香港ELS被害投資家ら「100%賠償」求めた抗議行動が一部で過熱化している話

香港ELSで被害を被った投資家らの行動が過熱化しています。
現時点で発表されているのは当局からの基本賠償案のみで、各金融機関からの賠償案内はまだのはずですが、すでに「100補償」を要求しデモを行ったり、一部の金融機関に対して預金を全額引き出したり、一部で営業妨害とも取れる行動が目立つようです。

 



時事ジャーナルの記事からです。

「100%補償」を叫んだELS加入者…営業店舗で騒動も


(前略)

15日午後12時、ネイバーカフェ「香港ELS関連被害者の集い」を中心に結集した加入者はソウル中区農協銀行本店前で「対国民金融詐欺糾弾集会」を開き、市中銀行のELS不完全販売を糾弾した。

(中略)

金融監督院の紛争調停案が発表された後、初めて開かれた今回の集会では賠償比率と関連した指摘も続いた。11日に発表された紛争調停案によると、賠償比率は販売会社要因(最大50%)と投資家要因(±45%)などを考慮して0~100%まで差別的に行われる。

ELS被害者会のキル・ソンジュ委員長は立場文を出し「被害者はすでに数回にわたり金融当局と言論に資本市場法、金融消費者法、指針など不法販売根拠を提示し不完全販売形態を糾弾した」とし「いったい何を根拠に賠償案を用意したのか問わざるを得ない」と抗議した。

(中略)

この日集まった被害者の中で農協銀行ELS加入者数十人は農協銀行本店内に入り一括的に抗議性預金引き出しと口座解約をする「バンクラン」を進行した。この過程で加入者と警察、農協銀行側の保安要員がもみ合って一騒動も起こった。

当初、被害者の会は安全上の問題で警察側と15人ずつ順に農協銀行本店に入り、口座解約などをバンクランを進めることで協議した。農協銀行も該当協議内容を土台に営業店出入りに協力した。しかし「顧客が預けたお金を引き出すというのになぜ阻むのか」として追加入店を望む加入者が発生し、これを制止している間に言い争いと大声が行き交った。

農協銀行関係者は「すでに15人ずつ入場させ、営業店に30人以上の顧客がいた状況で追加で進入しようとする加入者の安全管理をして起きたこと」とし「以後、被害者会の要請を受け入れ50人余りを追加で入店させた」と説明した。

ELS被害者の集い関係者は「事前協議内容とは異なり保安要員が加入者の入店を阻み始めた」として「その過程で若干の騒動があった」と伝えた。

(後略)



時事ジャーナル「“100% 보상” 외친 ELS 가입자들…영업점 진입 놓고 소동도(「100%補償」を叫んだELS加入者…営業店舗で騒動も)」より一部抜粋

私はこの件に対しては申し訳ないのだけれど、投資家側にあまり同情できません。なぜなら「デリバティブってそういうもの」との認識があるからです。むしろ、元本割れで済んで良かったね、とすら思っていたりします(デリバティブ追証と言って、元本以上の損失が発生する可能性があるハイリスク商品)。
そういう危険性を購入者が把握していなかった、販売側が説明責任を怠った、というのが被害者側の主張なんでしょうけど、どうもそういった過失が認められるケースと言うのは多くないらしいんですよね。
まあ、普通に考えて商品案内パンフレットなりシオリなり受け取っていないとは考えにくいですし、契約書にサインしているはずですから...。

過失が認められるケースは、きちんと賠償されるなりすべきと思うのですが、そうでないケースは少なくとも「デリバティブ」と分かる説明はされていたのではないかと私は思っていまして。そうでないと商品内容の意味がそもそも理解できないはずだからです。

もし本当に「デリバティブが何か」を理解していなかったのだとしたら、私は今騒いでいる人たちを「よく分かりもしない商品を購入した」人たちと見なします。これはもう論外です。
よく分からないものや、少しでも怪しいと思ったものは避けるべきです。(余談ですが、昔、私もM〇RS投資を勧められたことがあります。もちろん、銀行じゃないですが。スルーしといて良かったと数年後にしみじみ思いました。スルーしたのは「よく分からない点」があったからです)

少し極端な例ですが、例えばAmaz〇nや楽〇で「よく分からない商品」を購入したとしましょう。理由は「おすすめ」に表示されたから。自分に必要か、何に使うのか、どんな商品かなど全く考慮せずに。
「よく分からない」ままに使い続けて、そのうち壊れたとして...「全額保証して」「事前に商品説明が無かった」「Amaz〇nに接続したら『あなたへのおすすめ』と表示されたから買った」なんてあり得ますか?私はあり得ないと思うんです。
そもそも「よく分からない商品」を購入することが無いでしょう?ネタならばともかくとして。そういうことです。