Youtubeプレミアム、韓国には家族料金制・学生割なし...「韓国消費者を差別」という話

韓国のYoutubeのプレミアム料金には、他の国のような割引制度が無いのだそうです。政治家などから「韓国差別」との声が上がっているそうです。

しかし、これは自業自得と言えるかもしれません。
少し前にTwitchが、来年3月末で韓国から撤退することで話題になりました。理由は他国の10倍にもなるという韓国での通信コスト。
Youtubeの料金体系に割引が適用されてない根本原因も同じではないかと思います。

 



メディア今日の記事からです。

Youtube料金制の韓国人利用者は差別を受けている


(前略)

Youtubeは米国、ドイツ、英国、フランス、日本、インドなど42ヵ国に適用した家族料金制を韓国では導入していない。家族料金制に加入した利用者は、同じ住所に住む最大5人の家族とアカウントを共有し、Youtubeプレミアムサービスを安く利用することができる。現在、家族料金制が導入されていない国は韓国、ベネズエラベラルーシスロベニアアイスランドイスラエルなどだ。

他の割引制度も韓国では利用できない。Youtubeは認証を経た学生に最大60%ほど料金割引を行う学生メンバーシップを80ヵ国余りに導入したが、韓国では利用できない。

(中略)

Youtubeの料金制の韓国差別論議は以前から指摘が続いた。10月、ミン・ビョンドク共に民主党議員は報道資料を通じてYoutube家族料金制と学生料金制がなく、個人メンバーシップだけを販売する国は韓国とスロベニアだけとし「差別」と指摘した。

(中略)

昨年10月には消費者主権市民会議が「私たちと経済規模が似ている英国、フランス、日本などに提供するサービスと比べても差別は明確だ」として「家族プレミアム料金制は長い期間必要性が提起されただけにYoutubeは韓国消費者が当然享受すべき権利を無視してはならない」と明らかにした。

(後略)



メディア今日「유튜브 요금제 한국 이용자들은 차별받고 있다(Youtube料金制の韓国人利用者は差別を受けている)」より一部抜粋

インターネットプロバイダには階層概念があります。Tier 1と呼ばれるプロバイダが最上位階層で、インターネット上の全ての経路情報を持つ大動脈です。日本ではNTTコミュニケーションズがTier 1にあたります。
Tier 2以下のプロバイダはTier 1にデータ転送コスト(トランジット)を支払い、接続を仲介してもらいます。Tier 1同士の場合はデータの送受信コスト(ピアリング)のみが発生します。

韓国の根本原因は恐らくここにあります。IT強国を自認している韓国ですが、実はTier 1プロバイダが無いんです。
よって、韓国国内から海外...NetflixYoutubeなど主に米国のIT企業のサーバに接続すると、海底ケーブルを介して米国のTier 1ネットワークに入ることになります。韓国にはTier 2のプロバイダしかないのでトランジット費用が発生します。

韓国で「ネットワーク使用料」が取りざたされたのは、この「トランジット費用を誰が負担するのか?」の部分です。韓国はこの費用を「コンテンツ事業者」に負担させる法整備を進めました(一部、訴訟にまで発展しています)。
コンテンツ事業者としてはサービスを提供する上で発生するコストをサービス価格に転嫁するのは当然の行為ですよね?

コンテンツ事業者が負担するネットワーク使用料の価格がどのように決まるのかは分かりませんが、従量制の可能性があります。その場合、家族プラン(日本の料金の場合、個人プランが1,280円、家族プランが2,280円)の料金体系で成り立つとは思えません。


結局、Twitchの韓国撤退も、今回のYoutubeでも割を食った(?)のは消費者です。Youtubeの料金体系に割引が無いのは、「トランジット費用を消費者が負担する」状態になってしまっているからではないでしょうか?
だから自業自得...どころか、政治家たちが通した「ネットワーク使用料」法案のせいと言っても過言ではありません。

ところが、韓国内では「ネットワーク使用料」なんて呼んでいるせいか、コンテンツ事業者が回線に「タダ乗りしている」という認識になっていて、これが脱税のような「ズル」の印象で語られ、コンテンツ事業者が悪者かのように語られることが多いです。