「一緒にワクチン開発すれば北への制裁は免除される」と主張する話

2日ほど前に、韓国の統一部の長官が「ワクチン足らなくても北に分けちゃる」と受け取れる発言をしました。
韓国はまだワクチンの確保数が十分ではありません。ですから「分ける=自国民<北朝鮮」という意味になるので相当な問題発言です。

翌日には北朝鮮から「要らん」と突っぱねられてしまっています。(当初から北朝鮮は韓国からの支援申し入れを全面的に断っています)
しかし、この長官は懲りずに南北協力の必要性を改めて強調しました。


KBSの記事からです。

イ・インヨン「コロナウィルスのワクチン・治療薬、南北の包括的協力が必要」


イ・インヨン統一部長官は、コロナ19の対応と関連し、北韓と協力するという意思を重ねて明らかにしました。

イ・インヨン長官は今日(20日)、国立がんセンターの平和医療センターで開かれた南北医療協力協議体の冒頭発言で「コロナ19ワクチンと治療薬が開発され普及すれば、韓半島には人や物資が行き来する新たな条件が造成されるだろう」と述べました。

続いて「2018年の南北首脳が合意した感染症情報交換の対応システムの構築を今、議論しなければならない」とし「診断と治療、ワクチン開発と生産を包括する互恵協力に発展させなければならない」と強調しました。

この長官は「保険医療と災害、気候環境協力は一度限りの事業から脱し、年間計画に基づいて継続的に推進されなければならない」とし「北韓への制裁免除も包括的で効率的に解決する」と述べました。
また、国際機関や民間団体など多様な主体と全方位に協力するとし、「民間団体が信頼できる北側の相手と協力する場合は積極的に支援する」としました。

KBS「이인영 "코로나 백신·치료제, 남북이 포괄적 협력해야"(イ・インヨン「コロナウィルスのワクチン・治療薬、南北の包括的協力が必要」)」より


韓国がいくら支援したがっても北朝鮮が受け入れなければ彼の思い描くバラ色の「南北協力」未来は実現しないってことにまだ気が付かないようです。

ここにも「首脳会談さえすれば上手く行く」に見られるように、相手のリアクションを考慮しない、自分の都合だけで後の算段を付けようとする皮算用的な物の考え方が伺える気がします。


彼が融通したがっている韓国用のワクチンの確保状況ですが、今のところ確定は1000万人分らしいです。(目標3000万人分)
これはワクチンを公正に分配するために作られたグローバルワクチン供給機構(COVAX Facility)の韓国取り分で、1,700億ウォンを先に入金して確保しています。

残りの2000万人分は個々の企業と個別に交渉して確保しなければいけません。韓国政府は「年内に無理なく確保可能」とアナウンスしていますが、何を根拠に言っているのかは分かりません。
ちなみに、今まで交渉してきた中に中国の製薬会社は無かったらしいです。もしかしたら…?