「韓国外交惨事」のまとめ記事...戦略的あいまい性が韓国の生きる道なのに、こんなんで大丈夫か?な話

ハンギョレが国連総会の外交「惨事」の総括記事を出していましたので紹介します。
流れとしては日韓、米韓首脳会談の「不発」についてとIRA(インフレ削減法)への対応不備、これを絡めて「大統領室がコントロールセンターとして機能していない。そんな状況で国際秩序の大転換期を乗り越えられるのか?」と。

基本的にハンギョレ視点は韓国が「戦略的曖昧さ」を維持することを推奨しています。というか、米中日露に囲まれた韓国という「溝」は複数の丘(米中日露)の草を食んで生きるのが道、という金大中が推奨した「あぜ道論」に照明を当てています。
大国に囲まれた小国が生き残る最善の道なんでしょうが...それにしては韓国には野心が大きすぎると思うんですよね。

あ、国連総会なのでその後のカナダ外遊には触れていません。全く報道されていないわけではないんですが、やはり関心度としては一段下がりますからね。

 



ハンギョレの記事からです。

韓国外交、奈落に...ユン大統領「48秒惨事」総括[論説]


(前略)

首脳間会談は組まれた脚本によって行われるのが慣例です。そのために三宝人が徹底的に事前準備をします。相手国との議題はもちろん、出会いの場所と時間、動線、マスコミ露出方式まで緻密に調整します。ところが、今回の韓米首脳間の歓談、韓日首脳の略式会談はこのような慣例に照らしてみれば。ほぼすべての側面で「惨事」レベルです。私も特派員をしながら何度もワシントンとニューヨークで首脳会談、略式会談などを取材してましたが、このようなケースは初めてです。アマチュア外交の真髄を見せてくれるようです。

(中略)

韓日首脳会談の場合、私は会う場所から屈辱的だったと思います。大統領室では岸田総理が参加した行事会場をユン大統領が訪ねたと説明しました。ところが、よりによってその行事会場が国連駐在日本代表部が入居した建物です。通常、このような場合は首脳会談は第三の場所で開かれるのが慣例です。国連駐在韓国代表部はそこからわずか5ブロック離れたところにあります。距離では約800メートル、歩いて10分の距離です。韓国代表部でも会えますが、なぜ日本代表部の建物で合わなければならなかったのでしょうか。さっぱり理解できません。

(中略)

このような外交プロトコルを破り、あえて日本代表部入居の建物で会合をしたのは、大統領室が両首脳間の会談を次円に一方的に発表したことで起きたと考えます。首脳会談は両国が同時に発表するのが慣例です。ところが、キム・テヒョ国家安保室1次長は15日、公式ブリーフィングで韓米首脳会談と韓日首脳会談を行うことで合意し、日程を調整中だと明らかにしました。すると日本政府ではこれを否認する報道が出てきて、ついに岸田総理まで強い不快感を表しました。朝日新聞は21日、日本政府関係者の話として「岸田総理が『それなら会わない』と韓国側の一方的な発表に強い不快感を示した」と報道しました。このような事情を考慮すると、大統領室は韓日首脳間会談の成功のために会合場所をはじめ多くの部分で譲歩したものと推定されます。それさえも強制動員被害者賠償問題などで会談成果でもあれば理解することもできますが、そうでもないようです。

(中略)

バイデン大統領との会談はグローバルファンド財政公約会議後48秒に過ぎませんでした。会談どころか会合という表現を使うのが恥ずかしいほどです。大統領室もこれを歓談と訂正しました。その上、この会議場を離れる際、ユン大統領は悪口まで口にしながら発言する事故まで起こしました。

(中略)

このようなニュースに言及しなければならない私がむしろ恥ずかしいほどです。「国格墜落」そのものです。

それでもホワイトハウスはこのような報道資料まで出しました。「両指導者は韓米同盟を強化し、北韓の脅威に対応するために緊密に協力しようという約束を再確認した。また、サプライチェーンの弾力性、核心技術、経済・エネルギー安保、世界保健、気候変動など広範囲な優先課題に関して進行中の協力について議論した」。48秒間、このように多くの主題を議論することができたのでしょうか?皆様のご判断にお任せします。それさえも国内で最大の話題である韓国製電気自動車差別待遇の問題には一言も触れていません

(中略)

