「韓国半導体企業の時価総額と収益が後退」...だから減税しろ、という話

韓国の全国経済人連合会調べによると、2018年には100大半導体企業の中でサムスンは世界1位、SKハイニクスは10位だったそうです。それから4年経ちサムスンは3位に、SKハイニクスは14位へと後退してしまいました。しかも、100大企業に含まれる韓国企業は3社のみで他のチップ4国(米国28社、台湾10社、日本7社)と比べても少なかったということです。

全経連は原因を米国や台湾に比べて高すぎる韓国の法人税と分析しています。メモリー半導体が主製品である韓国企業は生産効率を上げるために毎年大幅な設備投資が必要であるので法人税負担のために収益率が上がらない、また法人税負担のために十分なR&D投資を行えない、とこういう理屈です。

 



マネートゥデイの記事からです。

サムスン電子さえ3位に押された...「韓国半導体企業の時価総額と収益が後退」


全世界の時価総額基準で100大半導体企業のうち、韓国企業はたった3社に過ぎないことが分かった。世界の半導体企業の中で時価総額1位だったサムスン電子TSMCNVIDIAに押され3位に止まるなど、時価総額の順位と収益性も後退した。

24日、全国経済人連合会が今年1~9月の平均時価総額基準上位100大半導体企業の経営指標を比較した結果、100大企業の中で韓国・米国・日本・台湾など「チップ4(主要4ヵ国半導体サプライチェーン協議体)」に属した企業は計48社であることが分かった。このうち韓国企業はサムスン電子、SKハイニクス、SKスクエアなど3社に過ぎなかった。米国が28社で最も多く、台湾(10社)と日本(7社)がその後を継いで韓国をリードした。

半導体時価総額100大企業のうち中国企業は42社に達した。SMIC(28位、ファウンドリー世界5位)

、TCL科技(31位、太陽光・半導体素材)、清華紫光集団(32位、ICチップ設計・開発)、Will Semiconductor(38位、ファブレス世界9位)など多様な分野の半導体企業が入った。

これらは規模は相対的に小さいが巨大な内需市場と政策支援を土台に急速に浮上した。中国企業の2018年対比2021年の年平均売上高増加率(4年移動平均売上高基準、以下同基準)は26.7%で中国以外の企業(8.2%)に比べて成長性が約3.3倍高いことが分かった。

国内企業の時価総額順位はすべて下落した。2018年基準で時価総額1位だったサムスン電子は今回の調査でTSMC(台湾)とNVIDIA(米国)に席を明け渡し3位に落ちた。10位だったSKハイニクスもAMD(米国)などに追い越され14位に落ちた。

経営指標も振るわなかった。100大企業のうち韓国企業の売上高対比純利益率は2018年の16.3%から2021年は14.4%へと1.9%ポイント減少した。一方、ライバル国の米国(+3.9%p)と日本(+2.0%p)、台湾(+1.1%p)はいずれも上昇した。これに対して全経連関係者は「半導体は韓国輸出の5分の1を占める代表産業だがグローバル同種業界で時価総額順位で押され収益性も低下している」と話した。

韓国企業の営業キャッシュフロー対比設備投資率は2021年に63.1%とチップ4国家の中で最も高かった。韓国はメモリー半導体生産が主力であり毎年大規模・最新設備投資を通じて生産性を高めた結果だ。反面、売上高対比研究開発(R&D)投資比率は2021年8.3%でチップ4国家の中で最も低かった。R&D投資比率は半導体設計を行うファブレスで高く、韓国・台湾のメモリーファウンドリーのように生産工程が重要であれば低い傾向にある。

韓国企業の法人税負担率は2021年は26.9%でチップ4国家の中で最も高かった。これは米国(13.0%)、台湾(12.1%)の2倍水準だ。韓国の法人税負担率は2018年より1.4%p増加した反面、同期間に米国は減税政策を展開した結果、法人税負担率が3.4%p下落したと集計された。台湾の法人税負担率は4ヵ国のうち4年連続最低で租税環境が最も有利だと分析された。

(後略)

マネートゥデイ「삼성전자마저 3위로 밀렸다…"韓 반도체기업 시총·수익 뒷걸음"(サムスン電子さえ3位に押された...「韓国半導体企業の時価総額と収益が後退」)」より一部抜粋

会社名、多分合ってると思います。中国(と台湾の)メーカーは時と場合によってアルファベット(英語名)で読んだり中国語発音で読んだり音読みにしたりするからヤヤコシイです。特に中華メーカーはサブブランド毎に子会社を設立して本社製品のOEM版を販売していたりするから傘下企業もわんさかあって訳わからなくなります。
紫光集団って去年破産報道が出てたはずですけど、全然影響ないみたいですね。まあ、国立大学がバックについた実質国有企業ですから。



半導体産業の心配をしているような記事ですが、本当に言いたいのはそこではありません。この記事の要点は「法人税を下げろ」です。
全国経済人連合会は日本でいう所の経団連に相当する組織ですから、何かっていうと法人税を下げたがります。確かに法人税の負担はバカにならないと思いますけれども、記事の言いようだとすべてが「法人税のせい」のように聞こえます。米国と台湾が韓国より先んじているのは「法人税が有利だから」と。

記事へのコメントは323件。反応は「良い情報:5 興味深い:5 非常に共感:61 良い分析:1 続報期待:11」です。

「これがすべてムン災害のせいだ。反論がある人は民主党員」(共感635 非共感253)

「しばらく投資して育てなければならない時に総帥を監獄に入れて労組に入れと脅したのだから台湾に追いつかれて国が揺らぐんだ。災難だ、災難」(共感281 非共感39)

「これがムン政権下でサムスンと大企業を叩いた結果だ。民主労総の結果だ。大企業は東南アジアに去り韓国は高級雇用はもちろん、すべての下請け業者の雇用も無くなるだろう。そして飲食業など、すべての自営業者は居場所が無くなるだろう。ムン政権と民主労総はこのすべての事態の責任を負わなければならない」(共感208 非共感40)

「イ・ジェヨンを刑務所に入れておいて...このザマだよ」(共感89 非共感30)

「税金が多すぎるよね...ドロボウたちが多すぎて...ここまで来れたのもすごい...」(共感52 非共感3)

コメントもやっぱり「〇〇のせい」な見方が多いです。サムスン自身の問題(経営体質や経営戦略)ではなく、まず「環境」のせいを先に強く意識するのが韓国らしいように思います。