公的機関ではなく民間金融機関の研究所による報告となりますが、韓国の満20~64歳の金融消費者5000人を対象に調査した結果、月平均世帯所得は489万ウォンで、そのうち86%に当たる421万ウォンは毎月の固定費として支出されることになり、余裕資金は68万ウォンとなりました。
所得の半分以上を貯蓄に回す余力があるとしたのは25%(1250人)。回答者の45%(2250人)は所得のうち貯蓄余力は30%を下回り、12.7%(635人)の回答者は所得より支出が上回ると回答しました。
また、回答者の80%(4000人)が仮想通貨投資を経験したことがあり、そのうち71.1%(2840人)が累積で-10%以上の損失を被っていたとのこと。
アジア経済の記事からです。
「月給の86%が固定支出」...半分は「所得30%の貯蓄は難しい」
(前略)
ハナ金融研究所は29日、「2023大韓民国金融消費者報告書」を通じて満20~64歳の男女5000人を対象に金融消費者の金融生活全般を分析した。
同報告書によると、月平均世帯所得(489万ウォン)の86%(421万ウォン)は毎月固定消費、保険、融資返済、固定貯蓄・投資などに使われ、このうち余裕資金は68万ウォンに止まった。固定貯蓄、投資金および余剰をすべて貯蓄すると仮定した場合、平均貯蓄余力は所得の30.9%水準である150万ウォン前後だった。
回答者のうち25%だけが所得の半分以上を貯蓄する余力があり、45%は貯蓄力が所得の30%を下回ることが分かった。回答者の12.7%は所得より支出が大きく貯蓄が不可能な水準であることが調査された。
報告書によれば今年の財政・経済目標を尋ねる質問に、金融消費者の17.9%はまず生活に関する問題解決が優先、13.4%は財政目標が無いと答えた。このような認識はMZ世代(ミレニアル+Z世代)でより高く現れたが、貯蓄余力が不足して未来に備えるだけの余裕が多くないと推測された。
また、金融消費者の10人のうち8人が仮想通貨投資を経験したと調査された。投資経験者の71.1%は累積収益率が-10%以上の損失を被ったことが分かった。
(後略)
アジア経済「"월급 86%가 고정지출"…절반은 "소득 30% 저축 어려워"(「月給の86%が固定支出」...半分は「所得30%の貯蓄は難しい」)」より一部抜粋
「貯蓄余力が不足して未来に備えるだけの余裕が多くない」...韓国のMZ世代により高く表れた特徴とのことですが、日本の「氷河期世代」や「ゆとり世代」に似ている気がします。この世代は自分の好きなものにお金をかけることは厭わない反面、ブランド志向や高級品志向は無く興味のないものへの物欲が極端に薄いため消費をけん引しないとの指摘がありますし...。
このままだと韓国経済は本当に日本の20年後ろを忠実に追いかけて「失われた〇〇年」に突入してしまう事になりそうです。
記事へのコメントは67件。反応は「良い情報:0 興味深い:0 非常に共感:16 良い分析:0 続報期待:2」です。
「200、300稼いでもその日暮らしですw」(共感102 非共感8)
「両親と共に暮らしたりしないと、家賃や公課金ですごく減るT T」(共感43 非共感1)
「大企業でない一般的な会社員なら物価は上がるのに月給は足踏み状態で、一般的な会社は社長だけが満腹構造だから当然ではないか?中小企業なのに社長は年何億ウォンずつ持っていく構造なんだから貯蓄もするだろう?職員は」(共感30 非共感9)
「私は100%が支出だよ」(共感22 非共感1)
サムスンでさえ、今年の冬のボーナスは50%減だったそうですから中小企業の社長が何億ウォンも持っていく、というのは被害妄想だと思うんですが...。
そもそものハナ金融研究所が出した「平均賃金489万ウォン」が本当に平均的かは疑問です。韓国の賃金水準は企業規模で大きな格差がありまして(従業員10人前後の場合、300人以上の大企業の6割弱の水準)、2021年のフルタイム勤務者の月間賃金は389万ウォンとする資料もあります。恐らくですが、一部が外れ値で平均を大きく引き上げています。
普通に考えて固定消費には食費や光熱費、通信費は入っているはずです。それ以外で融資返済や投資、定期預金にお金を回した上で手元に6万円近く残れば十分じゃないですか?定期預金や投資をやめれば15万残るって言うんですよ、一体何が問題でしょう?
つまりこの記事の「平均」として出てきている数字が全然「平均」を表していないわけです。一番リアルな「平均(というか「中間」)」は「45%は貯蓄余力が所得の30%以下」でしょう。そして最大の問題は現時点で「支出が所得を上回る(事実上の破産)」層が12.7%も居るってことです。