韓国、脱原発の流れで急増した海上風力発電事業計画、安保問題へ発展...軍「発電施設がレーダー遮断の可能性」という話

ムン・ジェイン前政権は脱原発政策を推進していました。その過程で再生可能エネルギー関連の事業が積極的に進められたのですが、中にはかなり「強引」な進め方もあったようです。

 



こちらは朝鮮日報日本語版の記事です(なぜか韓国語版はありません)。リンク先の記事に地図が載っていますので、見ていただいた方が分かりやすいかと思いますけれど、朝鮮半島を囲むように海上に無数の赤い点があります。特に黄海(西)側に集中しています。
これら全て海上風力発電事業のために計測機器が設置された場所となります。風力発電事業の認可を受けるためには、事前に現地の1年間の風の強さ、方向などを測定しデータ提出しなければならないのだそうです。

ソースは日本語記事ですので詳細はリンク先で読んでいただくとして、一部以下に抜粋して紹介します。

(前略)

朴槿恵(パク・クンヘ)政権までは10件にとどまっていた風況計測器の許可件数が、文在寅ムン・ジェイン)政権の発足以降は166件に急増していたのだ。

韓国与党「国民の力」のパク・スヨン議員室によると、今年6月現在で海洋水産部(省に相当)が許可した風況計測器は計218台。

(中略)

風状計測器が設置された場所を地図で見ると、ほぼ同じ地域に密集していることが分かる。計測器が乱立した理由は、認可基準の緩和を悪用して先手を打った業者がいたためと考えられる。風力発電事業を開始するつもりがないにもかかわらず、ひとまず許可を受けて計測器だけ設置し、実際に事業を展開しようと考える事業者に高額で事業権を転売するという手口だ。韓国産業部(省に相当)に対する昨年の国政監査では、島しょ地域に風況計測器を設置した後、海上風力発電事業者に約10億ウォン(約1億1000万円)を上乗せして事業権を売却したケースがあったことが指摘された。

(後略)

先に商標登録を取っておいて後で売り付ける手口に似ていますね。
実際に機器を設置する分、こちらの方が手間もお金も掛かっているわけですが...しかし、実際に事業計画が進まなければ一銭の価値にもなりませんよね?な~んか韓国ってこういうトコ、博打地味てるんですよねぇ...コストと期待値が見合ってないというか...。

それはともかく、設置された機器により漁船の航路が塞がれ衝突事故などの被害が出ているそうです。
さらにマズイのが、軍(安全保障)への影響です。発電施設がレーダーを遮断する可能性があるそうで、軍が一部の計画において再検討の必要を指摘しています。
同じ朝鮮日報の記事なのですが、こちらは(現時点で)韓国語版のみで日本語版の配信がありません。

「発電機が電波遮断」軍の反対にも...ムン政権、海上風力推進


(前略)

19日、ハン・ムギョン国民の力議員室によると、国防部は現在まで発電事業許可を受けた16ヵ所の海上風力事業に関して検討した結果、3ヵ所は事業推進に同意せず、残りの13の事業に対しては条件付きで同意した。

特に2020年当時、ムン・ジェイン政府の公共主導で進められた保寧海上風力発電団地も国防部との協議なしに推進されたことが分かった。保寧市が中部発電と2025年までに計6兆ウォンを投入し、風力発電機125基を設置するという計画を発表してから1年が経った2021年、国防部はようやく協議検討文書を受け取った。国防部は海上風力発電施設が建設されればレーダーが遮断されるなど、軍の作戦遂行に困難が予想されるため発電機の位置に対する再検討が必要だとした。

(中略)

それだけでなく、直近に検討を受けたトンヨン浴場の海上風力については陸・海・空軍すべてが問題を提起した。国防部が条件付きで同意した13の事業もレーダー遮断などの問題を解決すれば事業が可能であることが分かった。

さらに大きな問題は、国防部の検討を受けた件数よりそうでない風力発電団地が多いということだ。現在まで産業部から発電事業許可を受けた海上風力事業団地80ヵ所のうち64ヵ所が国防部との協議さえ始めていない。

(後略)



朝鮮日報「“발전기가 전파 차단” 軍 반대에도…文정부, 해상풍력 추진(「発電機が電波遮断」軍の反対にも...ムン政権、海上風力推進)」より一部抜粋