金利を0.25%引き下げた韓国、韓銀総裁は年内追加引き下げの可能性を「一蹴」の話

11日、韓国銀行は政策金利を0.25%(3.5%→3.25%)引き下げることを決定しました。
気の早いメディアは既に年内追加引き下げの可能性を分析していたりします。というのが、9月のFRBの引き下げ率(0.5%)を一つの目安にしていたからです。

金融通貨委員会の記者会見で、どこのメディアか分かりませんが韓国銀行総裁のイ・チャンヨンさんに直接「なぜ0.5%引き下げではないのか?」と質問した記者がいたようです。
イ・チャンヨンさんは
「(韓国は)米国のように0.5%ずつ基準金利を下げる状況ではない」
「米国はインフレが10%以上上がり、金利を5%以上高めた」
「だから金利引き下げ速度が速いのは当然だ」
「韓国も0.5%落ちるだろうから、お金を借りても問題ないと思ってはならない」
と答えたとのこと。「うちはうち、よそはよそ」と当たりまえのことを言っただけですが、この当たり前が分からないのが韓国というお国柄。(そういう意味では、国際金融での経験が豊富なイ・チャンヨンさんは貴重な存在と言えます)

また、期待されている「追加の引き下げ」についても委員5人が現水準を3ヵ月は維持するのが良いとの意見を出したとのことで、年内の追加引き下げに勝手な期待をしないようけん制しました。

 



ニュース1の記事からです。

「利下げ逸機論」一つ一つ反論した韓銀総裁…「1年後に会いましょう」


(前略)

13日、韓銀によればイ総裁は11日、金融通貨委員会会議以後の記者懇談会で引き下げ逸機論に対して一つ一つ反論した。

(中略)

8月、金融通貨委員会が金利を凍結すると大統領室は異例的に「残念だ」という反応を出すなど政府・与党で逸機論が提起された。国策研究機関である韓国開発研究院(KDI)も、内需不振の長期化の最大の理由を高金利として挙げ、着実に金利引下げの必要性を提起してきた。

反面、韓国銀行は家計負債増加幅と住居価格上昇の可能性を理由に金利凍結を「適切な措置」と評価し実技論に反論した。

イ総裁も逸機論に対して「私たちが実技をしたか、しなかったかということは内需に重点を置いて通貨政策をする時点なのか、それとも金融安定も一度に考慮しながらするのかによって評価が変わるだろう」とし「このような判断が正しかったのかは今すぐには評価しにくいだろうし、1年程度時間が過ぎて私たちの景気状況とそして金融安定をどの程度達成したのかについてそれを見て評価してほしい」と強調した。

(中略)

イ総裁は、韓銀が金利をさらに引き上げず、高物価がもたらされたという批判に対しても言及した。

これに対して彼は「この2年間のインフレを安定させる過程はすでに一サイクルが終わったと考える。 私たちはどの国より早く物価目標2%を達成し、その過程でプロジェクトファイナンス(PF)不良や外国為替市場不安問題も大きな問題なく管理した」として「PF不良憂慮が深刻な状況で金利をさらに大幅に引き上げたとすれば自営業者の苦痛と内需不振がはるかに深刻だっただろう」と反論した。

(中略)

11月に追加引き下げの可能性を尋ねると、イ総裁は「金通委員5人が3ヶ月間基準金利を現水準で維持した方が良いという意見を出したということで返事を代わりにする」として事実上年内追加引き下げの可能性を一蹴した。



ニュース1「'금리인하 실기론' 낱낱이 반박한 한은 총재…"1년 두고 봅시다"(「利下げ逸機論」一つ一つ反論した韓銀総裁…「1年後に会いましょう」)」より一部抜粋

正直、イ・チャンヨンさんはすごく頑張っていると思います。韓国政府も金融監督院もダメダメな状況で、もし今、韓国銀行総裁がイ・チャンヨンさんじゃなかったら、韓国はもっと深刻な状況になっていたのじゃないかしら?と本気で思っています。

韓国銀行総裁の任期は4年。イ・チャンヨンさんは2022年4月1日就任なので任期満了まで1年半を切りました。
前任者は2期連続で務めているので、次もあり得るといえばあり得ますが...政府の金融政策に対しても真っ向から批判する舌鋒の鋭さがありますからどうでしょう?