台湾潜水艦建造プロジェクト、韓国も支援との報道に対し、韓国大統領府「事実ではない」という話

台湾で現在、潜水艦の建造計画が推進中で、ロイター通信の報道によると米国をはじめ世界7ヵ国が技術支援などで協力しているそうです。
日本は参加していないようです...が、意外なことに韓国が参加しているとのことです。
韓国メディアがこれを引用する形で「報復恐れて日本も手を引いた台湾潜水艦計画に韓国参加」と誇らしげに記事にしました。ですがすぐに大統領府が「事実ではない」と否定しています。

 

 

まずロイター通信を引用した台湾潜水艦プロジェクトに参加、との内容の報道を、マネートゥデイの記事からです。

中の報復恐れ、日も手を引いた「台湾潜水艦プロジェクト」に「韓国参加」


中国の脅威に対応する目的で台湾が推進中の現代式潜水艦建造プロジェクトに韓国など7ヵ国が参加したという。

29日(現地時間)、ロイター通信は「習近平国家主席の中国が台湾に対する軍事的脅威を強化している状況で、台湾が秘密裏に潜水艦建造プロジェクトを進めている」とし「この極秘プロジェクトで少なくとも7カ国が技術、部品、人材などを支援した」と報じた。

(中略)

ロイターによると、台湾潜水艦建造プロジェクトを支援した国は、韓国を含め米国、英国、インド、カナダ、スペインの7ヵ国で、主導的に支援した国は米国と英国だった。両国は今年9月、オーストラリアとともに安全保障協議体「オーカス」を発足させ、オーストラリアに原子力潜水艦を支援することにした。

台湾の主要な海外武器供給国であり「台湾関係法」と「6つの保障」などで台湾と緊密な関係を維持している米国は、戦闘システム部品や音波探知機など潜水艦建造に必要な核心技術を支援した。

(中略)

英国は潜水艦建造に必要な輸出業務や専門家の募集で核心的な役割を果たした。報道によると英国政府はこの3年間、企業に対して台湾に潜水艦部品や技術、関連ソフトウェアなどの輸出を承認した。

(中略)

韓国を含め。オーストラリア、インド、スペイン、カナダなどは台湾国営造船所であるCSBCに潜水艦技術者、エンジニア、元海軍関係者を支援し潜水艦建造に関する助言を行った。ただロイター通信は韓国政府の役割を具体的に説明しなかった。

米国と同盟関係にある日本はプロジェクト支援国リストに含まれていない。ロイターは「米国の同盟国で世界で最も進んだ在来式潜水艦隊のうちの1つを運用する日本は、プロジェクト支援から外れた」とし「台湾支援に対する議論が日本で非公式に行われたが、中国がどのように反応するか憂慮され撤回した」と伝えた。

(中略)

一方、ロイターによると台湾の潜水艦建造プロジェクトは2017年に公式に開始した。台湾政府はCSBCが昨年から潜水艦の建造を始め、2025ねんまでに最終目標の8隻のうち1隻を引き渡す計画だと発表した。

(後略)



マネートゥデイ「中보복 두려워 日도 발뺀 '대만 잠수함 프로젝트'에 "韓 참여"(中の報復恐れ、日も手を引いた「台湾潜水艦プロジェクト」に「韓国参加」)」より一部抜粋

まあ「対中国」だけを考えれば「なぜ日本は支援しないのか?」と感じる人もいるかもしれません。経済報復がそんなの怖いのか?と。
個人的には経済報復より「技術流出」が怖いです。
中国本土の工作員は当然、台湾にも入り込んでいると見るべきで、台湾への技術支援をきっかけに中国本土に日本の技術が漏れる危険性があります。台湾に渡した「後」の管理まで日本は出来ませんから。

そうした危険まで含めて、何をブラックボックス化して渡すか/渡さないか、そもそも支援に参加するか/しないか、の判断を迫られるわけで、ホイホイ安請け合いできる話でも無いんでしょう。

 

次にニューシスの記事からです。

大統領府「韓国の台湾潜水艦建造支援報道、事実ではない」


大統領府は30日、韓国が米国、英国など7カ国とともに台湾の潜水艦建造を秘密裏に支援しているという外信報道に事実ではないと否定した。

青瓦台主要関係者はこの日午後、記者団に対し関連外信報道に対する事実関係可否確認に「その記事は事実ではない」とし「個人的レベルで不法で台湾に情報を提供したことがあるかについては確認中だ」と述べた。

(後略)



ニューシス「靑 "한국, 대만 잠수함 건조 지원 보도 사실 아냐"(大統領府「韓国の台湾潜水艦建造支援報道、事実ではない」)」より一部抜粋

今までのケースから、韓国政府が「事実じゃない」とか「まだ正式に決まってない」という時は、大体先行した報道の方が合っていましたが...。
仮に不法に提供された情報であった場合、どうするんでしょう?台湾側に何らかの措置を求めるんでしょうか?