日韓関係は「歴史と安保・経済で分離すべき」「GSOMIA正常化発言がその契機になることを期待」という話

中央日報のコラムを紹介します。
著者は北韓大学院大学の総長で元駐米大使(2013年6月〜2017年10月)のアン・ホヨンさんという人です。
「歴史と安保・経済は分離すべき」のツートラックと「道徳的優位」の主張がいかにも韓国らしいです。

また「GSOMIA正常化」発言にも言及しているのですが、なんというか...「ものすごいこと」のように捉えています。
この話が最初に出たときにも触れていますけれど、GSOMIA自体は正常に稼働しています。ですから韓国側もGSOMIA正常化は「象徴的な意味」というふんわりした事を言っています。
つまり実益は無いものです。それを「関係改善に繋がるすごいカード」であるかのように取り上げている部分があって、また一つ後頭部案件を自らこさえようとしているのかな、と。そんな気がしています。

 



中央日報の記事からです。

韓日関係、歴史と安保・経済分離で対応すべきだ


筆者は2019年11月、日本の参議員と長時間、韓日関係を議論したことがある。この参議員は当時、我が国が韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)の終了を考慮することについて筆者の意見を尋ねた。筆者は、これは非常に誤った考えであり、その理由は1965年の韓日協定以来、厳しい環境でも関係発展を可能にした不文律である歴史と安保・経済の分離というレッドラインを超える措置であるためだと答えた。それと共に、その発端は日本が強制徴用問題に対する韓国最高裁の判決を理由に同年7月に半導体部品に対する輸出制限をしたことだがこれこそレッドラインを超える措置だったので撤回されなければならないと強調した。

この話をしながら内心、韓国がGSOMIA協定満了日である同年11月23日頃、日本の失望的な措置に言及し、韓日関係の未来のためにGSOMIAを延長することを発表し「お前が下に行っても私は高い道を固守する」という道徳的優位の姿勢を見せてほしいという思いを禁じ得なかった。韓日歴史問題は「目には目を」では解決できない。

パク・ジン長官のGSOMIA正常化発言
韓日関係改善努力につながれば

この話を取り上げる理由は、パク・ジン外交部長官が最近訪米中の記者会見で「韓日のGSOMIAを早期に正常化する」という話をしたのを見て、パク長官が難しい決断を下し、この決断が拗れに拗れた韓日関係が前に進む契機を作って欲しいという希望を持つようになったためだ。

しかしパク長官の決断に対する国内外の反応は必ずしも肯定的ではない。国内言論、さらに該当政府部署でもGSOMIA正常化は他の懸案と総合的に解決策を模索しなければならないという話が出てきて一般市民団体は「屈辱外交」として反日感情に訴えた。

韓日歴史問題の根源には傷ついた民族感情が位置しており、理性的解決策が占める場所は大きくなく、政治的爆発力も非常に大きい。だからといって感情的・政治的安全地帯だけに留まるならば、日々難しくなる韓国の安保・経済環境では解決しなければならない課題である韓日関係の未来志向的発展は不可能だ。

日本の反応も期待に及ばない。パク長官の発言に対して日本の松野博一官房長官は「地域の平和と安定に寄与する」と肯定的に答えたがそれだけだった。日本政府は韓日関係を解決しようとする韓国政府の努力に対して二つの歴史問題解決策を用意することが優先だという既存の立場を維持している。

(中略)

これと関連して考えるのが米国の役割だ。筆者は2013年6月から4年4ヶ月間、駐米大使として務め、当時オバマ政権が韓日関係改善のため奔走する努力を近くで観察することができた。オバマ大統領と米国務・国防長官、国家安保補佐官は韓日関係改善が米国の核心安保利益であることをよく知っており、多くの努力を傾けた。バイデン政府の発足で米国が再びこのような努力に積極的に乗り出すことになった。米国の政策決定者が韓日の歴史問題が国民感情的・政治的にどれほど爆発力が大きい問題なのか、歴史問題解決以降の安保・経済協力が可能だという立場がどれほど非現実的なのか、このような背景で分離がなぜ必要なのかをよく認識させることが重要だ。パク長官のワシントン発言はそのような理由から高く評価されなければならない。



中央日報「한·일 관계, 역사와 안보·경제 분리 대응해야(韓日関係、歴史と安保・経済分離で対応すべきだ)」より一部抜粋

戦後70年、日本は基本的に「歴史と安保・経済」を分離してきました。韓国はどうだったでしょう?
米国は安保利益のために日韓関係改善を重要視し、関係改善のためにオバマ政権時にそれなりの努力をしました。慰安婦合意はまさにオバマ政権の仲介でした。
で、今はどうなってます?その努力って報われてますか?

中には「韓国に反日は無い」と主張する人が居ますが、「克日」だろうと同じことです。経済発展のために歴史を都合よく利用して来たのは韓国です。そして概ねそれは上手くいっていました。韓国にとっては成功体験だったのでしょう。だからこそ韓国にとっては、日本が「歴史と安保・経済」を分離した状態に戻るのが都合が良いのです。

韓国が内省の意味を込めて「歴史と安保・経済を分離しよう」と啓発するのは勝手ですが、そこに「日本も」とか「お互い様」のような言い分が入るようでは...。
日本はこれらを「分離」することは不可能で無理があると悟ったので「不可逆的に」歴史問題を解決してからというスタンスに切り替えました。韓国もそうすれば良いと思います。

まずは、道徳的優位云々言うのであれば、さっさとフッ化水素の行方不明分(40トン)の調査報告書を提出するところから始めればいいんじゃないでしょうか。