2030エキスポ開催地にサウジ決定...自信満々(?)だった韓国、支持求めた相手国の思惑を「読み違えた」という話

2030年の万博開催地がサウジアラビアのリヤドに決定しました。蓋を開けてみれば119票を獲得して圧倒的1位。韓国・釜山は29票、イタリア・ローマは17票でした。
韓国メディアの報道にしか触れていないと「もう釜山で決まり」の空気感がプンプンだったので、この結果はちょっと面白かったです。

 



韓国が自信満々(?)だった理由なんですが、事前に外交文書を通じて「公式支持」を集めていた国数の変動にあったようです。
去年12月の時点で韓国公式支持を表明していた国は17ヵ国、サウジアラビアが45ヵ国。今年の9月には韓国が33ヵ国、サウジアラビアが70ヵ国、イタリア11ヵ国。そして11月には韓国44ヵ国、サウジ84ヵ国、イタリア10カ国。
これで「二次投票で十分逆転可能」と判断していたようです。1次は義理を果たしてサウジに投票した国に、2次は韓国に投票してもらうよう交差投票を呼び掛ける戦略だったようです。が、結局、1次で決着が付いてしまいました。何をどうしていけると思ったのかは分かりません。
最終的に韓国に投票したのは29ヵ国ですから逆に支持減ってますしね。匿名投票のため、どこが翻意したのかは特定できません。

ユンさんはこの結果を「私の不足(至らなさ)」として、記者会見で謝罪しました。多くの国の首相に支持を求め、確かな手応えを感じていたらしいのですが、それを「読み違えた」ということです。


ハンギョレの記事からです。

ユン大統領「エキスポ誘致のための政府努力失敗...バランス発展続ける」


(前略)

ユン大統領は同日(※29日)、龍山大統領室で昼12時頃、予定に無かった記者会見を開き「96ヵ国の首脳と150回余り会い、数十ヵ国の首脳とは直接通話もしてきた。しかし官民が(外国関係者らと)接触しながら私たちが感じた(相手国の)立場に対する予測が大きく外れたようだ」とし「全てのことは全て私の至らなさだと考えて欲しい」と謝罪した。

(後略)



ハンギョレ「윤 대통령 “엑스포 유치 범정부 노력 실패…균형발전 계속 추진”(ユン大統領「エキスポ誘致のための政府努力失敗...バランス発展続ける」)」より一部抜粋

大人しい記事を選びましたので、ここでは触れられていませんけれど、与党・野党ともに現・前政権批判に利用しています。
現政権を批判するのには「日米に外交的に偏っているからだ」となり、前政権を批判するのには「エキスポに無関心で準備を怠ったからだ」となります。
ちなみに、今回サウジに押されたのは「オイルマネー、物量攻勢のため」との分析が出て、一部でサウジ支持国に対する外交欠礼との指摘も出ています。


ちょっと気になったんですけど、会って何を話したのでしょうね?
最近、一部メディアで「外交は実利重視でいくべきだ」との主張をよく見かけるようになりました。それは確かにそうなんですが、韓国が実利を追求する裏では相手国も実利を追求してくるわけです。今回の件で相手が韓国を支持するメリットを何か提供できたんでしょうか?
多分、無かったんだと思います。内心それが分かっているから「オイルマネー、物量攻勢」なんて分析が出て来るんです。(しかし実際に提供できるメリットは何もお金や物だけではないはず)

いつもの「会えばそれで済む」...どこかでそんな風に考えていたのかもしれません。
一時期、日韓首脳会談を切望していた時期や韓国議員団が訪日した際にとにかく何とか「会おう」としていたこと。「会うこと」そのものが目的となってしまって、「会えば相手が分かってくれる」となっていたことを思い出します。