7ヵ月連続「輸出+」...輸出は「回復」したのか?という話

韓国の4月の輸出が昨年同期より13.8%増加し、7ヵ月月連続で輸出プラスとなったそうです。

この件を報じた記事の内容を一言で表すと「やった」となるのですが、本当にそうなんでしょうか?

 



聯合ニュースの記事からです。

7ヵ月連続「輸出プラス」...自動車輸出歴代最大に半導体も好調


(前略)

4月の輸出額は562億6千万ドルで、昨年同月より13.8%増えた。

月の輸出増加率は、昨年10月のプラス転換以来、7ヵ月連続でこのような流れを続けている。

核心主力品目である半導体輸出も昨年の不振から完全に抜け出し、6ヵ月連続で増加傾向を続けた。

4月の半導体輸出額は99億6千万ドルで、昨年同月比56.1%増加し、歴代4月中に2番目に高い実績を報告した。

(中略)

ディスプレイ(16.3%)とコンピューター(76.2%)はそれぞれ9ヵ月、4ヵ月連続で輸出が増加し、無線通信機器(11.4%)の輸出も2ヵ月連続増加した。

電気自動車の販売増加傾向の鈍化で2、3月にマイナスを記録した自動車輸出は4月に67億9千万ドルで、前年同月比10.3%増加し、過去最大額を更新してプラスに転じた。

(中略)

自動車をはじめ、バイオヘルス(21.3%)の輸出が今年初めて二桁の増加率を記録したのをはじめ、石油製品(19.0%)、石油化学(12.3%)、家電(9.4%)、船舶(5.6%)、自動車部品(2.9%)、繊維(1.7%)、一般機械(1.5%)など韓国の15大主力輸出品目のうち13品目が増加した。

ただ、二次電池(-20.1%)と鉄鋼(-5.7%)の2品目は輸出が後退した。

地域別では二大輸出国である中国と米国への輸出が共に増加した。

対米輸出は昨年より24.3%増加した114億ドルで史上最大を記録し、9ヵ月連続増加の流れを続けた。対中国輸出は昨年より9.9%増の105億ドルで、2ヵ月連続で100億ドルを超え輸出増加の勢いが続いている。

対中輸出も回復傾向だが、強い対米輸出好調が続き、4月も対米輸出が対中輸出より多かった。

(後略)



聯合ニュース「7개월 연속 '수출 플러스'…車 수출 역대 최대에 반도체도 호조(종합)(7ヵ月連続「輸出プラス」...自動車輸出歴代最大に半導体も好調)」より一部抜粋

一方で、輸出は好調なのに内需では実感しにくいという記事もチラホラ見かけます。
当たり前です。輸出は回復してないのですから。騙されてはいけませんよ、韓国の輸出は回復していません。大事なことなので2度言います。回復していません(ダメ押し)。

ポイントは「前年同期比」です。昨年があまりにも悪すぎたので「錯視効果」によって、あたかも回復しているかのように見せかけているだけです。
実際は2022年より悪化しているのですから、そりゃ内需回復なんて実感できるわけがないのです。

ちょっと下の画像を見てみて下さい。


これは産業通商資源部が出している「輸出入動向」資料です。四角で囲ってある部分にご注目を。
1枚目が2022年2月、3月と2023年2月、3月の輸出比較です。マイナスになってますね?
2枚目が2023年2月、3月と2024年2月、3月の輸出比較です。プラスになってますね?これだけ見ると記事に偽りはありません。

では、2022年2月、3月と2024年2月、3月を比較してみるとどうなるでしょう?そう、マイナスです。2024年2月、3月の実績は2022年には届いておらず、それぞれ3.3%と11.2%のマイナスとなっています。
画像には載っていませんが、2024年4月の実績は562億ドル、 2022年の4月は578億ドルでしたから、こちらも2.7%のマイナスです。

つまり、2022年基準で見ると輸出は「回復していない」んです。そりゃ、実感できないはずですよ。