両国の国家安保会議(NSC)レベルで具体的な協議を行い、その内容を両国首脳が追認したという意味を付与することもできます。しかし、バイデン大統領が電気自動車問題に対する韓国の懸念を理解したことに満足する国民は恐らくいないでしょう。このように敏感な問題は実務ラインで解くのに限界があります。首脳の政治的資源を動員して解決しなければなりません。電気自動車問題は米国議会が法条項を改正してこそ根本的に解決できる事案であるため、バイデン大統領が積極的に乗り出してこそ可能です。

(中略)

私は今回の外交参事は外交に対する大統領の認識不足と不適切な言動、さらに国家安保室のアマチュアリズムと不十分さが合わさった結果だと思います。

(中略)

インフレ削減法が米国議会を通過する前に私たちがまともに対応できなかったことも私は大統領室の混沌と無関係ではないと思います。7月27日に法案最終案が公開されたとき、事案の重大性を迅速に把握したとすればちょうど訪韓したナンシー・ペロシ下院議長に問題提起することもできたでしょう。

(中略)

今、電気自動車だけが問題になるのではありません。半導体分野では米国政府補助金を受ければ中国に先端工場の新・増設を10年間制限される法が通過し、すでに施行に入りました。バッテリーは来年から一定の鉱物・部品要件を備えなければなりません。バイオも最近、バイデン大統領が米国内の研究と製造を強化する内容の行政命令を発動しました。我が国の主力先端産業であるいわゆるBBC(バッテリー・バイオ・半導体)がすべて大きなリスクに晒されたのです。

(中略)

韓国政府が国際秩序の大転換期を乗り超えていく戦略があるのか疑問です。現政権は米国との「経済安保同盟」を通商政策の基調としています。ところが経済安保という概念は基本的に覇権国が組んだフレームです。米国は同盟・友好国を経済安保という旗印の下、自身が主導する経済ブロックの中に縛って覇権挑戦国である中国を弱化させる一方、自国製造業の復活を図っています。韓国のような開放型通商国家にはこのような保護貿易主義が非常に不利です。

米中覇権競争は両国に挟まれた国々が受ける打撃だはるかに大きいです。戦争のような極端なシナリオを排除し、経済的側面だけを見てもそうです。このような予測は国際通貨基金IMF)が発表した報告書でも確認されます。

(中略)

私たちは米 - 中デカップリング時にも両経済ブロックと共に交易が許される場合、国内総生産GDP)が小幅増加しました。韓国が中国に代わる漁夫の利を得るからです。半面、同じブロック内でのみ交易が許される場合は国内総生産減少率が6%に達し、衝撃が競争国の中で最も大きかったです。減少規模が日本の2倍にもなりました。これは韓国経済の対外依存度が非常に高いことに起因する現象です。このような予測は今後、韓国がどのように接近しなければならないのかに相当な示唆を投げかけてくれます。

金大中大統領はこのような状況をかつで「あぜ道論」で明快に整理していました。

「安保面では米国が重要で経済は両方とも重要です。私たちは地政学的に溝に入った子牛と同じです。両側の丘の草をかじって食べるんですよ。周辺にある米国、日本、中国、ロシアを経済的に活用しなければなりません」
今のような大国間の対立時期にはあぜ道論が限界に直面するしかないが、機会は開かれています。

1980年代半ばから後半、米日産業覇権戦から教訓を得なければなりません。米国は当時、自国産業を追い越そうとしていた日本を挫折させようとプラザ合意と日米半導体協定を結びました。中国の挑戦を阻止しようとする今の動きと似ている側面があります。当時、韓国企業は日本企業が停滞している間に新しく開かれた中国市場を踏み台にして世界的企業に成長することが出来ました。今の米中対立の時期も混乱しているように見えますが、活路を見出すことが出来ます。

(後略)



ハンギョレ「한국 외교, 나락으로…윤 대통령 ‘48초 참사’ 총정리 [논썰](韓国外交、奈落に...ユン大統領「48秒惨事」総括[論説])」より一部抜粋

太字にした部分、「国連駐在日本代表部の建物で会ったことからして屈辱的」「韓国代表部はそこから約10分」「韓国代表部でも会えたのに」...相手方の代表部建物で会うことが「屈辱的」であるのに、日本を韓国代表部の建物に呼ぶことをタブーとは考えない、こういう発想はとても不思議です。さっぱり理解できません。
(※著者はそのすぐあとで日韓外交が「敏感な外交関係」であることを勘案して「私が選ぶなら両代表部の中間にあるホテルを選んだ」としていますが、「敏感な外交関係」という前提がなければ「呼びつければいいこと」ということでしょうか?)

