韓国、WTOにパネル設置要請書を提出した話

韓国さんがWTOにパネル(紛争処理小委員会)設置の要請書を提出しました。

WTO提訴の流れを簡単に説明しますと、次のような形です。

  1. WTO紛争解決手続きに基づき2国間協議(期限60日以内)
    ① 解決 → 終了
    ②解決せず → 2へ
  2. 紛争処理小委員会=パネル(一審)
    ①解決 → 終了
    ②上訴 → 3へ
  3. 上級委員会(最終審)


3の上級委員会は、新委員任命をトランプ政権が拒否しているため機能していません。
そのため、2で解決せず最終審まで縺れ込んだ場合、審理が停まる可能性があります。


聯合ニュースの記事からです。

韓・日、WTOで法的紛争が本格化..政府「パネル設置要請書提出」


(前略)

ジュネーブ韓国代表部は18日(現地時間)、スイス・ジュネーブにあるWTO事務局と駐ジュネーブ日本代表部にパネル設置要請書を発送したと発表した。
これにより29日に開かれる紛争解決機構(DSB)会議で主要議題として取り上げられることが予想される。
パネル設置要請は、一般的にWTO提訴と呼ばれる措置であり、WTOで一審に相当するDSBパネルが両国の貿易紛争を審理することになる。
もしパネル判断に不服がある場合、規定上上訴することが出来るがWTO最高裁判所の役割をする上訴機構は昨年12月から機能が中断された状態だ。
通常、パネルの判断は1〜2年程度、最終審までは2〜3年程度かかる。

(後略)

聯合ニュース「한·일, WTO서 법적 분쟁 본격화..정부 "패널 설치 요청서 제출"(韓・日、WTOで法的紛争が本格化..政府「パネル設置要請書提出」)」より一部抜粋


これに先立って、韓国企業のSKマテリアルズが「超高純度フッ化水素の量産開始」との報道が出ています。
リンクは中央日報の日本語記事なので、読んでもらえれば分かりますが、超高純度とは言っても純度99.999%(5N=five fine)です。正確にはこれは超高純度ではなく高純度で、主に液晶パネルに使われます。(液晶パネルは中国にシェアを奪われLGやサムスンは減産を発表しています)
半導体製造に必要な99.9999999999%(12N=twelve fine)の超高純度はまだ作れていないようです。
国産化成功や調達先の多様化などの記事が韓国メディアからちょくちょく出ますが、その手の記事を読む際の基礎知識として知っておいてください。12Nクラスの超高純度フッ化水素を生産している企業は今の所、世界で3社しかありません。すべて日本企業*1です。


*1:ステラケミファ、森田化学工業ダイキン