輸出規制について、韓国メディアが子供向け記事で取り上げていました。
子供向けという割に長いし、話があっちゃこっちゃ飛んでる印象です。
恐らく韓国にとって都合の良い主張の展開に持っていくためかと思います。
ザックリ概要。
- 輸出規制でサムスン・SKハイニックスを狙い撃ちだよ!
- でも輸出規制は長く出来ないよ!日本の素材メーカーにもブーメランだからだよ!
- 安倍さんは国際外交で孤立しているよ!
- 韓国メーカーの過剰在庫が排出されれば品薄になるから逆に価格交渉のチャンスだよ!
「〜のくせに」、「蚊帳の外」などの割とネガティブ(バカにする)ような書き方をしていますが、記事原文で「주최국임에도 불구(主催国にも関わらず)」、「소외되는 모양새만 연출했다(疎外されている姿だけ演出した)」という表現が使われており、まあ悪意が込められているのは確かだろうと思われます。
文章であれば、そこには書き手の何らかの主張が盛り込まれるのが自然なことではあります。
日本だろうが海外メディアだろうが、こうした傾向はありますが、韓国メディアは事実のみ報道すべき場でも主観が入り込んだ文章が比較的多くなる傾向にある気がします。
政治家の発言などに対して記事が勝手に「妄言」と断定して報道したりしますし、そこには論理的に説明できる理由があるのではなく、どこか「そう考えなくてはいけない」という強迫観念のようなものを感じることがしばしばです。
この記事もあっちゃこっちゃ飛びながら韓国が「大丈夫」な理由、最後には日本が「折れる」理由探しに必死になっているように見えてしまいました。
日本へのブーメラン効果について
ところで、韓国の6月の輸出が前年同月比442億ドル減(-13.5%)という発表がありました。7ヶ月連続の減少になります。
分野別に見ると、半導体が最も下げ幅が大きく-25.5% 、ついで石油化学-24.5%、石油製品-24.2%となっています。
今年に入ってからだけでも前年同月比で1月-23.4%、2月-24.9%、3月-16.9%、4月-13.3%、5月-30.5% と下げ続けています。(ディスプレイも同様に前年同月比マイナスです)
集計が金額ベースなので、半導体の価格下落の影響もあるでしょうが、それにしても半導体メモリの需要が落ち込んでいるのは何度も報道されていますので今更です。
輸出規制などしなくても、半導体需要が落ち込めば生産数が減少するので日本の資材メーカーへの影響は避けられません。
ですので、日本の資材メーカーへのブーメランを規制が続けられない理由にするのは弱いです。
もう一つ、韓国の世界シェアが60%なのは半導体メモリです。
半導体全体で見ると、その75%はシステム半導体(システムLSI;CMOS) とされています。
このジャンルでの韓国シェアはわずか3% *1に過ぎません。
当然のことですが、このシステム半導体製造にも日本の資本財は使用されています。
つまり…半導体全体で見ると市場規模の25%を占める半導体メモリの更に60%が韓国のシェアということです。
システム半導体も含めた全体で見ると半導体メモリ15%+システム半導体3%=18% です。
単に「世界シェア60%」と言われるより大分萎んだ気がします。
ちなみに半導体メモリのシェアの1位と2位はサムスンとSKハイニックスですが、3位はマイクロンです。
ここのメモリ部門は旧エルピーダ*2で、リーマンショックのときに経営不振となり米国に本社を置く多国籍企業マイクロン・テクノロジーに買収されました。
今はマイクロンジャパンとして日本法人が設立されています。
世界シェアは20%ほどですが、仮に韓国からの供給が途絶えた場合の代替え候補になりえます。
中国や米国のメーカーにも迷惑になる、という主張について
すごく韓国的だな、と感じました。
はっきり書かれていませんが 「中国や米国が黙っているわけがない」 と言いたいわけです。
「困った中国や米国が日本にガツンと言ってくれるに違いない」という期待が見え隠れしています。
この期に及んで韓国は、自分では何もする気がなく、周りが解決してくれると思っているんですね。
いや、何かする必要性すら感じていないかもしれません。
こうした韓国の特性を「戦後、日本が甘やかしたからだ」という意見も一理あるとは思うのですけれども、個人的にはずっと…それこそ李氏朝鮮500年の歴史の間、何も自分で決めることをしてこなかった国なんだろうと思います。
中華王朝へお伺いを立てて、その意向に沿うことが最も重要な国家戦略だったわけで、そうしたあり方は物事の考え方の癖(国民性)として現代にも引き継がれているのではないでしょうか。
だから現宗主国である「中国と米国」がどうすれば良いか決めてくれないと動けないのです。
輸出規制措置が日本側になんの影響もないかというと、それはあり得ないことです。
0対100など望んでいないわけで「肉を切らせて骨を断つ、上等」というのが現状なわけです。
その中でいかに日本企業へのダメージを小さくするかが近々の課題になってくると思います。
賛否あるとは思いますけれど、私は私の収めた税金の使い方を選べるのであれば、今回の件で何らかの実害を被る企業への補填にある程度は税金を投入することを検討しても良いのではないかとすら思っています。
韓国が今すべきは、希望的観測で影響を過小評価することではなく、日本が「本気で覚悟を決めたらしい」という事実をきちんと受け止めることだと思いますけどねぇ…。
相手が現状をまともに認識出来ていないんじゃ、暖簾に腕押しです。