徴用訴訟賠償解決案発表以降、いろいろな日韓懸案や協議に関する報道が続いています。実際に進展があったものは今のところは無く、なんとなく必要以上に大きく報じられているだけ感がありますが...。
まあ、日韓首脳会談が実施されるのは進展かもしれません。岸田さんのインド訪問前の16~19日の日程でねじ込まれた格好です。こんな急な日程では事前にまともな議題を設けることなんて出来ないと思うので本当に「象徴」的な形だけの首脳会談だと思われます。(それでも今のユンさんには十分でしょう)
それと久しぶりに「クアッド加入論」が持ち上がっています。
もともとユンさんは「安保は米国」の方針をはっきり打ち出して大統領になった人です。それもあって就任当初は即クアッドに参加するかのような雰囲気がありました。しかし実際は参加しませんでした。クアッド側が今のところ増やすつもりはないとの反応を示した後、韓国政府側もクアッドに参加せず、大きな枠組みの中で協力体制を取る、というようなボンヤリした立場を示しました。
内情は分かりません。韓国側が参加意思を示して断られたのか、クアッド側が参加要請して韓国が断ったのか、どちらも無かったのか…ともかく韓国はクアッド参加をせず、クアッド関連の報道もその後フェードアウトしていったというのが現実です。
それが日韓関係改善を契機に日米韓協力が進むことを踏まえて再度注目されている感じです。
韓国経済の記事からです。
韓米日安保協議体は必須?...「クアッド+α」韓国加入の可能性は
最近、政府で4者(米国、日本、豪州、インド)安保協議体である「クアッド(Quad)」のワーキンググループに参加する議論が本格化した。ユン・ソンニョル政府は政府発足初期にすでにクアッド加入意向も明らかにしたため韓国が追加でクアッド会員国になる可能性に対する議論が大きくなった。
(中略)
政府高官は7日、政府が米国主導の対中けん制協議体であるクアッド(Quad)の実務グループ参加を加速化すると言及した。当局者はこの日、ワシントンDCで特派員たちに会い、「(韓国のクアッド実務グループ)参加に対して積極的に共感する」として「クアッドに私たちはまだ入っていない状態だが、ユン・ソンニョル政府はインド・太平洋戦略でクアッドの重要性を強調している」と話した。
米国・日本・豪州・インドなど4カ国が参加中のクアッドは対中国牽制の性格が強い協議体だ。ユン大統領は大統領選候補時代、外交・安保公約で「クアッド傘下のワクチン、気候変動、新技術ワーキンググループに本格的に参加し、機能的協力をしながら今後正式加入を模索する漸進的接近を追求する」と明らかにした。
このため今回のワーキンググループ参加後、韓国が本格的にクアッド加入を打診するのではないかという見方もある。いわゆる「クアッドプラスアルファ」構想だ。
(中略)
中国官営メディアのグローバルタイムズは9日、クアッド実務グループの参加に速度を上げるという韓国政府の立場に対して「ユン・ソンニョル政府が米国の列車に自身をさらに強固に縛ることで政治的独立性を失いつつある」と伝えた。
この日グローバルタイムズはまた「親米派と評価されるユン・ソンニョル政府が就任後、日本との関係改善に乗り出したのは米国の強力な圧迫のため」とし「これは韓国国民を失望させ結果的に韓国の国家イメージと国益を害する決定」と批判した。
(中略)
クアッドに韓国を引き込もうという「クアッドプラスアルファ」のアイデアは既にかなり前から国際社会で行われてきた。2021年、クアッドの首脳らはワシントンポスト(WP)共同寄稿文を通じて「我々は共通した目標を共有するすべての人々とともに働く機会を模索する」としクアッド拡大構想計画を示唆した。
しかし2023年3月現在、クアッドプラスの実現可能性に対する専門家の見解はまちまちだ。民間軍事研究所である安保政策ネットワークスは最近、国会事務処に研究報告書を提出し「政府が国防・安保体制発展のために韓日関係を韓米日軍事同盟水準に格上げし『クアッドプラスアルファ』に加入する決断を下さなければならない」と主張した。
(中略)
反面、クアッドはそのままにして最近議論された韓米日3ヵ国拡張抑制協議体のように新たに安保協力体を考えるべきだという意見もある。チョン・グヨン江原大学政治外交学科教授は「クアッド設立初期に韓国が加入したならともかく、すでに協議体が強固になった現在では加入するには遅い側面がある」とし「クアッド実務グループでインド・太平洋地域内の安保関連国際地位を高めた後、域内国家の利害関係を反映した新しい協議体を作るのが望ましい」と明らかにした。
韓国経済「한·미·일 안보협의체는 필수?…'쿼드+α' 韓 가입 가능성은(韓米日安保協議体は必須?...「クアッド+α」韓国加入の可能性は)」より一部抜粋
記事の主張が途中からちょっとおかしい気がします。気のせいでしょうか?
クアッドに入りたいと言い続けてきたユン政府、いまだにクアッド加入できず、とりあえずワーキンググループに入れてもらって正式加入の道を探す、という状態なのに、国際社会は前々から韓国を「引き込もうとしていた」と?いやいや、それなら喜んで正式加入を歓迎するはずでしょう。矛盾しているように感じます。
クアッド参加否定派の言う「域内国家の利害関係を反映した新しい協議体」は中国の顔色を見る(米中間バランス)という意味でしょう。
それと後から入ると主導権を握れないので韓国の都合が通せないというのも嫌なんですかね。