「日本が慰安婦合意を守っていないので合意を根拠とした一審判決は間違っている」という話

記事の扱いが小さすぎて見逃していましたが24日に慰安婦関連の公判があったようです。
慰安婦訴訟は複数あるのでややこしいと思います。今回のは2021年4月に一審判決で日本の主権免除を認めたもの(詳細こちら)のニ審です。
当時、裁判所は日本の主権免除と慰安婦合意の有効性を認め審理なしで棄却しました。
これに対し原告側は上告し、日本が合意を守っていないため一審判決は間違っている、としています。

 



ニュース1の記事からです。

慰安婦被害者側「2015年の合意が根拠の一審判決は誤り...日本、責任を認めない」


日本軍慰安婦被害者側が二審の初公判で日本政府が一貫して不法行為の責任を認めていないため、2015年の韓日慰安婦合意を根拠とした一審判決は誤りだと主張した。

イ・ヨンスさんら慰安婦被害者と遺族の訴訟代理人は24日、日本政府を相手取った損害賠償請求訴訟の控訴審初公判で「慰安婦合意は謝罪と責任を内容としているが、日本政府は移管して慰安婦問題を否定し、不法行為の責任を認めていない」と明らかにした。

昨年4月の一審で裁判部は慰安婦合意が被害回復に向けた日本政府の権利救済の性格を持っていると判断した。
その根拠として、示談に△被害者に対する日本政府レベルの謝罪と反省が盛り込まれており、△被害回復のための具体的な事業を定め、△被害者10人中4人が和解治癒財団から現金を受領した点を挙げた。

しかし被害者側の代理人は「日本政府が合意内容と異なる立場を固守しているため慰安婦合意を権利救済手段と認め国家免除を適用しても問題がないと判断した一審判決に過ちがある」と強調した。

(後略)



ニュース1「위안부 피해자 측 "2015년 합의 근거 1심 판결 잘못…일본 책임 인정 안해"(慰安婦被害者側「2015年の合意が根拠の一審判決は誤り...日本、責任を認めない」)」より一部抜粋

合意内容を権利救済手段と認めることと、主権免除の適用には全く関係がありません。
合意が有効なら主権免除の適用に問題なし、合意が無効なら主権免除を適用してはならない、なんてことにはなりません。この辺で既に論点というか焦点がズレています。