「ノージャパン」の顛末...「ユニクロほどの多国籍企業はもっと韓国に配慮せよ」という謎理論の話

岸田さんの訪韓を前に「ノージャパン」の総括(?)のような記事が出ていました。売り上げが落ちたー、回復傾向ー、黒字化ーという視点だけでなく雇用面(人件費)にもフォーカスし、韓国が食らったブーメランの話にもチラっと触れています。本当にチラっとですけど。
ただ、この記事の「結論」として取り上げている部分がなんとも不思議なオチです。私の読み方が悪いのでしょうか?

 



ザ・スクープの記事からです。週刊経済雑誌のWeb版記事です。

日本製品不買運動から4年後...火種が消えた後に笑ったのは誰か


(前略)

2019年7月、韓日関係が急冷した。韓国最高裁の共栄徴用賠償判決に不満を抱いた日本政府が韓国に輸出していた部品と素材を規制したためだ(輸出規制措置)。日本の経済報復に韓国消費者は日本製品不買運動で対抗した。

(中略)

ユニクロだけでなく、アサヒ、キリンなど日本ビールの販売量が急減した。トヨタ、ホンダ、日産をはじめとする日本の完成車メーカーも直撃弾を受けた。それだけではない。日本旅行不買運動の一つに含まれ、日本に向かう旅行客の需要が急減した。「買いません。行きません。見ません」という趣旨で始まった日本製品不買運動が全方位に拡散したわけだ。

あれから3年9ヵ月が経った今、雰囲気は全く違う。行方をくらませた日本製品が再び店頭を埋め、その結果売上げが回復している。代表的なのがユニクロ(FRLコリア)だ。昨年、同社の売上は前年(5842憶ウォン)に比べ120.9%増の7042億ウォンを記録した。従来通りの1兆ウォン台の売上高は回復できなかったが、営業利益は大幅改善された。不買運動の直後の2020年は883億ウォンの赤字を出したユニクロは昨年1147億ウォンの黒字を記録した。

生活用品専門企業の「無印良品」は2020年に627億ウォン(2019年は1242億ウォン)に落ち込んだ売上高が昨年は1238億ウォンで2倍近く増加した。営業赤字は続いたが、その幅は減少した(2000年*1117億ウォン→2022年43億ウォン)。

(中略)

急減した日本のビール販売量も回復している。日本のアサヒビールを輸入・販売するロッテアサヒ酒類の実績を見てみよう。ロッテアサヒ酒類は昨年、前年(172億ウォン)比87.2%増の322億ウォンの売上を記録した。2019年以降、引き続き赤字を記録したが昨年は黒字転換(35億ウォン)にも成功した。

(中略)

日本を訪れる旅行客も目立って増加した。日本政府観光局(JNTO)によると、3月に日本を訪れた韓国人は46万6899人で不買運動が拡散する前の2019年3月(58万5586人)の79.9%水準を回復した。

(中略)

旅行業界関係者は「日本の場合、コロナ19が拡散する前から不買運動の影響で旅行客が急減した」とし「しかし、今は不買運動の影響がほとんどないと見られる」と話した。

では、このような状況をどう解釈すべきか。日本製品不買運動の失敗と規定すべきか。

(中略)

イ・ヨンエ仁川大学(消費者学)教授はこのように説明した。「消費者は『購買効率』を考慮せざるを得ない。不買運動を通じて追及できる抽象的な「価値」より経済的効率性を重要に考える消費者が多くなったわけだ。

ここに政権が変わり政策基調が変わったのも影響を及ぼしたものと分析される。イ・ヨンエ教授は「2019年当時とは異なり現政権は日本と融和的な基調を見せている」とし「このような外生変数も消費者の選択に影響を及ぼすものと分析される」と説明した。

それでも指摘しなければならないことはある。2019年の日本製品不買運動が拡散する時、一方では「不買運動を始めるかどうかを慎重に決めなければならない」という憂慮の声が出た。多国籍企業が大幅に増えた21世紀市場で「日本産」を完全に日本企業や日本ブランドと見ることはできないからだ。日本製品不買運動がかえって日本ではなく韓国にブーメランを飛ばしかねないという指摘だった。実際、日本製品不買運動も予想されていた副作用が発生した。

不買運動以後、ユニクロは店舗数を50店あまり減らした。2019年に180店余りだった店舗数は現在128店に減った。店舗数が減少しただけに雇用も減った。2019年に1355億ウォンだったユニクロの人件費支出は昨年854億ウォンに減少した。

ロッテアサヒ酒類も同じだ。同社は不買運動が拡散するや否や、全職員を対象に希望退職を募った。2度の構造調整を通じて60%程度の職員が会社を離れた。2019年に93億ウォンだった人件費負担は昨年24億ウォンに減少した。

(中略)

アン・スンホ崇実大学(経営学)教授は「国内企業の場合、雇用と創出維持が企業の責務という認識が強い」とし「だが、多国籍企業の場合、人材構造調整でもう少し自由に判断する可能性があり、これは結局、そこで雇用された労働者に影響を及ぼすほかはない」と指摘した。

もちろん、企業の行動も考えなければならない。不買運動以後、リストラなどで損失を相殺したこれらは売り上げが回復すると株主配当を大幅に増やした。ユニクロア昨年1400億ウォンの配当を実施したが、これは前年対比400億ウォン増加した額だ。ユニクロの持ち分51.0%を保有している日本ファーストリテイリングは昨年、714億ウォンの配当とロイヤリティ148億ウォンを受け取った。

(中略)

オ・セジョ延世大学経営学)教授は「ユニクロのような多国籍企業は現地消費者の国民情緒や価値をもう少し積極的に堅持する必要がある」と指摘した。イ・ヨンエ教授は「日系企業であっても国内で人材を雇用し、国内経済に影響を及ぼすだけに企業の意思決定において社会的・倫理的価値をあまねく考慮する必要がある」と話した。

(後略)



ザ・スクープ「일본제품 불매운동 4년 후… 불씨 꺼진 후 웃은 자 누굴까(日本製品不買運動から4年後...火種が消えた後に笑ったのは誰か)」より一部抜粋

ユニクロは売上は回復しきれていないものの、営業赤字は脱し黒字化しています。無印は営業赤字を大幅縮小しています。これが意味するところは人件費削減です。自明の理ですよね。

ユニクロが閉店する際、集中報道していたことを覚えています。その時の雰囲気は「ノージャパンの勝利」と言わんばかりの様子でしたが、その裏で失われていた雇用にようやく触れることが許される雰囲気になったということでしょうか?

「企業の行動も考えなければ」というのは、韓国内の儲けを雇用や社会貢献に反映せずに本体に送っていること(資金の流出)が納得いかない、ということです。先日、「エルシャ(エルメスルイ・ヴィトン、シャネル)」が同じように韓国内の売上を本国に上納しているという記事がありました。
「エルシャ」がどういう考えなのかは知りませんけれど、ユニクロの場合、カントリーリスクを考えれば売り上げを韓国に「再投資」するのに躊躇する気持ちは分かります。ある意味、韓国の自業自得かと。

最後の「ユニクロほどの企業なら現地国民の情緒に配慮すべき」は、何言っているのか分かりません。日本の輸出管理強化に対する報復としての不買運動だったわけですから、言ってしまえばユニクロは「貰い事故」の「被害者」だったんですが...なにに配慮せよと?



*1:原文通り。2020年の間違いではないかと思う。