ロイター通信のコラムで、先日のロシア機による竹島上空の領空侵犯は「日韓対立を煽り、その目的は米国の同盟壊し」という指摘がされていました。
あくまでコラムニスト個人の見解ではありますが、筆者は元・防衛担当記者で現在は「Project for Study of the 21st Century(21世紀研究プロジェクト)」というシンクタンクの理事を努めているそうです。
背景を理解する上での基礎知識をちゃんと持っている人なのでしょう。
- 今回の一件で明確になったのは、米国にとっての戦略上の2大敵国が、米国の同盟国を攻撃し、分断するために協力している実態だ。
- 23日の事件が、偶然あの場所で起こったとは到底信じがたい。
- 多くの米政府担当者らにとって、23日の事件で最も憂慮すべきはロシアと中国が一緒に行動したことだろう。
- ロシアと中国の軍事協力は目新しい話ではない。しかし件数は明らかに増えているようだ。
徴用工・慰安婦・ホワイト国外し…揉めている日韓の背中をもうひと押してやろう、というハラなわけですね。
25日には北朝鮮が2発の飛翔体*1を打ち上げて、韓国を名指しで警告しています。
朝鮮日報通信は「威力を見せつけ、韓国軍に断固たる警告を突きつける」目的で計画されたと報じました。
警告とは米韓の軍事演習を継続していることに対してです。(8月にも予定されていますので、それに対する警告でしょう)
北朝鮮も随分前から米韓日の離間を狙っています。
ただ今までは米国が日本に譲歩することを要求していたので、北朝鮮だけでは切ることが出来なかったのです。
中露がここに来て、満を持して北朝鮮が一貫して実行し続けている「冠のひも」戦術*2に本格参戦してきたということでしょうか。
もしそうなら、1本だけでなく2本とも一気に切ってしまいそうです。
そうなったとき、日本はどうするか…。
今までは日本が譲歩することで辛うじて韓国を「コチラ側」に引きとどめておくことが出来ました。
そのために日本国政府、国民が支払った代償は大きなものです。
韓国はそんなこととは露ほども理解していないでしょうし、彼らにとって日本の譲歩は当然のことだったのでしょう。
ですから、今の日本と韓国の不和は私には自然なことに感じるのです。
だからこそ知っておかないといけないのが、韓国という地政学上の拠点が「アチラ側」になった場合、日本はどういう立場になるのか、ということです。
韓国は「コチラ側」に居たとしても日本にとっては迷惑な存在です。戦後の70数年だけでもそれは証明されています。
ですが、米間同盟があったからこそ日本が安穏としていられたのも事実です。
韓国が「コチラ側」に居た場合に生じる日本の被害(主に精神面へのストレス)と「アチラ側」に行った場合に生じるコスト(自国防衛の覚悟)をちゃんと知っておかないといけないと思うのです。