記事では基本的に韓国大統領室が発表した「日韓首脳会談決定」を公式発表として、一方的に発表されたことで日本側が「それなら会わない」と翻意したが、なんとか首脳間会談を実施するために韓国側が多くの譲歩をした、という見方になっています。
場所や時間については確かに譲歩があったと思うんですが、私はそもそもの「日韓首脳会談決定」が怪しいと思っています。
話はあったと思います。無い方が不自然ですから。でもそれは「検討」の段階であったのではないかと思います。

私は反対の立場ですけれど、中には強硬に反対するだけではダメだ、という人もいるでしょう。日本側にも問題解決の意志があることを示すためにもそろそろ一回会っておいた方が良い、とか「韓国政府の動きをそれなり評価してますよ、ほらほら、解決策を持ってきてごらんなさい」プレッシャーのために会えば良い、という考えもあるでしょう。
いずれにせよ、検討はされていたと思います。
その「検討」を勝手に「決定」と発表したのではないかと思うのです。例えば日本側が「会うかどうか検討」のつもりだったのを韓国側が「(会う前提で)日程を検討」というように。
その結果の「それなら会わない」は「会うかどうかの検討もしない」だったのではないかと。



後半の「活路を見出す」云々の個所は韓国の物の考え方を知る上で示唆に富んだ部分です。
「人が失敗した隙をついて上に行こうとする」思考。上昇志向という捉え方もできますが、誰かが失敗するのを虎視眈々と狙っているハイエナ思考とも取れます。
Appleジョブズ氏が亡くなったとき、サムスン社内で社員を「鼓舞する」名目で送信されたの社内メールには「今こそiPhoneを攻撃する最良の機会」と書かれていたことはあまりにも有名です。
なぜ曖昧戦略が肯定されるのか、なぜ米中どちらからも蜜を吸おうとするのか、自力でトップを取れない、2番手3番手で走っていてトップが転んだ隙を付いて先頭に出る方が楽だと知っているからでしょう。

中国はそれを悪いこととは捉えません。多分、韓国がどこか一つだけを選べないとよくわかっているんでしょうね。中国にとって都合の悪い選択をしそうになったときだけ飴鞭を使えばいいと思っていそうです。

記事へのコメントは1794件。反応は「良い情報:127 興味深い:7 非常に共感:1354 良い分析:54 続報期待:148」です。

「聴力テストをしてみよう..バイデン:共感、飛ばせば:非共感」(共感2417 非共感84)

「ユン・ふりふり*1の卑賎で浅薄な言動と外交で通貨スワップ、電気自動車補助金は無くなり今後も莫大な制裁を直接・間接的に受けそうだ。下を見始めたらきりがない」(共感2292 非共感118)

「実力と準備された姿勢はなく、国民に何か見せようとすることだけを考えるユン政府の焦りの継続的な空振り外交に残るのは国格墜落と恥だ」(共感1226 非共感36)

この程度なら朝中東*2の上層部級の財閥が乗り出してユン・ソンニョルが引き出さなければならない」(共感850 非共感49)

「国民を視覚聴覚障がい者に仕立てるユン」(共感555 非共感18)

「力量がないやつらが東奔西走してゴタゴタばかり起こすので腹が立つ。李明博の下品さと朴槿恵の七光り気質が合わさり、国を山に送っている。それにジュリーまで出るなんて、これは弱り目に祟り目に泣きっ面に蜂だ。これまで成し遂げた国格とか品位どころか、大韓民国国民としてこれまで感じたことのない羞恥と屈辱感は国民の役目なのか?」(共感276 非共感9)

「外交はムン・ジェインとその参謀たちが最高だった」(共感289 非共感27)

「話したくないというのにずっと後をついて回りながら話してほしいと文句を言って、やっと一言言ってもらったことを会談だってwwフル映像を見たけど本当に気の毒で哀れだ。ずっとバイデンだけを追いかけてるwww」(共感238 非共感5)

この記事、メチャメチャ長いです。動画は20分あります。本当にこんなたくさんの人が「ちゃんと」読んだんでしょうか?疑問です。

コメントでもたびたび出てきますけど、「国格」なんて気にするのやめればいいのに。そんな短期間に上がったり下がったりするようなもの、あってないようなものでしょう。



*1:ユンさんが会見の際に頭を「ふりふり」する癖からついたあだ名。暇な人が数えたところ740回ほど振っていたらしい。

*2:朝鮮日報中央日報東亜日報