米「日本の安保措置はWTO審理の対象にはならない」という話

先月29日に開かれたWTOの定例会議で米国が、日本の輸出管理強化について韓国が提訴した件を受けて、「安保措置にWTOが介入すべきではない」という趣旨の発言をしました。

もともと米国はWTOが安保を理由にした措置に口出しすることに批判的な立場(安保措置不介入)でしたが、特定の事案を取り上げて物言いをつけるのは異例のことだそうです。


聯合ニュースの記事からです。

米国「日本の輸出規制はWTOの審理対象ではない」…日本の肩を持つ


(前略)


3日、WTOのホームページに載せられた議事録の要約によれば、先月29日(現地時間)、スイス・ジュネーブWTO本部で開かれたWTO紛争解決機関(DSB)定例会議で米国側は「ただ日本だけが自国の本質的安保に必要な措置を判断することができる」と発言した。

これは輸出規制が一国家の安保措置に相当することから、第三国である韓国がWTOに提訴したり、WTOがこの問題を判断することが正しくない、という意味で解釈される。

そうして米国は、韓国の今回の提訴が「70年間避けてきた安保関連事案不介入(の立場)を困難にし、WTOに深刻な危機を招く」と批判した。


(中略)

自国安保を理由に輸入産鉄鋼製品に関税を掛け、中国ファーウェイを追い出すなどの措置をしてきた米国は、WTOのような国際機構に安保問題を判断する権限がない、と主張し、このような脈絡でロシアーウクライナ紛争に対するWTO判決を批判したのである。


私たちの政府は米国の今回の発言は日本という特定国家を支持するためではなく、国家安保措置をWTOが審理することはできない、という米国の既存の立場を明らかにしたという認識である。

産業通商資源部の関係者は「米国はずいぶん前から国家安保関連の貿易紛争をWTOが審理すべきでばい、という立場を固守しており、今回の会議の発言もその延長線上とみることができる」とし、「韓日輸出規制という特定事案について日本側に立つとか、支持したのではない」と言った。

この関係者は「WTOの既存判例は米国の立場とは関係なくこのような紛争についてWTOが審理することができると思う」とし「韓日輸出規制問題に米国の態度は影響ない」と付け加えた。


しかし一方で、米国がWTO公式会議の席上でどちらか一方を支持する発言をしたことが異例という点で、今後の韓日輸出規制紛争に影響を及ぼすという観測が出ている。

ソン・キホ国際通常専門弁護士は「米国が日本を支持すると表明して、韓国にWTO提訴の代わりに政策対話で葛藤を解決するよう圧迫したということ」としながら「WTOを通じた対日圧迫に重大な変数が発生したとみなければならない」と指摘した。

ソン弁護士は「公式会議の席上で米国が特定の議案について積極的に発言したことは、既存の動きを超えて直接介入しようとする意図」としながら「自国安保との関連性を主張することで、韓日間訴訟に直接参加することができるだけに、政府が過小評価してはならない」と述べた。

聯合ニュース「미국 "일본의 수출규제는 WTO 심리 대상 아니다"..일본 편들어(米国「日本の輸出規制はWTOの審理対象ではない」…日本の肩を持つ)」より一部抜粋より


「日本だけが自国の本質的安保に必要な措置を判断することができる」…言い換えれば「日本の勝手」です。

これについて記事では、米国は元からWTOの安保不介入の立場であるし、ファーウェイを始めとした中国への自身の圧迫対応を正当化するため、というようなことを言いたいようです。


記事全体を通してそこはかとなく漂っているのは、「韓日間訴訟になれば韓国が勝つのに、米国に邪魔されている」という主張です。

きっと敗訴になったら「日本のロビーのせい」になるんでしょうね。