米国のIRA法案では、EV購入時に最大7500ドル(約100万円)の税控除が受けられます。ただし適用には、購入したEVの最終組み立て地が「北米(米・加・メキシコ)」であることが条件に含まれており(「Made in America条項」)、日韓欧の自動車メーカーからは反発が出ています。
特に韓国では、米財務省が公式にアナウンスした対象車種一覧に韓国メーカー製が一車種も含まれていなかったことなどもありかなり気にされており事あるごとに申し入れを行っている事がメディアで報じられていました。
そんな健気(?)さが報われたのか、現代自動車のEVの「リース向け販売(レンタカー含む)」についてのみ北米組み立てでなくとも税控除が適用されることになったそうです。後に割安で買取が可能な長期リースは対象外となります。
なぜリース用は可なのかは明らかにされていません。法案を推進してきた議員は「法の趣旨に符合しない」と批判的です。
ただ、米国内における現代自動車のEVシェアはわずか5%程度ということで、この程度であれば目こぼししても支障はない、と判断されたのかもしれません。
韓国日報の記事からです。
現代の電気自動車、首の皮「わずか」繋いだ...「リース」電気自動車も米国IRAの恩恵を受ける
(前略)
米財務省は29日(現地時間)、IRA電気自動車補助金の税額控除追加指針を公開した。財務省のよくある質問と回答(FAQ)形式で説明した案内書によると、適格商業用エコカー(電気自動車)は「再販売目的ではなく納税者の(直接)使用やリース目的で取得した車両」と定義された。これにより企業が事業目的で購入するリースやレンタカー用電気自動車も最大7500ドル(約1000万ウォン)の税額控除を受けることが出来るようになった。
(中略)
自動車業界によると、現代自動車グループの米国現地における電気自動車販売台数のうちリースが占める割合は5%水準だという。現代自動車はジョージア州に建設中の電気自動車工場を2025年までに完工する予定だ。
(中略)
韓国政府と現代自動車が要求していた「北米産最終組み立て」の概念緩和や規定施行の3年猶予も事実上難しくなる雰囲気だ。米財務省が来年3月、バッテリーと核心鉱物適用要件の細部規定をどのように整理するかによって韓国産電気自動車差別論争に再び火が付く可能性もある。
より根本的な解決策であるIRA改正も難しい状況だ。IRA制定方向をより主導してきた民主党のジョー・マンチン上院議員はこの日声明を出し「(財務部が法の)弱点を探す企業の要求に屈服した」とし「明らかに法の趣旨に符合しない」と批判した。
来年から2年間、米下院の多数党を占めるようになった共和党はIRAに否定的だが、改正にも懐疑的だ。民主党はバイデン大統領の功績でIRAを評価している状況だ。新議会でもIRA改正自体が容易ではないという話だ
韓国日報「현대 전기차 숨통 '조금' 트였다... ‘리스’ 전기차도 미국 IRA 혜택(現代の電気自動車、首の皮「わずかに」繋いだ...「リース」電気自動車も米国IRAの恩恵を受ける)」より一部抜粋
言葉の綾かもしれませんけれど、「より根本的な解決策」として「IRA改正」を上げていることが「らしい」気がします。
米国側からすれば、「より根本的な解決策」は「現代自動車が最終組み立てを北米で行う」ことだと思いますが、韓国側は「韓国の立ち場を話せば分かってくれる(ウリの利益のために配慮すべき)」という近視眼的な話になるんだろうな、と。相手がどれだけ「ウリ」の利益に配慮してくれるかが、すなわち相手と自分の関係性の証明になるというか...。