香港のデモと襲撃事件の話

香港のデモは21日の日曜日で7週連続となりました。
2014年の雨傘運動以来の大規模デモということで、当初こそ日本のメディアも大きく取り上げていましたが、最近では報道も大分に下火になった印象です。

昨日のデモの参加人数は警察発表で13万8千人(主催者発表43万人)です。
シンボルカラーであるの服を着てスローガンを叫びながら行進したデモ隊が市の中心部に到達すると、警官隊は催涙ガスを使って強制排除に乗り出したそうです。

デモ隊もかなり過激化しており一部が事前に申請していたルートから外れ、中国政府の出先機関である中央駐香港連絡弁公室(中連弁)へ向かい近くの壁にスプレーで落書きをしたり、庁舎に向けて卵やガラス瓶を投げるけるなどの破壊行為を行っています。
彼らは警察が向かっているという知らせを受けて自主的に散開したようですが、週末に武器製造に使われていたと見られる建物を警察が摘発した際に、デモに関連するチラシが押収されており、警察側はかなりピリピリしていたようです。


そうしたデモの裏側で、ある襲撃事件が発生しました。
の服とマスク姿の複数の男性たちが、地下鉄の「元朗駅」で利用客たちを襲撃し、少なくとも45名が負傷するというものです。

襲撃の様子がTwitterに投稿されており、引用する形でBBCが報じています。(投稿者と撮影者は別ですが、撮影者も女性のようです。悲鳴が聞こえます)
1本目の動画では、数名で1人を囲い拳や棒状の物、あとは傘などで殴打している様子が分かります。
襲われている人たちが「黒い服」を着ていることから、デモ参加者をターゲットにしたものと推測されています。


撮影者の女性と思われる人が引き倒されたと思しき後、悲鳴があがりますが、その後、男性と思われる声が近くから聞こえます。
彼は「唔好呀(モウア)」と言っています。広東語で「やめろ」の意味です。恐らく女性を庇ったのでしょう。一瞬顔が映りますが鼻血が出ている様子が見て取れます。


2本目の動画は別角度で、階段の上り口に殺到している人をターゲットに襲いかかっている様子が分かります。


襲撃者の数は多いですが、それでも45名もの負傷者が出た背景には、鉄道会社と居合わせた市民が警察に通報したにも関わらず、到着までに30分ほど掛かったという事情があったようです。

「なぜ警察が彼らを攻撃しようとしている人達(=デモ隊)を救うために来なくてはいけないの?」「警察が職務を果たそうとする時、彼らは警察が自分たちを取り囲んでいると訴え、そして同じ警察が自分たちの助力に走りにくることを望む」と皮肉っている意見もありましたが…通報時に被害者がデモ参加者だという情報は無かったはずです。
更に、襲撃に関わった人達は未だに誰一人として身元が判明していません。

このことから、暴漢たちは中国本土の政府によって組織されたもので、警察もグルではないか、という憶測が出ています。


直前には「反政府デモの暴力から『香港を守る』」というスローガンが掲げられ、数千人が市の中心部に集まり集会を開いています。
こうした「デモに反対するデモ」に参加した一部が暴力行為に出たとも考えられます。

中国政府が組織するにしても、直接送り込んでくるようなことはしないのではないでしょうか。
こうした団体に間接的に関与する方法を取ると思うのです。