オンライン投資連携金融業(P2Pレンディング)の延滞率が20%という話

日本だと「P2Pレンディング」と呼ばれる形態の金融サービスがあります。オンラインのプラットフォーム上で「借りたい人」と「貸したい人」をマッチングさせるものです。
P2P(peer-to-peer:ピアツーピア)」は「個人から個人」の意味ですが、個人だけでなく中小事業者も貸し手や借り手として参加しています。
もともとは2000年代前半の英国発祥です。2008年の金融危機の際、金融機関の引き締めにより資金調達が困難になったことで広がったようです。

韓国のP2Pの中で、特に不動産関連の貸出を行っている仲介業者の延滞率が20%を超えました。個人投資家の参加率は10%程度で「被害は限定的」とされていますけれど、そういう問題ではありません。
上でも述べているように、金融機関の引き締めを回避するように広がったサービスです。つまりミドルリスク層でも比較的「借りやすい」金融サービスだということです。「貸し手」である個人投資家ではなく、「借り手」側の問題が深刻です。

 



聯合ニュースの記事からです。

不動産低迷で一部のP2Pの延滞率20%超...金融監督院モニタリング


昨年から始まった不動産市場賃貸の余波で、関連貸し出しを扱っていたオンライン投資連携金融業(P2P・オンツー業)系の停滞率が最大20%を上回り、金融監督院が集中管理に乗り出した。

19日、金融界によると金融監督院は1月末基準で延滞率が20%を超えた一部のオンツー業者を対象に延滞率管理計画の報告を受ける段階に突入した。

(中略)

オンツーアップはオンラインプラットフォームを通じて多数の個人・法人投資家から投資金を誘致し、資金が必要な人に貸出し、それに伴う元金と利子を投資家に返す金融サービスだ。

主にP2P(Peer-2-Peer)業と呼ばれたが2020年8月のオンツー業法施行で制度圏に定着し「オンツー業」と呼ばれる。

(中略)

最近は不動産市場の低迷の余波で不動産関連の貸出を中心に営業していたオンツー業者の延滞率が急激に悪化する傾向だ。

業者別ホームページ公示によると、ダオンフィンテックの延滞率は2月末基準で28.15%に達した。同社は不動産担保融資専門のオンツー企業だ。

貸出残高基準で業界2位規模のトゥギャザーファンディングの2月末基準の延滞率も17.01%まで上がった。

(中略)

オンツー業者が取り扱うP2P金融商品預金保護対象ではないため貸出借入者が満期に償還できない場合、投資元金全体を返してもらえない可能性があり党支持に格別の注意が必要だ。

ただ金融監督院はオンツー業者の不動産担保貸出に対する個人投資家の割合は10%余りで金融消費者被害は限定的だと見ている。

(後略)



聯合ニュース「부동산 침체에 일부 P2P 연체율 20%넘어…금감원 모니터링(不動産低迷で一部のP2Pの延滞率20%超...金融監督院モニタリング)」より一部抜粋

日本の場合、お金を貸す行為は貸付行為にあたるため本来なら貸金業登録が必要になります。そのため間に貸金業登録を行った仲介業者を通すことで貸し手と借り手の間の直接融資契約を回避し、「投資」という形態にしています。恐らく韓国も同じでしょう。

それなら仲介業者を集中管理(具体的に何するのかナゾ。多分モニタリングだけ)してもあんまり意味ないと思います。
なぜなら、記事中にも「P2P金融商品預金保護対象ではない」と書いてある通り、投資のような形態をとりつつも実態は仲介業者を通した貸付行為であり、その際に信用リスクを負うのは仲介業者ではなく貸し手です。(貸し手は借り手を特定できる情報を得られないため信用リスクを十分に認識することができない)
仲介業者は仲介を行いそこから利ザヤを得ているだけですので、返済が滞ろうが関係ないんです。