リュ・ソクチュンさん、またなんか言ったらしい話

大学の講義中に「慰安婦は(自主的)売春」と発言したリュ・ソクチュン(柳錫春;류석춘)さんですが、今度は月刊誌に寄稿した内容が問題視されています。

チョン・テイル(全泰壱;전태일)という労働運動家(1970年に22歳で焼身自殺)について「搾取は無かった」と言及したことが切欠のようです。
チョンさんは日本併合時代の人ではありませんが、韓国では朴槿恵さん逮捕後、朴正煕時代に対する風当たりが強くなっています。
リュさんは親・朴派の人なので、こうした流れに危機感を持っているのだろうと思われます。


ニュース1の記事から引用します。

慰安婦売春」リュ・ソクチュン「チョン・テイルは搾取されなかった」..「曲学阿世の典型」


最近、大学の講義で「慰安婦売春」 発言で議論を呼んだリュ・ソクチュン延世大学社会学科教授が、今度は月刊誌に「チョン・テイルは搾取にあわなかった」という趣旨の文を寄稿し、チョン・テイル財団が反発した。

(中略)
リュ教授は、月刊朝鮮が40周年特集として連載している「朴正煕、誤解と真実」というコーナーに「朴正煕が労働者を搾取した?農村の遊休*1人材をマイカーを持つ中産階級に育て」という文を寄稿した。

リュ教授は文で「チョン・テイルの給料は1964年から1970年までの6年間、なんと15倍以上に上昇した」とし「これを置いて、果たして誰が搾取という言葉を取り出すことができる」と述べた。

また、「『チョン・テイル評伝』の内容を詳細に計算した結果、1960年代の縫製産業の労働者の状況を記述する過程で『搾取』という言葉が、労働運動の活性化のための手段として活用されているだけであることを赤裸々に露出する」とも書いた。

チョン・テイル財団は「まずリュ教授は賃金の額の話だけして実質購買力については無視した」と反論した。チョ・テイルがテーラーになって賃金が10倍になったといっても、一日日割りでコーヒー10杯分にしかならない低賃金だったのだ。財団は「賃金の10倍を受けても低賃金であった事情をリュ教授は意図的に無視した」と指摘した。

財団はまた、リュ教授が当時の労働者の非人間的な労働条件に何も関心がないと診断した。当時の平和市場の労働者の平均労働時間は少なく見ても週105時間で、一日15時間以上とする必要があるということだ。

また、リュ教授が当時の労働者の賃金に他の労働者の給料を与えた労働構造も全く知らずにいると説明した。財団は「当時のミシン工は『客工』という請負制方式で仕事をした」とし「ミシン補助などの給料もミシン工が渡される場合が多かった」と付け加えた。


ニュース1「'위안부 매춘' 류석춘 "전태일 착취 없었다".."곡학아세 전형"(「慰安婦売春」リュ・ソクチュン「チョン・テイルは搾取されなかった」..「曲学阿世の典型」)より一部抜粋


曲学阿世とは、学問の心理に背いて時代や世間の好みにおもねるような説を唱えること、だそうです。


客工という請負制方式は、ミシン工が「従業員」ではなく「業務委託契約」を結んだ個人事業主と考えれば分かりやすいです。
ミシン工が渡されている給与の中から必要経費は全て賄わなければならなかったということです。
つまり、ミシン補助などの人材が居たのなら、その分の給与をミシン工が自分の給与から支払っていた、という意味です。


「搾取」という言葉を運動の活性化の手段に用いる……どこかで聞いた話です。
ふと、数年前に騒がれた学生運動のシールズを思い出しました。確か、彼らは「若者は搾取されている」と叫んでいましたね。

インパクトの強い言葉をシュプレヒコールとして叫ぶのはいつの時代、どこの国でも同じです。


*1:働いていない