韓国賃金未払い額、昨年同期間比27%急増の話

韓国では毎年毎年この時期(チュソク=秋夕、秋盆)になると賃金未払い問題が取り上げられます。

チュソクには親族が集まります。昔に比べて大分簡素化したりしているようですけれども、それでも今でも日本よりはずっと親戚縁者の付き合いが「濃い」です。
豪勢な食事を用意したり、実家を出た子供らは帰省する際にお土産を買って帰ったりするわけです。そのときにまとまった「お金」が要りますよね。お金がなきゃチュソクを迎えられない。日本だと年が越せない感じでしょうか。

それで未払い賃金の現状が記事になるんですけど、年の途中なので半端な数字しか出ません。それでも今年は昨年の同期間より30%近く増えているのだそうです。
ここ数年は減少傾向(それでも多いですが)でしたが昨年は一昨年とほどんど同水準で減少傾向が止まり、今年は昨年を超える勢いです。

 



ソウル経済の記事からです。

「家庭はすでに破綻している」...昨年より30%増えた賃金未払い「非常事態」


(前略)

13日、雇用労働部によれは今年1~7月の賃金未払い額は9752億ウォンで前年同期対比約27%増加した。先月の未払い額予想値まで合わせれば同期間に30%ほど増えたものと推定される。

劇的に減った賃金未払い額の規模は今年再び増える兆しだ。年間推移を見ると、2019年の1兆7217億ウォンから2020年に1兆5830億ウォン、2021年に1兆3505億ウォンに減った。しかし昨年は1兆3472億ウォンと減少傾向が止まった。

(中略)

憂慮は賃金未払い被害が零細事業所と脆弱階層勤労者に集中するという点だ。職場パワハラ119調査によると、最近の賃金未払い被害者のうち約70%は勤労者30人未満の事業所で起きた。彼らの大部分は賃金をまともに受け取れなければすぐに生計を心配がある立場だ。その上、今年は昨年から続いた高物価のせいで賃金が上がっても賃金が削減されたような逆転現象も目立った。

賃金未払いが根絶されない理由は、大きく企業と制度に挙げられる。悪質な企業だけでなく、資金難に陥っている企業が依然として残っている。中小企業中央会が最近、中小企業800社を対象にチュソク資金需要を調査した結果、昨年のチュソクより資金事業が困難だと答えた企業は26.9%だった。専門家と労働界では賃金未払い事業主に対する制度強度が弱いと指摘する。

(中略)

政府は賃金未払いを深刻な問題と認識している。雇用部は今年、常習未払い事業主に対する経済的制裁案を対策として出した。先月から未払い根絶の企画監督を始め、チュソクまで賃金未払い清算誘導と未払い被害労働者への生計支援に乗り出す。

(後略)



ソウル経済「“가정은 이미 파탄났다”…작년 보다 30% 늘어난 임금체불 ‘비상’(「家庭はすでに破綻している」...昨年より30%増えた賃金未払い「非常事態」)」より一部抜粋

日本の厚生労働省が公表しているデータによると昨年(令和4年)日本で賃金不払いが報告された件数は20,531件。対象人数は179,643人。金額は121億2,316万円となります。労働基準監督署が介入し、同年中に賃金が支払われたのは19,708件(96%)、175,893人(98%)。金額にして79億4,597万円(65.5%)となっています。

集計の仕方が日本と韓国で同じかどうか分かりませんけれども、少なくとも行政が把握している賃金未払いの規模は大きく異なり日本=約122億円に対して韓国=約970億円と、韓国は日本の約8倍です。

しかもこれ、日本は昨年1年間の合計ですけど韓国は今年の1~7月分だけですからね。1年間で見れば、もっと多くなるはずです。今までの年間推移から見て、間違いなく10億(1兆ウォン)台に乗るでしょう。これでも「減った」というのですから、根の深い問題です。