半導体サプライチェーン再編の動きの話

半導体サプライチェーンの再編が加速しています。
TSMCを日本が誘致したという話は周知のことですが、エルピーダを買収したマイクロンも新工場の立地を探しているそうです。
一部では情報ソース不明ながらも広島が候補に上がっているとの話も。しかしマイクロンは公式には「まだ場所は決まっていない」としています。

 

 

聯合ニュースの記事からです。

半導体業界は投資戦争中..マイクロン「10年間で176兆ウォン投資」


世界的な半導体不足事態において、半導体業界が競争的な投資に乗り出す中、米マイクロンテクノロジーも大規模な投資計画を発表したとウォールストリートジャーナル(WSJ)が20日(現地時間)報道した。

これによると、マイクロンのサンジェイ·メフロトラ最高経営者(CEO)は同日公開されたインタビューで「今後10年間、既存の生産施設の拡張や新規工場建設などに1千500億ドル(約176兆4千億ウォン)を投資する計画だ」と明らかにした。

メフロトラCEOは今年の会計年度だけで歴代年平均より多い120億ドルの資本支出を計画しているとし、特に研究開発(R&D)に30億ドルを投資する計画とした。

これと関連し、日本のマスコミはマイクロンが最大69億8千万ドルを投資して日本の広島県にDラム工場を新築する計画だと伝えている。
メフロトラCEOはさらに「20〜30年代の需要に合わせて供給量を増やすために、米国など世界各国の政府とも活発に接触していると話した。
同氏は、「新規工場の位置はまだ決めておらず、米国内の数ヵ所と既存工場のある地域などを調べている」と明らかにした。
マイクロンは自社主力半導体を米国ではなく台湾、日本、シンガポールで生産している。

(中略)

これに先立ってインテルは、米国に続いて欧州内の半導体生産設備の拡充のため、950億ドルを投資する計画だと明らかにした。

台湾のTSMCは、日本に半導体工場の新築を発表しており、サムスン電子グローバルファウンドリーズも投資計画を発表した。


聯合ニュース「반도체업계는 투자전쟁중..마이크론 "10년간 176조원 투자"(半導体業界は投資戦争中..マイクロン「10年間で176兆ウォン投資」)」より一部抜粋

マイクロンの広島への新工場云々を報じた日本の新聞というは日刊工業新聞です。ただブルームバーグによると日刊工業新聞は情報ソースを明らかにしていないそうです。

先日、インテルCEOのゲルシンガーさんは台湾・韓国の地政学的な潜在リスクを鑑みて米国内での生産施設拡充の必要性を、「世界が一つの地域に依存することになれば、それは政治的に安定的でない」として説いています。
マイクロンが新工場をどこに作るのかはともかく、半導体業界で中長期的な枠組みの再編が本格的に動き始めたようですし、地政学的・政治的リスクを鑑みた判断が行われることでしょう。

日本は今後10年の長期計画として海外メーカーの誘致に力を入れる形で、日本メーカーに拘らず、日本国内に生産拠点がある、ということを強みにしていく所存のようです。