「反省するドイツ」「反省しない日本」の典型例の話

EU離脱を見据えて、ドイツ国籍を取得するイギリス人が増えています。
ブレクジット決定以前の2015年と昨年のドイツ国籍取得申請者数を比較すると43人→1506人となっています。
過去15年間の総数が5千人程度だったのが、この3年間だけで1万7千人と急増しています。

この数は更に増える可能性があります。
ドイツ政府がナチスの迫害を受けて海外に移住した主にユダヤ系の人たちとその子孫について、ドイツ国籍取得(再取得)を簡略化する措置を講じる市民権条項の改正を発表しました。(ソース


ドイツは(条件付きではありますが)二重国籍を許可しています。
ですので、仮に移住した先で国籍を取得しても、その国の国籍法に違反していなければドイツ国籍を保有したままでいられます。
結婚しても維持されますし、子供にもドイツ国籍選択の自由があります。

大戦中にナチスの迫害を受けて海外移住した人たちのドイツ国籍抹消がそもそも不当であるので、ドイツ基本法では1933年〜1945年の期間に抹消された国籍を再取得する権利が明示されています。
ですが、移住先で他の国籍者と結婚し、国籍を喪失した女性およびその子供についてはフォローされていませんでしたので、今回新たに対象に加えようという話です。


本来持っていた国籍に関する権利を復活させようというだけなので、「ふーん…」という感じです。

が、「ドイツ」「ナチス」「戦争責任」というキーワードが揃うと日本に絡めて騒ぎ出すのが韓国さんです。
ニューシスが記事にしています。

タイトルだけ見ても意図が分かるのですが、ソース記事である英紙ガーディアンの表題が「ナチ犠牲者の子孫に対するドイツ市民権規則が緩和された(Germany citizenship rules for descendants of Nazi victims eased)」なのに対して、「独『ナチス被害者子孫、国籍回復の簡素化。続く過去の責任』(獨 "나치 피해 후손, 국적 회복 간소화"..계속되는 과거사 책임 )」と、ドイツの戦争責任にフォーカスしています。


ニューシスの記事内に「日本」という単語はただの一つも出てこないのですが、コメント欄は見事に「日本」についてばかりです。

一番共感を得ているコメントが「ドイツは過去を反省しながら、世界最強国なのに日本は隠して、湾曲して、そうしながら最強国のふりをして…」といったものでした。

実際のところ、国籍回復措置は戦争責任というより、国籍抹消自体が不当(違法)だったからこその是正措置、と見るべきだと思うのですけれど。
「反省するドイツ」「反省しない日本」という図式があるので、ナチス絡みでドイツのやることは何でも「倫理的措置」と見なす傾向があるようです。