所得同等婚の割合が少ない…韓国ドラマによくある「シンデレラ・ストーリー」本当だった?な話

韓国ドラマといえば、何を思い浮かべますか?私は普段、韓国に関わらずドラマの類を一切見ないのですけれど、それでも「韓国ドラマ」と言われると「シンデレラ・ストーリー」(と「ドロドロ復讐劇」)を連想します。

「シンデレラ・ストーリー」とは、いわゆる「玉の輿」ですが、これは実際の韓国社会における男女間の結婚傾向…特に所得面を反映しているかもしれません。
まあ、さすがに相手の男性が財閥御曹司ということは無いでしょうけれど、それでも夫婦間所得を調べてみると韓国では夫婦間の所得が近い「所得同等婚」の割合が有意に低い傾向にあることが分かったそうです。
この夫婦間の格差が世帯単位で見た時の所得不平等を緩和しているのではないか、とのこと。

 



韓国日報の記事からです。

「韓国では政府政策より結婚が所得不平等緩和に役立つ」


韓国は夫婦所得が似ている「所得同等婚」の傾向が主要国より少なく、1人または片親世帯比重も低いと調査された。このような特徴が結果的に世帯所得不平等緩和に寄与しているという分析だ。

パク・ヨンミン韓国銀行経済研究院次長とホ・ジョン金融通貨安定局安定分析チーム調査役は19日、「所得同等婚と世帯構造が世帯所得不平等に及ぼす影響:国際比較を中心に」報告書でこのように明らかにした。高所得個人と低所得個人が出会って中間所得世帯を形成した時、世帯単位所得で不平等が緩和することを「世帯内所得共有効果」という。

韓国は他の経済協力開発機構OECD)国家に比べてこのような所得共有効果が特に大きく表れた。個人労働所得ジニ係数は0.547で、分析対象34ヵ国のうち8番目に高かったが世帯勤労所得ジニ係数は0.361で平均値(0.407)を下回った。

(中略)

主要国と比べて「同等結婚」が少ないという点が背景として指摘されている。高所得男女間の結婚は韓国も少なくないが、その他高所得男性と非就職・低所得女性間の結婚や、低所得・非就職男性と中位所得以上の女性間の結婚など異質的結婚*1が他の国より頻繁な方だ。実際、韓国の夫婦勤労所得間の相関係数は0に近い0.06で、分析対象34カ国のうち最下位圏(32位)だった。単身世帯では所得共有効果が発生しないが韓国の単身世帯や片親世帯の割合は2019年基準でそれぞれ14.7%と4.0%で主要国平均(22.6%、7.4%)より低かった。

韓国の所得同等婚の傾向と世帯構造が主要国と同じになった場合を仮定した模擬実験の結果、世帯勤労所得ジニ係数は10%近く高い平均0.396まで上昇した。パク次長は「これらの要因が我が国の世帯内所得効果に有利に作用することにより、労働市場の少し高い不平等と政府の不足した政策を補完していることを示唆する」とし「今後不利な方向に変化する可能性があるだけに公的不平等緩和メカニズムを整えていこうとする政策的努力が必要だ」と提言した。



韓国日報「"한국에선 정부 정책보다 결혼이 소득불평등 완화에 도움"(「韓国では政府政策より結婚が所得不平等緩和に役立つ」)」より一部抜粋

個人勤労所得ジニ係数(0.547)と世帯勤労所得ジニ係数(0.361)の差が大きいほど世帯内所得共有効果が高いことを意味します。

なんか色々とゴチャゴチャ書かれていて分かりにくいのですが、ソースのレポートに添付されていた画像に↓がありました。



これは「同質婚指数」の表です。つまり所得の近い層の夫婦がどのくらいかを表したものです。青い棒グラフの方が男性と女性の所得分位が同じ場合、赤い点が男性の所得分位の範囲を女性の所得分位+1まで広げたものを「同質婚」と見なした場合のものです。
青棒グラフの韓国の指数は1.16、赤点の方は1.0934だそうです。日本も低い部類に入りますが数値が書かれていないので分かりません。


これがいいのか悪いのかはなんとも言えませんね。単純に「所得」で見ているだけで職業は考慮されていませんし、「同質婚」の比率が高いところは社会的身分による身分格差・階級分断の可能性が無いとも言い切れませんし。
なので、ドラマみたいな玉の輿が普通にあるからあんなドラマが量産されるのかもな、程度の小ネタとして見ていただければ。まあ、ドラマではよりヒロインを見窄らしく...魅力的に?魅せる?ために、ヒロインを天涯孤独にして頼れる身寄りが居ない設定が多いようですが、現実では両親が揃っている必要があるようですね。両親バフ…というと失礼ですか…親戚付き合いが日本より濃いが故に家族構成が重視されるのかもしれません。もしくは親同士のコネによる見合いとか?それなら一方が高所得で他方が無職でも不思議はないですね。



*1:原文「이질적 결혼」直訳。