「韓国の経済状況は1997年の通貨危機以来、最も危険な状況にある」という話

韓国経済が「1997年の通貨危機以来、最も危険な状況」というコラムがありましたので紹介します。
韓国経済の抱える問題や諸外国との違い、現状認識について分かりやすくまとめられていると思います。

ただ、いつものことではありますが具体的な解決策には触れていません。
「輸出競争力を育て、内需市場の消費状況を改善しなければならない」「不良整理と構造調整も必要」「何より企業の革新が核心」「競争力を高める支配構造を作ることが優先」...などは書かれているのですが、ものすごくボンヤリしてますよね。
「競争力を育てる」「不良整理」「構造調整」なんて上手く行っていないどんな分野にも言えることで、結局何も言っていないと同じことです。

 



ヘラルド経済の記事からです。

亡兆の韓国経済…どういうつもりか「味気ない」バリューアップ


ニューヨーク証券市場が全世界の資金を吸い込んでいる。人工知能(AI)革命と半導体革新をマイクロソフトNVIDIAなど、米国の看板企業が主導したためだ。アップルとテスラの不振にも関わらず、S&P500とダウ・ジョーンズが史上最高値を更新した。ナスダックも2021年に最高値に近付いた。今年の米国3台指数はいずれも新記録を打ち立てそうだ。

(中略)

日本の証券市場も1989年に記録した最高値を35年ぶりに上回った。欧州証券市場はドイツ経済のマイナス成長にも関わらず、史上最高値を更新した。私たちと構造的に似ているという台湾証券市場もTSMC株価が急騰し記録を塗り替えている。主要国の中で証券市場が低迷しているのは韓国と中国だけだ。

(中略)

2022年のロシア・ウクライナ戦争で供給不足のインフレに直面した米国は攻撃的な基準金利引き上げに乗り出す。ドル高の要因だ。輸出より輸入の多い米国は、ドルの価値を高めれば輸入物価を安定させることが出来る。金利が上がれば民間経済は利子負担が大きくなり消費が減り企業実績が不振になりかねない。

(中略)

米国の家計はグローバル金融危機を経験し負債も大幅に減らした。新型コロナウイルス感染症の期間には全世界で最も多くの政府支援金まで受け取った。金利が高くなっても家計負担は制限的であり、消費余力は十分だった。その代わり、政府負債が急増したが、ドルはグローバル基軸通貨だ。通貨量が増加してもドルの信頼が揺らぐ危険はほとんどない。結局、連準の緊縮的通貨政策はディスインフレーション(disinflation)を成し遂げたが、高金利による景気萎縮もなかった。

(中略)

中国は改革開放後、「世界の工場」の役割を果たし、高成長を成し遂げた。金を稼ぎながら投資も増えた。グローバル金融危機を経て、設備投資の過剰と無分別な不動産開発の副作用が明らかになった。経済の効率が下がり、消費も萎縮した。習近平政府の社会主義政策の強化と米中対決で海外資本も離脱している。成長が鈍化し経済活動の動力が落ちるデフレーション(deflation)局面だ。

(中略 ※米中対立の貿易戦争で工業製品製造の競争が激化していることに触れ)

▶不良は雪だるま式、競争力は喪失…危機の大韓民国

米国など西側と中国が対立した貿易戦争で、韓国は非常に不利な位置だ。戦争に勝つためには格別な競争力を持たなければならないが、主要産業を調べるとあまり勝算が高くないように見える。内需市場は競争力を失って消費が委縮し、海外消費は急増している。

金融投資も国内証券市場より米国など海外に集中している。EUや日本と違い米国と無制限の通貨スワップも結んでいない。ややもすればドル需給が絡まって為替レート急騰と外国人資本離脱に直面することになる。世界最大の家計負債負担に不動産プロジェクトファイナンス(PF)の不良、株価連携証券(ELS)と海外不動産投資で発生した損失も雪だるま式だ。少子高齢化社会保障の財政負担は着実に増えているが、その核心である年金と健康保険の改革は遅々として進まない。

韓国の経済状況は1997年の通貨危機以来、最も危険な状況にある。危機克服のためには何よりも企業の革新が核心だ。輸出競争力高め、内需市場の消費環境を改善しなければならない。政府は革新を支援し、経済外交を安保水準に格上げする必要がある。金融や投資関連の不良整理や構造調整もこれ以上遅らせず着実に片付けなければならない。株主のための政策の最優先課題は成長だ。成長してこそ配分(還元)も意味がある。競争力を高められる支配構造を作ることが優先だ。



ヘラルド経済「망조(亡兆) 든 한국경제…어쩌자고 ‘맹탕’ 밸류업을[홍길용의 화식열전](亡兆の韓国経済…どういうつもりか「味気ない」バリューアップ)」より一部抜粋

経済外交を安保水準に引き上げるべき、という指摘は最もです。
著者が指摘しているように「主要国の中で証券市場が低迷しているのは韓国と中国だけ」なのは、韓国がずっと言ってきた「安米経中(安保は米国、経済は中国)」の結果です。ずっと中国寄りの経済政策を続けた/続けるべきだと主張した結果、見事に経済は中国と連動したわけです。(ある意味、望み通り?)
バリューアッププログラム云々、競争力云々も大事ですけど、経済が中国と連動している現状の意味と原因をもっとよく考える必要があるのではないでしょうか?

本来、韓国のような国...という言い方は少し失礼かもしれませんが、一般論として周囲を大国に囲まれている国は、その時々に応じて自国に「一番都合の良い国」に連動するのが賢い動きでしょう。
であれば、中国経済に連動するのは「中国が景気の良いとき」だけで良いはずです。なのに、なぜか韓国は中国の景気が傾き始めた今も「経済は中国」に依存しようとしています。
すごく不思議であると同時に、これが刷り込まれた事大主義思想によるものか、という気もしています。