HUGのジョンセ保証金返還保証保険の代位返済債務残高が4兆ウォン...2年で6.4倍に増加という話

住宅都市保証公社(HUG)というものがあります。その名の通り「公社」でして、韓国国土国交省傘下の公企業です。
住宅都市基金法を元に設立され、住宅保証機関として国民住宅福祉の向上と住宅市場安定のために運営されているそうです。

具体的には分譲契約者の保護を始め、未分譲住宅の買い取り、破綻した建築事業場の工事費用や分譲費用の払い戻しなどの保証業務を行っているそうです。
ここにはジョンセ金の代位返済も含まれます。もちろん、無条件に適用されるものではなく、保険商品として販売されているものです。事前に購入しておけば「万が一」のときにHUGが代わりに払ってくれる、そういう商品です。

HUG側からすると求償権を買い取るということですね。代位返済した後に請求権をオーナーに行使することで債権回収を行うのですが、2021から2023年の2年間で債権残高が6.4倍拡大し4兆ウォンを超えたたそうです。
しかも回収率も急激に低下していて、昨年時点で10%台にまで落ちています。
物件をオークションに掛けても回収しきれず、そのままHUGの損失となります。公企業ですから、基本的には独立採算を取っているはずですが、損失が大きくなれば補助金や負担金名目で税金が充てられる可能性はあります。

 



聯合ニュースの記事からです。

HUGが代わりに返済して回収出来なかった補償金4兆ウォン...回収率15%「ガクン」


(前略)

11日、国土交通委員会所属の共に民主党メン・ソンギュ議員がHUGから提出された資料によると、ジョンセ保証金返還保証保険の代位返済(借家人に保証金を先に返した後、賃貸人から回収すること)によるHUGの債権残高は昨年末基準で4兆2503億ウォンだ。

2021年末に6638億ウォンだった残額が2022年末に1兆3700億ウォンに増え、わずか2年で6.4倍増加した。

ジョンセ保証保険は家主が借家人に保証金を適時返済しないときにHUGが自主資金で先に借家人に返還し、その後2~3年掛けて求償権請求と競売を通じて回収する商品だ。

(中略)

ソウル内ではジョンセ詐欺が最も多く発生した江西区の債権残高が5237億ウォンで34.6%を占めた。続いて陽川区(1594億ウォン)、九老区(1555億ウォン)、衿川区(1389億ウォン)の順だった。

(中略)

2019年に58%だった年間回収率(当該年度の回収金/代位返済金額)は、2020年には50%、2021年に42%、2022年に24%へとますます減っている。昨年7月基準では15%と10%台にまで下がり、HUGの財政健全性が悪化している。

(後略)



聯合ニュース「HUG가 대신 갚고 회수못한 전세금 4조원…회수율 15% '뚝'(HUGが代わりに返済して回収出来なかった補償金4兆ウォン...回収率15%「ガクン」)」より一部抜粋

HUGが代位返済を行っているものだけですので、氷山の一角でしょう。みんながみんな、ジョンセ保証保険を利用しているわけではありません。(むしろ少数派かと)


先週、↓のような画像がオンラインコミュニティで共有されニュースになっていました。


記事中でジョンセ詐欺が最も多く発生したとされるソウル市の江西区です。赤いマークは全て「競売・公売」の物件。この一帯だけで236軒が対象となっていて、そのうち223軒が住居用だそうです。
「数字」ではなく「視覚」による情報だと、やはりインパクトが違いますね。