ASEAN向け輸出が4ヵ月連続でマイナス成長...対中輸出悪化の裏で、こちらも雲行きが怪しいという話

韓国の4大輸出先は中国、ASEAN、米国、EUです。国交正常化後の30年間で162倍に増加した中国の陰に隠れてはいますが、ASEANも中国に次いで2位の輸出規模となっています。
昨年は初めて対中貿易が赤字転落したことで大騒ぎになりました。そして、やはり中国の陰に隠れてしまっていましたが、実は対ASEAN貿易も結構な勢いで悪化しているようです。

 



中央日報の記事からです。

韓国の2位輸出市場、ASEANまで崩壊


厳しい輸出寒波が半導体・中国を超えて他の分野まで飲み込む勢いだ。中国の後ろで持ちこたえていた「2位輸出市場」ASEAN東南アジア諸国連合)まで揺れる様相が明確になった。ASEAN向け輸出が4ヵ月連続で逆成長を続け、今年の輸出全般に警告灯が灯りかねないという懸念が高まっている。

核心成長エンジンである輸出が揺らぎ、韓国は今年の経済成長率がアジア主要12ヵ国のうち最下位に墜落する非常事態に直面している。

(中略 ※海外の主要投資銀行IBが出した韓国の成長率予想平均は1.1%で、「低成長の象徴」日本(1.3%)にも劣る数値であることに触れ)

反転の機会を見つけるのは容易ではないというのが問題だ。半導体を中心とした輸出不振、エネルギー輸入による赤字累積、依然として高い物価と金利、不動産景気可能、消費不振まで韓国経済を妨げている障害物が多い。低出生高齢化と相まって低成長が深く根付く危険も高まっている。

何よりも中国への依存度を減らし、代替市場として挙げられていたASEANに対する輸出減少は突発的な危機状況だ。

(中略)

昨年の対ASEAN輸出額は1249億2000万ドルで、2021年の1088億3000万ドルを超え最大記録を立てた。年間貿易黒字も423億8000万ドルで米国(280億4000万ドル)などを抜いて韓国最大の黒字市場に浮上した。

しかし、ASEANも昨年末から異常信号が現れ始めた。10月(-5.7%)から輸出が前年同期比で減少傾向に転じ、今年1月に入って-19.8%と減少幅が大きくなった。4ヵ月連続で輸出が減ったのはCOVID-19流行初期の2020年3~8月以後2年余りぶりだ。輸出が減り貿易収支も悪化している。昨年7月まで月40億ドル台を維持していた対ASEAN貿易黒字は昨年12月の25億7000万ドルに続き、先月は11億3000万ドルに落ちた。

(中略)

中国輸出の減少に続きASEAN輸出の減少まで重なり、韓国輸出全体が下方曲線を描くことになった。韓国の輸出は昨年10月以降、4ヵ月連続でマイナスを記録しており、先月は最大の減少幅(-16.6%)を記録した。貿易収支は11ヵ月連続で赤字行進を続けている。1月の貿易赤字(126億9000万ドル)は歴代月間最大を記録した。

クァク・ソンイル対外経済政策研究院経済安保戦略室長は「ASEANは韓国の残った最後の輸出砦と同じ。ASEANへの中間財輸出が停滞し、ベトナムなどで中国産輸入比重が増えることが最も憂慮される点」とし「政府はASEAN全体を束ねるサプライチェーンと投資環境準備に積極的に参入しなければならない」と話した。



中央日報「한국의 2위 수출시장 아세안마저 무너진다(韓国の2位輸出市場、ASEANまで崩壊)」より一部抜粋

なにもかもが急激...本当になんでなんでしょう?

それはともかく、ASEANと一括りにしていますが、特にベトナムを重要視しています。
韓国の対ベトナム輸出は2015年頃から急成長していて、同年に日本を抜いて単一市場としては韓国3位の輸出市場になったと記憶しています。今年も輸出成長率6%を目指す、とかなんとか。

そんなベトナムの最大の輸入国は中国です。「中国産輸入比重が増えることが最も憂慮される点」からも分かるように、韓国はベトナム市場において中国と競争しているわけです。やはりと言うか、ここでも韓国の「包容政策」のチグハグさを感じます。