SEC(米証券取引委員会)、テラ(ルナ)を「証券」としてTerraform Labs共同創設者を「詐欺容疑」で告訴した話

昨年5月に脅威の99%大暴落を起こし消えた韓国産暗号資産テラ(ルナ)。このとき引きずられる形でビットコインを含む複数の暗号資産が急落し、市場全体に信用不安が広がり未だ回復していません。
信用不安が回復しない原因はテラ(ルナ)の暴落だけでなく他にもあるんですけど、影響度は決して小さくありません。

そんなテラ(ルナ)の生みの親であるTerraform Labsの共同設立者のクォンさんはシンガポールに居住していましたが、昨年9月にビザが切れた際、再発給が受けられませんでした。パスポートも間もなく失効になるという矢先、ドバイに向かったことまでは分かっていました。その後、足取りが消えてしまったのですけど12月にセルビア住所登録を終えていたことが分かりました。

韓国とセルビアには犯人引き渡し協定が無く、過去に前例もないため韓国検察は手をこまねいている状態でしたが、ここに来て米国証券当局が動きました。テラ(ルナ)を「仮想通貨」ではなく「有価証券」として詐欺の疑いで告訴したのです。

 



毎日経済の記事からです。

財産をほとんど失ったと...クォン・ドヒョン、ビットコイン1万個盗む


(前略)

17日(現地時間)、ブルームバーグは米証券取引委員会(SEC)の告訴状を引用して、クォン代表がビットコイン1万個を「コールドウォレット(オフライン状態で動く実物仮想通貨貯蔵庫)」に保管しており昨年5月から周期的に該当資産をスイス銀行に送金した後、現金に転換してきたと報道した。最近の相場を適用すればビットコイン1万個の価値は約2億4600万ドル(約3198億ウォン)に達する。またSECは同氏が昨年6月から最近までスイス銀行から1億ドル(約1300億ウォン)以上を引き出したとも明らかにした。

前日、SECはTerraform Labsとクォン代表を詐欺容疑で連邦裁判所にていそした。SECは彼らが無記名証券の提供・販売で投資家に大きな損失を与えるなど少なくとも400億ドル(51兆7000億ウォン)規模の詐欺行為を行ったと見ている。

(後略)



毎日経済「재산 거의 잃었다면서…권도형, 비트코인 1만개 빼돌려(財産をほとんど失ったと...クォン・ドヒョン、ビットコイン1万個盗む)」より一部抜粋

「暗号資産を有価証券と見なす」前例となる重要な判断かもしれません。
先に「韓国検察は手をこまねいている状態」と書きましたけれど、実は韓国検察が裁判所に請求したクォンさんへの逮捕状は棄却されています。理由が「テラ(ルナ)を証券と判断する明確な資料はない」からです。

最近になって暗号資産を証券と見なすかどうかの議論が活発化しています。なぜかというと、もし暗号資産が「証券」なら政府当局による「監督」が行われ、何より「資産保全」などの投資家保護がなされなければならないからです。
「資産保全」とは、投資家が投資会社に預けた投資資産(投資金)と投資会社自身の財産(運営資金)を別個に管理しなければならないことを言います。仮に運営資金が尽きて破綻となっても投資家から預かった投資資産には手を付けられません。(法律的にではなく物理的に無理な仕組み)

今回、SECがテラ(ルナ)を「証券」と判断したことで、Terraform Labsは資産保全の義務があったにも関わらず、それを「持ち逃げ」した状態となるわけです。