くなっています。
死亡率は26.5%、約4人に1人です。
日本の場合はワクチン接種が遅れているせいでしょうか、発症例は3倍以上の10,900件、うち約2900人が亡くなっています。(国立がん研究センターのデータ)
死亡率は26.6% 、ほぼ変わらずです。
一方の副作用については、イギリスではそもそも子宮頸がんワクチンによる副作用というものが認知されていないので数値はありません。
日本は厚労省の資料から、副反応(副作用)の疑いがあるのは接種者約338万人中2,584人、その率0.08% というデータがあります。
このうち74.6%が発症から7日以内に回復しています。
さて、あるかないか分からない副作用(発症率0.08%/1000人中8人)と、罹患したら26%/4人に1人の確率で死亡する病、避けるならどっちを避けますか?
*1:30代までに症状が出ない人は一生偏頭痛にはならないそうです。実に羨ましい。そういう人が中年になってから突然、偏頭痛に似た症状が出始めると要注意だとか。