売春合法化したドイツで人身売買が増えている話

ドイツは2002年に売春法が施行されてから売春が合法の国です。ご近所のオランダも合法です。

びっくりされるかもしれませんが、売春は違法にしても無くなりません。であれば、逆に合法化することで売春に従事する人たちを保護(管理)できる方が良いという発想なわけです。

売春の合法化について是非を論じるつもりはありません。が、売春婦の「保護・管理」という考え方は「慰安婦」に通じるものを感じます。

また売春合法化以降、人身売買が急増するという副作用が起きているそうです。これも「親に売られた」とか「職業詐欺」によって慰安婦となった朝鮮人女性たちに重なるように思えます。

国民日報の記事からです。

元記事は「10代の養育者たちのための聖書の性教育」という連載記事の第4回目ですが、抜粋部分は前記事を理解していなくても特に問題ありません。

売春合法化したドイツ...人身売買急増の副作用に苦しむ


(前略)


ドイツは2001年、盛んに性売買合法化のため運動家と政治家は性売買を姦淫と表現せず「お金で買う愛」と美化した。結局同年、議会の採決で売春を合法化した。

この件を主導したのは女性部長官のクリスティネ・ベルクマンと緑の党議員のケアスティン・ミュラー、性売買のオーナーであるペリシタス・バイクマンなどだった。彼らは性売買合法化が性販売女性の人権を向上し、女性の収入創出にも大きく役立つと述べた。


しかしコーネリア・フィルターは「ドイツの性売買合法化、その後に表れた問題点と代案」という報告書を発表し、合法化の決定は性売買女性の現実をさらに惨めにした。オーナーだけが利益を取っている現象が起きたと告発した。


ドイツの週刊誌シュピーゲルも同様に、ドイツの性売買合法化以後10年が過ぎた後、性売買合法化の当初の趣旨とは違い、性売買従事者の生活の質は以前、底辺に留まっており、むしろ人身売買まで増えた、と報じた。


(中略)


性売買合法化を通じて性売買者が各種社会保障制度を享受できるという期待も大きな錯覚だったことが明らかになった。ドイツの医療保険期間は性売買合法化後5年間で「性売買女性が雇用者として登録された件数は1%に留まり、実際は合法化による各種雇用保健の恩恵を受ける女性はほとんどいない」と報告した。これは性売買女性が自身の経歴に性売買の記録が残ることを望む場合がほとんどないためだという。


性売買合法化の最も致命的な問題は人身売買の増加だ。アクセル・ドレハー・ハイデルベルグ大学教授は、150カ国を対象に調査した結果、性売買合法国家で人身売買犯罪がより頻繁に起きていることが確認された、と発表した。これとは逆に売春処罰法を制定した韓国は、その時から売春のための人身売買が減少する効果を上げた。


(後略)


国民日報「성매매 합법화한 독일… 인신매매 급증 부작용에 시달려(売春合法化したドイツ...人身売買急増の副作用に苦しむ)」より一部抜粋

人身売買ですから当然犯罪です。また、近隣から性サービスを行う女性が流入したことで価格競争が激化したそうです。

女性の権利や収入を守るどころか、低価格で過激なサービスをうたう広告が出されるなどしたため、政府が取り締まりを行っています。

日本でも何年か前にこの問題は報じられていて、記事で紹介されている事例はちょっと古いものです。コロナ直撃を受けた現在がどうなっているのかは分かりません。

ですが、注目したいのはドイツの実情でも売春合法化の是非でもありません。70年以上前、売春が合法だった日帝時代も同じだったんだろうな、ということです。

引用からは省略してしまいましたが、記事では売春合法化後、売春宿オーナーと客の立場が相対的に強くなり、売春女性たちの立場は弱くなったと指摘されています。「合法」と言いつつ世間の目は冷たいので堂々と権利を主張しづらく、「売春は合法」という建前が却って女性たちの立場を悪くしてしまっているということのようです。

現代ドイツでもこの有様です。労働者の権利、女性の権利、そもそも「人権」というものがまだ確立されていなかった70年以上前の日本では尚更ではないでしょうか?

現代ドイツで起こっている売春目的の人身売買を「ドイツの国家的犯罪」と言えないのと同様、かつて併合期に慰安所経営者が労働力(売春女性)を確保するために親から買ったり、就職詐欺で連れてきたり...それもあくまで民間による人身売買の話です。

最後にくどいですが確認しておきます。

ここでは売春の是非も人身売買の是非も問うていません。あくまでそれが「民間レベルの犯罪行為」であるということを確認しています。売春が合法とされることと、国家が人身売買に加担していることとは全く別次元の話です。混ぜるな、キケン。