ムン大統領が北朝鮮で大人気、という話

北朝鮮が韓国に攻撃的な態度を取るのはムン・ジェイン大統領が北朝鮮の人民に大人気だから、という主張が出てきました。

ムン政権発足当時も「世界中からモテモテ」的な記事が度々出ていたのでそれの亜種かと思ったのですけれど、どうも「我々が言ったんじゃない。日本のメディア関係者の分析だ」ということのようです。


ニューシースの記事からです。

ムン・ジェイン、北住民の間で高い好感度...キム「攻勢強化」の理由


北韓が最近、韓国への攻勢を強化した背景の一つがムン・ジェイン大統領に対する北韓住民の高い好感度だったという分析が出た。

牧野愛博・朝日新聞朝鮮半島担当編集委員は2日(現地時間)、自由アジア放送(RFA)のインタビューで消息筋を引用してこのように述べた。

愛博委員は「ムン大統領が2018年9月、北韓を訪問した後に北韓住民の間で高感度が非常に上がった」と話した。
彼は「訪朝当時、ムン大統領は平壌5・1競技場で15万人の平壌市民を前に『お会い出来て嬉しい。我が民族は共に生きていかなければならない』と述べたが、このような演説内容が北韓住民たちの間で高い評価を受けたと聞いた」と伝えた。
また「北韓当局者は住民たちのムン大統領に向けられた高い好感が自分たちの脅威になる可能性があると判断したのだろう」と推測した。
愛博委員は「ムン大統領の高い評価は北韓が南北連絡事務所爆破や韓国を排除する政策を広げる大きな理由の一つ」と説明した。
続いて「残念ながらムン大統領の人気が北韓の住民の間で高くなるほどムン大統領が(再び)北韓を訪問するのは難しいという逆説的な状況になった」と説明した。

ニューシース「문재인, 北주민 사이서 높은 호감..金, '공세 강화' 이유(ムン・ジェイン、北住民の間で高い好感度...キム「攻勢強化」の理由)」より


うーむ、どうでしょう?飽くまで理由の一つ、としていますけれども、私は違うのではないかと思います。

少なくとも2度目の米朝首脳会談が成果なしに終わるまでは北朝鮮は韓国に対してかなり融和的にだったように感じます。
記事の通りなら演説の行われた2018年9月以降に攻勢姿勢を見せると思うのですけれど、実際には日本海に向けたミサイル発射などの挑発行為が再開、加速し始めたのは翌年の2019年半ばからです。

2度目の米朝首脳会談は2019年2月です。また、その4ヶ月後の6月末に板門店でトランプさんとキム・ジョンウン氏は「会って」いますが、米も北もこれは「首脳会談」とは位置付けていません。「会っただけ」としています。
ミサイル発射の再開はこの直後の7月です。
※北は5月にもミサイルを発射しているが、これは公式に火力軍事訓練としている。しかし、7月に発射されたミサイルは軍事訓練ではないため、2017年11以降停止していた挑発行為の再開と見なせる。


時系列的に関連性は薄いように思えるのです。少なくとも主要因ではないし、「大きな理由の一つ」と言及するほどの要素なのかなぁ、というのも疑問です。


インタビューに答えた朝日編集委員の牧野愛博さんとは、このまえ社説で「元・徴用工への賠償、韓国政府からってのもあり得るかも」と書いた人です。

なぜか記事の中で名字ではなく下の名前で呼ばれてますが理由が分かりません。マキノ…ヨシヒロ…共に名字・名前どちらの可能性もあるからでしょうか…?