慰安婦訴訟、日本の主権免除を認めず...「過去史を水に流す政策の脆弱性露呈」という話

23日にソウル高裁が(自称)元・慰安婦たちが起こした訴訟で、日本の主権免除を認めた1審判決を退け、日本政府に賠償を命じる2審判決を出しました。(1審判決はこちら
日本側はもともとこの訴訟自体を無効と考えているので控訴しないでしょう。そのため確定判決となる可能性が高いです。

この件について「ユン政権が進めてきた『過去史を水に流す』政策の脆弱性が露呈した」と嬉しそう(?)な記事がありましたので紹介します。
正直、政策の脆弱性云々以前に、韓国側が完全に合意を蔑ろにしているという現状は無視です。「道徳的に正しい」を追求した結果に満足しているようです。

 



オーマイニュースの記事からです。

慰安婦判決」が明らかにしたユン政権の「過去史を水に流す」の脆弱さ


ユン・ソンニョル政権はムン・ジェイン政権の時に悪化した韓日関係を改善するとして日本に「過去史を水に流す」政策を展開しました。

代表的なのが、日本戦犯企業が強制動員労働被害者に精神的慰謝料を支給しろという最高裁の判決を完全に無視したまま「第3者返済」という姑息な手を使い韓国側がその金を代わりに返すようにしたことです。

(中略)

日本政府は韓国政府のこうした解決策に双手を挙げて歓迎しました。日本の主張、つまり「植民地支配によるすべての損害賠償は1965年の韓日協定で最終的かつ完全に解決されたので、韓国側で自ら解決せよ」という主張を完璧に受け入れたからです。

(中略)

しかし、過去の歴史に対する日本の反省要求を放棄し、韓日米が力を合わせて中国をけん制しようという尹政権の政策がいかに脆弱かを露呈する事態が起きました。ソウル高裁第33民事部(具熙根部長判事)が23日に下した日本軍「慰安婦」の判決です。

ソウル高裁第33民事部は今月23日、イ・ヨンスさんなど日本軍〇奴隷制の被害者が日本政府を相手取って起こした請求訴訟で国家免除を認め、被害者の訴えを却下した1審(2021年4月21日、ソウル中央地裁第15民事部のミン・ソンチョル判事)を退け、日本政府の責任を認めました。裁判所はこれまで形成された国際慣習法から見て国家免除は認められないとし、日本政府が原告にそれぞれ2億ウォンずつを賠償するよう判決しました。

これに先立ち、ソウル中央地方裁判所第34民事部(裁判長キム・ジョンゴン)は2021年1月8日、故ペ・チュンヒおばあさんらが日本政府を相手取って起こした他の訴訟で、国家免除を認めず原告勝訴判決を下しています。この判決は日本政府が無視して何の異議も提起しないことで、そのまま確定しました。

日本政府はイ・ヨンスおばあさん事件も同じ姿勢を取ることが確実です。これで日本政府を相手にした慰安婦被害者の損害賠償訴訟について混乱していた韓国裁判所の判断は統一され、日本政府は賠償義務を負うことになりました。

ソウル高裁の今回の控訴審判決は内心原告敗訴を期待していた日本政府を非常に当惑させています。日本政府は判決直後、すぐに上川陽子外相名義の談話文を出し、ユン・ドクミン駐日大使を呼んで抗議しました。

上川外相は談話文で「この判決は国際法および日韓関係合意に明白に違反するものであり非常に遺憾だ。断固として受け入れることはできない」とし「韓国政府が国家として自ら責任を持って直ちに国際法違反の状態を是正するための適切な措置を取ることを改めて強く求める」と述べました。

(中略)

ユン政権もまだ明確な立場を示していませんが困惑しているのは同じでしょう。いわゆる韓日関係で「歴史的リスク」が依然として存在することを確認したためです。

(中略)

今回の慰安婦判決の最も重要な意味は、歴史問題の清算なき韓日関係改善は砂の上に城を築くことと同じだという事実を改めて確認したことです。

(中略)

「加害者日本」と「被害者韓国」の間には依然として解決すべき過去史宿題が存在し、この宿題を解かなければいくら未来を強調し、協力と友愛を叫んでも渡れない溝が存在することを今回の判決は示しています。

ユン政権は強制動員問題の時のように小細工で過去史問題を避けようとせず、日本に過去史反省と認識の変化を要求しなければなりません。日本のそのような変化があってこそ、韓日関係がより強固に明るく展開されることができます。

(後略)



オーマイニュース「'위안부 판결'이 드러낸 윤 정권 '과거사 퍼주기'의 허약함(「慰安婦判決」が明らかにしたユン政権の「過去史を水に流す」の脆弱さ)」より一部抜粋

日韓関係を強固に明るくする必要性を感じていないので、このままで良いです。
そもそもがですね、「加害者日本」と「被害者韓国」という認識は韓国にとって「道徳的に正しい」認識です。私から言わせれば日本の過去史への認識が変わることが問題解決の糸口なのではなく、この韓国の「道徳的に正しい」を追求するモノの考え方がOINK*1だと認識することがまず第一です。
なぜなら「加害者日本」「被害者韓国」を成立させるためにあらゆる事実・合意・法的根拠が捻じ曲げられてしまっているのが現状だからです。


ところで、「これまで形成された国際慣習法から見て国家免除は認められない」の意味がちょっとよく分かりません。私が知る限り、主権免除が認められなかったケースはありません。例のイタリア人がドイツを訴えた件を言っているのなら、国際司法裁判所で逆転敗訴していますが...。この件を国際司法裁判所に持ち出す気がない以上、韓国内では好き勝手判断していいということでしょうか?


*1:Only in Korea=韓国でだけ通用すること。