韓国不動産PF(プロジェクトファイナンス)1年で17兆3000億ウォン増加、延滞率は10.38%という話

韓国の不動産PF(プロジェクトファイナンス)、特定の不動産(マンションなど)建設計画を担保に資金を調達するものです。PFを使えば、まだモノが無い状況にも関わらず「売れた」ことを前提に融資を受けられます。この方式の最大の問題は言わずもがな、売れなかったときです。

しかし韓国では2019年まで不動産市場が活況でした。そのため売れない心配が必要無かったんでしょう。ですが韓国は日本以上に急速に少子化が進んでいます。そんな中で「居住目的」の新築マンションがそれほど必要とされているとも思えませんよね。牽引したのは投資マネーでした。
不動産投資により住宅価格は急騰し、本当に居住のためのマンションを必要としている(特に若い世代の)人たちには手が出せなくなってしまいました。そこで前ムン政権が不動産所持件数の制限やら売却不可期間の設定やら色々やったのですが、一番効果的だったのが皮肉なことに急激な金利引き上げです。

2019年末時点では1.3%に過ぎなかった不動産PFの延滞率が昨年末時点で10.38%に急増していることが分かりました。また、PF全体の貸出残高は1年前と比べ17兆3000億ウォンも増加しているとのことです。

 



韓国経済の記事からです。

[単独]証券会社PF貸出延滞率10.38%に急増...不動産不良化の危険↑


昨年末、国内証券会社の不動産プロジェクトファイナンス(PF)貸出延滞率が10.38%に急騰したと集計された。2019年末の1.3%から8倍急増した水準だ。米シリコンバレー銀行(SVB)破綻に伴う不安心理と不動産景気悪化が相まって中断されるPF事業場がさらに増えかねないという憂慮が高まっている。

7日、オ・ギヒョン共に民主党議員室が金融監督院から提出された国内金融圏不動産PF貸出関連現況によると、昨年末基準で証券会社貸出残額は4兆5000億ウォン、延滞率は10.38%と集計された。第3四半期と貸出残高は同じだったが回収が低迷し延滞率が8.16%から2.22%ポイント高くなった。PF事業場の不良化への懸念が高まると証券会社各社が追加融資に乗り出さなかったという分析が出ている。

証券会社のPF延滞率は不動産が活況だった2019年末には1.3%水準だった。2020年に3.4%に急騰したが2021年末に3.7%、昨年は10%台まで突破したのだ。

第4四半期末、保険会社と与信専門のPF延滞率も第3四半期対比で増え不安感を増大させた。保険は貸出残高が第3四半期で44兆1000億ウォンから44兆3000億ウォンに増えた。延滞率は0.4%から0.6%へと0.2%ポイント増加した。与信専門の場合、延滞率が1.07%から2.20%へと1.13%ポイント急増した。

貯蓄銀行の場合、貸出残高は10兆5000億ウォン、延滞率は2.05%と集計された。いずれも第3四半期よりは減少したものの昨年末に比べると高くなった数値だ。

金融界全体でPF貸出残高は129兆9000億ウォンに達した。第3四半期の128兆1000億ウォンに比べ1兆8000億ウォン、2021年末の112兆6000億ウォンに比べ、なんと17兆3000億ウォンが増加した。

(中略)

韓国銀行は最近、不動産PF不良の可能性を繰り返し警告している。3日、韓国銀行の報告書によると昨年9月末基準で韓国全体の不動産金融エクスポージャー(危険露出額)は2696兆6000億ウォンで、前年同期と比べ9.3%増加した。国内総生産GDP)の125.9%水準だ。昨年末基準ではこの数値がさらに増えたものと分析される。不動産金融の危険露出額が経済規模を飛び越えたという意味だ。

国際通貨基金IMF)は4日、「韓国の場合、PF貸出は資金構造が脆弱で満期不一致も相当だ」として「韓国PF貸出延滞率が頂点からさらに上がる可能性は低いが、不動産価格下落など逆風が続いており危険要因がある」と指摘した。

(後略)



韓国経済「[단독] 증권사 PF대출 연체율 10.38%로 급증…부동산부실화 위험↑([単独]証券会社PF貸出延滞率10.38%に急増...不動産不良化の危険↑)」より一部抜粋

コメントは9件だけ。ほとんど内容の無いものばかりでしたので、一番共感の多かった一件だけ引用します。

「企業より国民の方が問題。モラルハザードが蔓延し過ぎて他人にお金を借りることを安易に考えている。ダメだったら自己破産申請すればいいというマインド。90年代までは本当にお金を節約して貯蓄したが、金大中政府発足後からクレジットカード大乱を起こして他人にお金を借りて使うというマインドへと変わった。国民一人一人が変わらなければならない。身の丈に合わせて借りて使え。中身は空っぽのくせに、新車に乗って週末はキャンプに通って休暇には海外旅行に行くのが常」(共感24 非共感1)

「クレジットカード大乱(신용카드 대란)」とは、2002年から2006年頃にかけて起こった信用不良のことです。
アジア通貨危機(1997年)の直後に発足した金大中政権(1998~2003年)は2つの目的のためにクレジットカード利用を奨励しました。
1つは脱税防止です。日本も今でこそキャッシュレスが大分浸透しましたが、少し前までの「にこにこ現金決済」が主流のころは「なぜ日本は現金派なのか?」について「脱税できるから」というコメントをネット上でよく見かけました。逆に言うと、2000年代前後まで韓国では現金利用を減らさなければならないほど脱税が身近で深刻な社会問題だったと言えます。

もう1つは景気浮揚です。国民消費を促す目的で、言ってしまえば国民の借金によって経済を立て直そうとしたのです。今の韓国経済と根本は同じです。
キャッシング枠の限度額を撤廃しカード会社が自由に設定できるようにしたり、カードの利用明細に宝くじ抽選を付けたり、カード利用額を所得控除の対象にしたりするなどの政策で後押し。1998年から2002年の4年間でカード利用額が63兆ウォンから622兆ウォンと約10倍に急増しました。短期間の間にクレジットカードが生活インフラに急速に浸透したわけです。
また、カード会社は競争過剰に陥り、無収入の学生でも気軽に発行できるほど審査は甘かったようです。(一説には高校生でも発行できたとも)過剰消費を促す広告もめちゃくちゃ流れていたようで、2002年には経済活動人口1人あたり4.6枚のカードを保有していたとの記録があります。

もちろん、こんなことは長くは続きませんでした。韓国国民は経済的に豊かになったからお金を使うようになったわけではなく、お金を使っているという「感覚」を麻痺させられただけでした。
一部の低所得者はカードの支払いを別のカードで支払うという雪だるま式に陥り、2003年には信用不良者が370万人にまで増えました。うち60%の約240万人がクレジットカード不良者です。2004年~2006年にかけて償還猶予を設けたり自己破産による返済免除などが積極的に行われました。
これらの出来事の総称が「(クレジット)カード大乱」です。