1台も飛ばされていないパトロール・ドローンによって「交通事故が減った」と主張する韓国国土交通部の話

旧正月連休中、韓国の交通事故が昨年より40%も減ったんだそうです。移動人数は10.2%増えたにも関わらずです。
そのこと自体は素晴らしいと思います。事故は、事故そのものが悲劇であるだけでなく、それで人生狂ったり、周囲に与える影響が長期・短期問わずとても大きいものですから。

しかし、事故が減った要因の分析が面白すぎです。国土交通部は報道資料に「ドローンによる交通巡察と取り締まり」を要因の一つに挙げているのですが、実はこの期間、ドローンは1台も飛ばされていなかったのだそうです。
飛んでもいないドローンによる交通監視で交通事故が減った、と公式に監督省庁が発表したのです。いい加減にもほどがあります。

 



MBCの記事からです。

国土交通部「ドローンで事故を減らした」...「一台も飛ばしてないのに?」騒然


国土交通部が昨日配布した「旧正月連休特別交通対策結果」の報道資料です。

国土交通部はこの資料で、特別対策期間の8日から12日まで、去年より10.2%増の3071人が移動したが、交通事故の発生件数は去年より40%、死者は30%減ったと説明しました。

国土交通部が交通事故減少の主な要因の一つとして名指ししたのは「ドローン覆面パトロール」です。

高速道路の上空にドローンを飛ばして交通巡察と取り締まりに活用した恩恵を受けたということです。

ところが、いざ今回の旧正月連休期間に高速道路には、取り締まり用ドローンがただの1台も運営されていないことが明らかになりました。

(中略)

一部メディアによると、道路公社の関係者は「ドローン取り締まりを中断した事実を国土交通部に明確に知らせることが出来なかった」としながらも「国土部に計画資料を提出するときは『ドローン取り締まり』内容を除いていた」と説明したと知られました。

しかし、国土部はこれに先立って6日に発表した「旧正月連休交通対策計画」には「サービスエリアやジャンクションなど、交通量の集中する区間39ヵ所に1日ドローン16台を運営し、取り締まりを推進する」という内容を盛り込みました。

(中略 ※一部は具体的な場所までアナウンスされていたことに触れ)

これに対して典型的な机上行政という批判が出ている中で、報道資料が出た後、国土部はホームページに掲載されていた報道資料から、ドローン部分を削除しました。



MBC「국토부 "드론으로 사고 줄였다"‥"한 대도 안 띄웠는데?" 발칵(国土交通部「ドローンで事故を減らした」...「一台も飛ばしてないのに?」騒然)」より一部抜粋

ドローンによるパトロールは2017年から行われていたそうなのですが、政府の個人情報保護委員会から「プライバシー侵害の可能性がある」との指摘が出たことを受け今回から暫定中断としていたそうです。

国土交通部も交通部ですが、道路公社側も公社側ですね。自分たちが提出した計画書と、国土部が出した計画資料が明確に食い違っているのに放っといたんですから。誰が計画責任者なのか、誰が担当窓口になっているのかハッキリしていないからでしょうね。

これは今回のことだけでなく、例のジャンボリーの運営問題などでも本質的な問題は同じことではないかと思います。