「改良韓服」として公開された韓服風の職員制服、「日本風」との非難を受けて導入見直しに...の話

韓国伝統文化殿堂という施設があります。HPを見る限り、かなり大規模な施設みたいです。

最近、そこが導入予定として発表した職員の新制服が「日本風」と批判され大炎上しました。
コンセプトは「改良韓服」らしいんですけど、それが黒いペラペラの「作務衣」みたいに見えるんです。ちゃんと見ると衿幅は作務衣より大分細いし、手首にボタンが見えるのでシャツっぽくなっているはずです。あくまで伝統服風なのは「襟元」だけです。
しかし、これを見た人たちの目には「寿司屋の店員のようだ」と。寿司屋(飲食店)は黒より白かな、と感じますけれども、まあ批判した人たちは「寿司屋」を連想したようなんです。

 



聯合ニュースの記事からです。

韓国伝統文化の殿堂「倭色論争」に「導入見直し」


職員の勤務服として導入予定だった改良韓服が日本の伝統衣装と類似し「倭色論議」が起こった韓国伝統文化殿堂が勤務服導入を再検討すると19日、立場を明らかにした。

(中略)

議論になった勤務服は、上着の襟が日本の着物の半衿に似ており、ドンジョン(チョゴリの襟の上に重ねる布)の幅が狭く日本風だと指摘された。

韓国伝統文化殿堂はこの日発表した報道資料で「古典と現代の融合・複合的要素を加味して作った結果、不本意ながら日本衣装との類似性論議に包まれた」として「多様な市民の意見を謙虚に受け入れる」と明らかにした。

続けて「伝統韓服の美しさと実用性を生かした勤務服に再誕生させるために深みのある多角的な作業を検討していく」とし「韓服勤務服の倭色論議と関連し、悔しい部分もなくはない」と伝えた。

それとともに」(そのような部分のために)韓服を生活化し、さらに伝えていくべきだという意見もある」とし「単純に色が黒でドンジョンの幅が狭く、日本衣装の特徴に近いという指摘は反日感情を前面に押し出した先入観に起因するという立場もある」と付け加えた。

(中略)

道内のある大学のファッションデザイン学科教授は「勤務服の衿柄と幅を見れば日本風衣装を思い浮かべるのに十分だ」とし「ドンジョンをさらに広げて使い、柄も韓国伝統の方式を基盤に変形すればよかったと思う」と指摘した。

それとともに「生地が黒いが、普通韓服は明るいモノトーンを使う」として「全体的に暗くて衿も薄いので日本料理長の服のようだという指摘が出ている」と評価した。

勤務服をデザインしたファン・イスル代表はこのような指摘に対し「この衣装は朝鮮時代のカルギ(刃物の先のように先端に行くほど細くなる形の衿)を基本に製作されたもの」とし「ベースの黒色は韓国固有の伝統五方色の一つで、王が着ていた『賢衣』、学者たちの『審議』に使われる色と同じだ。ドンジョンの幅も時代によって変わるもので広ければ韓服、狭ければ日本服の概念ではない」と強調した。

(後略)



聯合ニュース「한국전통문화의전당 근무복 '왜색논란'에 "도입 재검토"(韓国伝統文化の殿堂「倭色論争」に「導入見直し」)」より一部抜粋

勤務服は↓のようなデザインです。

個人的には、上衣だけで下衣が無かったことが大きいように思います。韓服って、男女ともにハイウェストで下衣を着ているじゃないですか?上衣だけってことはありませんよね。それが余計に作務衣っぽさを助長したのではないでしょうか。
下衣は無理でも胸のあたりに韓服の帯風の装飾でもあれば違ったかもしれません。


「着物の半衿に似ている」との批判ですけど、細い襟元だけ柄の入った別布が使われていたためです。半衿は本来こんな見え方しませんが、多分「衿に装飾をする」という着方が韓服には無いためだと思われます。


「ドンジョン」はあて布です。無地の白布で装飾としての要素は低いです。あるサイトは「ドンジョンは韓服の生命。白はわが民族の清潔さを象徴している」と紹介しています。つまり「柄入り」だと清潔さを象徴できないってことです。

下の画像は韓国観光公社のHPに掲載されていた「現代風韓服」です。襟元の白い部分が「ドンジョン」です。やはり装飾性は低そうですよね。

こうやってみるとチョゴリの衿と完全に一体化していてほとんど厚みを感じません(衿元の防御力が低い)。韓服には襦袢のような衿のある下着がないこともあるでしょうが、やはり半衿とは随分違うことが分かります。件の制服もこの部分に白布を使っているだけでも受ける印象は違ったかもしれません。


中央日報(日本語版)が伝えるところによると、衣装デザインのファンさんは韓服をモチーフに衣装を作るたびに「『北朝鮮人か』などのレッテルを貼られる状況が残念で仕方ない」と嘆いているとのこと。中国が韓服を「自国文化」のように扱うことには反発するのに、いざ韓服のことは何も知らないんですからね、そら呆れもするでしょう。