米教授、「第2の朝鮮戦争の危険性」について4つの根拠の話

米国大学の政治学者(韓国系)が「第2の朝鮮戦争」の危険性について、政治系メディア「The Hill」への寄稿文で指摘したそうです。

原文ではなく、韓国メディアの引用記事を読んだだけですけれど、何か...ちょっとモヤっとした感じがします。
根拠を4つ挙げてまして、それについては納得できる部分もあるんですけどね。

 

 

ニュース1の記事からです。

「第2の韓国戦争発生も」米教授が警告...「米国の軍事力衰退·北韓の軍事力」を根拠に


(前略)

イリノイ州立大(UIC)政治学科のチェ·スンファン教授が米国の政治専門メディア「ザ·ヒル」に寄せた寄稿文で9日(現地時間)、韓国戦争勃発につながる「4つの根拠」を上げた。
チェ教授は4つの根拠として「△米国の軍事力衰退△対北朝鮮外交に消極的なバイデン政府△急成長した北韓の軍事力△対北韓政策に強硬なユン·ソクヨル候補の当選可能性を提示した。

彼はまず「以前は米国が大韓民国ソウルの近くに軍人を置いている限り、いくら北韓が挑発しても南北間戦争はないと言われた」とし「今や韓半島に暗雲が立ち込め、何が起こるか分からなくなった」と述べた。

それとともに4つの根拠のうち1つ目に「米国の軍事力衰退」を挙げた。「米国の軍事力衰退が韓国に危険な力の空白を作る」とし「米国はこれ以上全世界的に軍事的優位を維持することはできない」と主張した。

(中略 ※アフガン撤退やウクライナ情勢に触れた後)

彼は「こうした理由でバイデン大統領が欧州の安保措置を強化するために大韓民国に対する米国の安保優先水準を低めなければならない」とし「そうなれば韓半島は『米国の軍事力再分配』のために危ぶまれる」と述べた。

(中略)

チェ教授が提示した2つ目の韓半島戦争勃発の可能性に関する根拠は、北韓に向けたバイデン大統領の外交政策路線だ。

彼は「バイデンの外交政策チームは外交的に北韓に対応できる水準ではない」とし「アンソニー·ブリンケン国務長官とジェイク·サリバン国家安保補佐官が中国とロシア、イラン問題で北韓との対話を優先視したことはない」と指摘した。
彼は「ただダニエル·クリテンブリンク米国務次官補(東アジア·大平壌担当)が『前提条件』なしに北韓と外交をする用意があることを示唆したが、バイデン大統領が『対北制裁調整官』だったフィリップ·ゴールドバーグ氏を駐韓米国大使に選択することで、それとは食い違うシグナルを金正恩委員長に送る」と見通した。

(中略)

韓半島戦争勃発の可能性の3番目の根拠としては「急成長した北韓の軍事力」を挙げた。

彼は「金正恩が2012年に執権した後、北韓の軍隊は核兵器弾道ミサイルプログラムの急速な発展に支えられ、さらに強力になった」とし「米国と大韓民国の努力にもかかわらず北韓は『非核化』しないことは明らかだ」と力説した。

また「北韓核兵器を国家安保の中心だと見ている」とし「金委員長にとって核放棄とは『行き止まり』」とし「彼はリビアカダフィイラクのサダム·フセインなど核兵器開発計画をあきらめて○害された独○者たちを思い浮かべることができ、1991年ソ連崩壊以後、核を放棄したウクライナベラルーシカザフスタンなど旧ソ連3カ国が互いに違う次元で経験した安保危機もよく知っている」と説明した。

(中略)

彼は「金委員長と一緒に座って意味ある対話を交わすためには、バイデン大統領が『大韓民国』と関連した政策について革新する意志がなければならない」と助言した。

(中略)

彼は「大統領選挙でユン·ソクヨル国民の力候補が勝利すれば、韓国はより『タカ派的な大統領』を持つことになる」とし「検事総長出身のユン候補は27年間、世の中を黒と白に分けて見る方法を学んだ」と述べた。

続いて「たとえユン候補が北韓との対話及び人道的支援に開かれていると述べたといっても、ユン候補は安保問題において強硬な立場を取っている」とし「さらに韓国が核ミサイル攻撃の差し迫った脅威に直面する場合、北韓に『先制打撃』をしなければならないとも提案した」と付け加えた。

(中略)

最後に「米軍の優先順位が必要以上に変わる可能性があり、韓国の強硬派指導者が金正恩に対抗する可能性があるため、また次の韓国戦争の危険はいつにも増して大きい」と主張した。



ニュース1「"제2 한국전쟁 날 수도" 美교수 경고…'미 군사력 쇠퇴·北 군사력' 근거로(「第2の韓国戦争発生も」米教授が警告...「米国の軍事力衰退·北韓の軍事力」を根拠に)」より一部抜粋

「暗雲が立ち込め何が起こるか分からなくなった」の強調部分は意訳です。直訳すると「視野が広がった(原文「시야가 넓어졌다」)」となるんですが、「暗雲が立ち込めて」いるのに「視野が広がる」は日本語的に矛盾した表現なのでこうしました。

 

持って回ったような言い回し(英語→韓国語→日本語だから?)になっている部分がありますが、要するに

1. 米国はかつてのような圧倒的軍事大国ではない。
2. 米国の対北政策は機能しておらず一貫していない。
3. 北朝鮮の軍事力は急成長している。
4. 北朝鮮に強硬なユン・ソクヨルさんが大統領になれば緊張が増す。

この辺りが根拠として挙げられています。
また、「意味ある対話を交わすためには、バイデン大統領が『大韓民国』と関連した政策について革新する意志がなければならない」との言い方は恐らく「制裁緩和を選択肢として積極的に取り上げるべき」との意味ではないでしょうか?

北はミサイルを放棄するつもりはない、という見立ては私も同感です。
それと、相手の行動は制御できないのだから、こちらが制御できること(こちらの行動/反応)をコントロールすべきって考え方は理に適っているとも思います。

でも、じゃあ制裁を緩和して刺激せずに体制維持・核兵器保有を事実上「容認せよ」(私には記事はそう言っているように受け取れる)と言われると、それは違う気がします。