韓国政府負債比率、IMF統計作成以来の最高値を記録、非基軸通貨平均を上回ったという話

韓国の政府負債比率がIMFの統計作成以来、最高値を記録したとのことです。
基軸通貨の平均を初めて上回ったそうなのですが...上回ったからといって何か具体的な悪影響が出るのかはよく分かりません。(単に印象の問題でしょうか?)

ただし、記事の指摘とは別の部分で少し気になった点があります。
政府負債率は世界的なコロナ大流行以降、どの国も増加傾向にあるのですが、さすがに3年経ち落ち着いてきています。ほとんどの国が「微増」あるいは「減少」に転じています。
そんな中で韓国(とその他数か国)は依然として数%の伸び率となっていてちょっと不穏な感じです。

 



朝鮮日報の記事からです。

[7NEWS]韓国政府負債率、IMF統計作成以来最高を記録


(前略)

先週末、韓国の「経済危機」を警告する発表が出ました。国際通貨基金IMF)が今月30日に出した「財政点検報告書(Fiscal Monitor)」です。この報告書を分析した結果、韓国の政府負債比率が非基軸通貨国11ヵ国の平均を今年史上初めて超える一種の「デッドクロス」(dead-cross)現象が発生しました。

先進国に分類される世界35ヵ国のうちIMFは非基軸通貨11ヵ国の2022年年末基準の国内総生産GDP)対比一般政府負債(D2)比率の平均を53.5%と予想しました。同じ時点で韓国政府の負債比率は54.1%であるとIMFは発表しました。IMFが政府負債比率を集計し始めた2011年以来、こうした逆転は初めてで、韓国政府の負債比率は過去最高を記録しました。

GDP対比政府負債比率(D2)は、国内で主に使用する国家債務(D1・中央政府+地方・教育自治体負債)に、非営利公共機関の債務を加えた広義の政府負債で、国際社会で政府間比較時に主に使われます。

韓国政府の負債比率が非基軸通貨国平均より高くなったという事実は、韓国が気を使わなくてはならない財政健全性*1指標に赤信号が灯ったことを意味します。IMFは韓国の急激な少子化・高齢化に低成長が重なり韓国と非基軸通貨国間の政府負債率の格差が2027年には7%以上広がると予想しました。

(後略)



朝鮮日報「[7NEWS]韓國 정부 부채 비율, IMF 통계작성 이래 최고 기록([7NEWS]韓国政府負債率、IMF統計作成以来最高を記録)」より一部抜粋

記事では30日に出した?とか書かれていますが、IMFのFiscal Monitorが出たには今月9日です。
ここにあります。Full Reportで「Table A7」を検索すればD2のデータテーブルが見られます。

記事での指摘は非基軸通貨国との比較でしたが、データを見るともう一つ気になる点として、上部に掲載されているG7あるいはG20の平均との比較です。
G7もG20も2019年と2020年は大きく負債率が増えています。コロナ対策費ですね。韓国ももちろん増えています。ちょっと表にまとめます。

  2019 2020 2021 2022
G7 118.1 140.8 134.7 128.3
G20 112.8 134.4 128.7 122.9
韓国 42.1 48.7 51.3 54.1
日本 236.3 259.4 262.5 263.9

2019年から2022年までの推移は上の表のようになっています。
2019年と2020年を比較するとコロナの影響で大きく増えているのですが、G7とG20の平均は2020年と2021年では減っています。韓国は増え続け、2022年でもまだ増えています。
最後に載せた日本はおまけですが、補正予算を全額赤字国債で賄っていた日本でさえ2022年は微増です。
なんか私はこっちの方が気になりました。



*1:原文「재정전전성」は「재정건전성」の誤字と思われる。