「反日種族主義（반일 종족주의）」という書籍の共同著者の1人である李宇衍さん（落星経済研究所研究委員）が国連人権理事会（UNHRC）に、韓国の強制徴用の認識の間違いを是正勧告するよう意見書を送ったそうです。
本投稿で触れたい話はコレではないのですが、一応どんなものだったのかだけ紹介しますと、A4用紙4枚分で次のような内容です。
- 朝鮮人労務動員は強制連行や奴隷狩りではなく、自発的意思や法律的手続きによるもの
- 日本人と同じ条件で行われた
- 作業時間以外の日常生活は自由だった
- 脱出を防ぐために銃を持った軍警が櫓から鉄条網で囲まれた障壁を監視する様子を連想するのは、そのような映画が制作されたためであり、立証する歴史的資料は存在しない
李さんは7月2日にジュネーブで開かれた国連人権理事会でも「強制連行はなかった」とする主旨の発言をしていますが、YNTの報道によると「日本の極右団体」から渡航費用や宿泊費などの金銭援助があったとかなんとか。
ちなみに政治団体ではなく市民団体です。
ここで触れたい内容は「反日種族主義」という書籍についてです。
日本ではまだ発売されていません（年内発売見込みらしい）が、「親日」レッテルを貼られたにも関わらず、韓国内でベストセラーになっているそうです。
「反日種族主義」の定義
「反日種族主義」とは、日本統治下の歴史について、現代の韓国人の精神に根付く 「何の事実も根拠も無い虚偽と偽善、嘘の上に積み上げられたシャーマニズム的世界観」 と定義されているものです。
この世界観の中では、親日＝悪、反日＝善と規定されており、韓国の周辺国では日本を唯一、悪とします。
書籍は「歴史的事実とは関係ない極めて偽善的、感情的な反日種族主義の起源と、拡散過程とを告発し、危険性を警告する目的」で企画されたものだそうです。
シャーマニズムの世界では両班*1は、死んでも両班であり、下僕は死んでも下僕である。生と死の連鎖で善と悪の絶対区分や事後審判は成立しない。 どんな手を使っても両班となることは一人の人間の魂が永遠の救いに至る道である。だから両班の身分に昇格するために必要であれば嘘でもお金でも正当化される物質主義社会が成立した。 「【話題の新刊】「反日種族主義」は偽りのみで積み上げた巨大なバベルの塔」より
上の引用文ですが、反日に限らず韓国という国を見る上でとても大事な視点です。
「シャーマニズムの世界」と言っていますが、韓国儒教の考え方と言い換えても良いと思います。
モノにはそれぞれ価値があり、それは初めから決まっていて過去・現在・未来、どの時間軸においても誰の目から見ても変わらない普遍的な価値と見なされます。
ところがこの考え方は現実にはなかなか即しません。
そこで「確定した価値」に適う過去を作ろうとするわけです。
朴槿恵さんのように弾劾されると遡って父である朴正煕さんまでも罪人とみなされ生家に放火されたり、その功績を消去しようとする事態に発展するのはそのためです。
「罪人・朴槿恵に適う過去＝その血族は罪人の血筋」…というわけで、朴槿恵は「はじめから」罪人であったとするわけです。
罪人である大統領が決めたことは全て「無効」です。
日本についても同じです。
韓国は近隣諸国の中で日本を「悪」と定義しているので、日本統治時代は暗黒時代でなければなりません。
併合（統治）ではなく「植民地時代」であり、朝鮮人は搾取され、強制連行され、虐げられていなければなりません。
嘘や誣告罪が多いといこと、更に「永遠の救いに至る道」という表現からは日本に比べキリスト教徒が多い（約30%）ということの納得がいくのではないでしょうか。
「反日種族主義」の書籍の元情報
「反日種族主義」は6人の共同執筆になっており、代表は李栄薫ソウル大学名誉教授（李承晩学堂校長）です。
書籍の内容は、李承晩TVというYoutubeチャンネル内にアップロードされている「危機韓国の源：反日種族主義（위기 한국의 근원 : 반일 종족주의）」（全30本）の動画と、同じく「日本軍慰安婦問題の真実」などの動画が元になっています。
「危機韓国の源：反日種族主義」の動画は、韓国語のみの動画ですが、「日本軍慰安婦問題の真実」や、その他サムネイルやタイトルに日本語が使われているものは日本語字幕がついています。
※一応、裏技的な方法として韓国語のみの動画も字幕（自動生成）をオンにしてChromeの「日本語に翻訳」機能を使えば韓国語字幕を日本語字幕に無理矢理変換できます。
冒頭で触れた李宇衍さんも主に徴用工問題についての動画を担当されています。
ちなみに「親日」レッテルを貼られている書籍（および著者たち）ですが、もちろん本当に親日（無条件に日本の味方）なわけではありません。
あくまで資料ベースで韓国が言うような「強制連行」などは立証できないとまともなことを言っているに過ぎません。
既にある程度、諸問題の知識がある人には目新しい情報はないかもしれませんが、入門編としてはよくまとまっていると思います。
*1:支配者・特権階級。
