「慰安婦は売春婦」「契約書」に言及した米軍報告書の話

10日ほど前に韓国メディアに米軍がまとめた「慰安婦」関連の報告書について記事が出ました。あの有名なレポートNo.49です。全然話題にはなっていないようですし、なんで今さら?という気がします。

というのも、内容に「契約書」の存在が書かれているからです。記事では完全に論点をすり替えていますけれど、ラムザイヤーさんの論文で散々叩いた「契約書」の存在をほのめかす報告書の内容は不都合でしょうに。

国立公文書館で「発掘」したそうです。わざわざそんなことしなくても「アジア女性基金」が調査・公開済みのレポートです。

国民日報の記事からです。

ビルマ川辺で見つかった朝鮮人女性たち...米軍が記録した日本軍慰安婦


太平洋戦争がアジアのそこかしこで繰り広げられた1944年8月、ビルマのイワラディの川岸で朝鮮人女性20人が英国軍に見つかった。日本軍が敗走しながら置き去りにした朝鮮人慰安婦たちだった。米国の戦時情報局(OWI)心理戦チームが作成した日本人戦争捕虜審問報告書には、彼らが故郷を離れてきた過程やタックで経験したことが詳しく記録されている。報告書には彼らが1942年5月、朝鮮に集まった日本人代理人(agent)に騙されて募集されたとしている。代理人は「新たに領土として確保した東南アジアに派遣され、慰安奉仕活動(comfort service)を行うことになる」とし、奉仕の内容を特定しなかった


(中略)


報告書には当時の慰安婦の経験した苦痛が盛り込まれている。慰安婦のうち半分以上の11人が19歳以下の年齢で募集された。


(中略)


最も若かったキム・ヨンジャは17歳でビルマの地を踏んだ。キム・ヨンジャの契約書には「日本軍の諸規定を守らなければならず、家族の借金返済のために前金として支給された金額によって6ヶ月から1年まで家主*1のために義務的に働くべきだ」という内容が含まれている。


(中略)


日本の極右は「武力を利用した強制連行は無かった」とし、慰安婦の存在を否定するが学者たちは略取誘拐は当時の日本法でも不法だったと指摘する。


報告書には「1943年に借金を精算した一部の慰安婦が韓国に戻ることを許された」という内容が含まれている。しかし、キム・テクゴンは「帰郷の機会は事実上与えられなかっただろう」と分析する。



(中略)


何よりも慰安婦たちは肉体的・精神的苦痛に悩まされた。慰安所の外には順番待ちの兵士がいつも長蛇の列を作った。女性たちは苦痛だったが、その度に兵士たちは怒ったと話した。



(後略)



国民日報「버마 강변에서 발견된 조선인 여성들… 미군이 기록한 일본군 위안부(ビルマ川辺で見つかった朝鮮人女性たち...米軍が記録した日本軍慰安婦)」より一部抜粋

報告書曰く「『慰安婦(comfort girl)』とは、売春婦や『プロのキャンプフォロワー』に過ぎない」、「大半の女性は無知で教育を受けていない」、「『地上最古の職業*2』に関わっていた者もいた」、「彼女たちが交わした契約書には(中略)借金に応じて半年から1年働くことなどが記されており、そのためのお金が支払われていた」などなど、韓国の今までの主張にとって都合の悪い(契約の存在)ことが色々書かれていたりするのですけれど、見事にすり替えていますね。

「武力を利用した強制連行はなかった」=「慰安婦の存在を否定」なんてしていません。あくまで「強制連行の否定」と「軍部・国家の積極的関与」を否定しています。慰安婦(当時はそう呼びませんが)は民間の職業詐欺・人身売買です。

あと女性たちの年齢についてですが、これは邪推ですけれども教育をまともに受けていない女性が、自身の年齢を正確に把握しているものだろうか?という疑問があります。(自称)元慰安婦たちの年齢が証言のたびに微妙に変わるのは、彼女たちが自分の生年をきちんと把握していないからでは?と思うのですけれど。

他にも、慰安婦の実生活として書かれている部分の報告書はなぜか添付されていません。

何しろ「帰郷の機会は与えられなかっただろう」という分析はそういう資料があるわけではなく、憶測です。報告書には「1943年に帰国を許された」としか書かれていない(らしい)ですから。

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日本語訳は大体の意訳です。元画像はリンク先の記事またはwikiでどうぞ。


このレポートから分かることは、業務内容がよく分からないのに契約書にサインしてしまった哀れな朝鮮人女性たちがいたことです。

正直、それほど当時の朝鮮人女性は「無知」で「世間知らず」だった、ということを知らせているだけで、被害性は強調できていないと思います。なにせ「契約書」が交わされていたわけですから。内容を把握していなかったのなら、それは彼女たちの落ち度になります。

また、その女性たちは家族の借金を肩代わりしてもらうために家族に「売られた」または自らで「身売りした」ことも記されています。報告書に書かれているということは本人たちが尋問でそう話したからでしょう。

*1:慰安所経営者

*2:売春婦のこと。