公捜処が「日和った」話

ユンさんへの逮捕状の期限最終日です。まだ今日が終わった訳ではありませんが、公捜処は期限延長の手続きに入ったようですので、恐らく本日の執行は無いのではないかと思っています。

で、昨日夜から本日夕方までにかけてバタバタと...何か事態に動きがあったわけではないのにバタバタとだけしていました。
というのも「期限までに絶対逮捕状を執行する」と息巻いていた公捜処が、肝心の逮捕状執行を警察の国家捜査本部に丸投げしようとしたのです。「公文で送付」したと報じられていますが、どうやら何の事前連絡もなしにFaxで送りつけたらしいです。

なんだそれ?って話ですよね。(Faxにしても、普段は「日本は遅れてる」の代名詞に使っているのにねぇ?)
私には警察に押し付けることで責任逃れをしようとしている風に見えてしまいました。

しかし、令状発行は公捜処が受けたものです。いくら警察と共助捜査体制を取っているとしても執行主体が変更となる事が法的問題となる可能性があるとして、警察側で議論となっていました。

結局、公捜処は警察への令状執行委任を取り消しました。元通りで何も変わっていません。ただバタバタと関係者を振り回しただけです。

 



ファイナンシャルニュースの記事からです。

公捜処、「ユン逮捕令状を警察に一任」を1日で撤回…事実上の原


(前略)

公捜処は6日午後、マスコミの公示を通じて「公捜処法、刑事訴訟法など独自法理検討の結果、令状執行指揮権が排除されることはないと判断し、(警察に)公文書を発送した」とし「ただ本件のように重大な事件捜査に小さな論難の素地も残してはならないという点で国家捜査本部と意見を共にする」と明らかにした。

これに先立ち公捜処は、同日午前のブリーフィングで、前日夜9時頃、国捜本にユン大統領の逮捕令状執行を一任する内容の公文書を発送したと明らかにした。公捜処がソウル西部地裁から発給された逮捕令状の有効期間はこの日の深夜12時までだったが、期間満了を控えて2次執行に出る代わりに令状執行権限を警察に渡す方案を選んだのだ。

(中略 ※1月3日の令状執行が警護処の警護に阻まれ失敗した状況に触れ)

このため、公捜処は警護処に対する指揮監督者であるチェ・サンモク大統領権限代行に警護処が逮捕令状の執行に応じるよう命令することを要求したが、チェ代行から何の返事も得られなかった。警護処が「捜索不許可」の立場を固守するだけに、公捜処で令状執行には限界があると判断し、令状執行の専門性・現場指揮体系の統一性などがある警察に一任したと説明した。

イ次長は「公捜処法47条と刑事訴訟法81条、200条の2によって、公捜処検事は請求して発給された令状の執行を司法警察官に指揮、事実上一任できる」とし「チェ代行から警護処の協力に対する返事を受けることができず、警察の令状執行の専門性、現場指揮体系の統一性などを総合的に考慮した時、執行を一任した方がより効率的な手続き進行を図ることができると判断した」と話した。

しかし、このような決定を巡り、警察側では「公捜処が送った公文書に法律的な議論がある」とし、事実上、執行拒否の意思を明らかにした。逮捕令状の執行主体は公捜処なので、警察に執行指揮を一任することは法律的問題があると見たのだ。

(中略)

警察が公捜処の要請を断ったことでユン大統領の逮捕は事実上原点になった。ただ、公捜処が逮捕令状の有効期間延長を申請すると明らかにし、警察も2次令状執行時にユン大統領の逮捕を積極的に試みると明らかにしただけに、今後、共助本体制の下で2次逮捕の試みが行われるものとみられる。

(後略)



ファイナンシャルニュース「공수처, '尹 체포영장 경찰 일임' 하루 만에 철회…사실상 원점[종합](公捜処、「ユン逮捕令状を警察に一任」を1日で撤回…事実上の原点」より一部抜粋

公捜処側は警護処の処長の任務解除を求めたり、刑事告発を行うなどしていますが、それでも警護処は「強い対応」を宣言しています。
曰く、「国民によって選ばれた現職大統領はそれに応じた警護を受けるべきである」とのことです。
確かにユンさんは国会で弾劾案が可決されましたが、憲法裁判所が弾劾と正式に判断したわけではありませんので「警備対象」という理屈でしょう。そもそも公捜処に捜査権は無いので、警護処からしたら不法侵入しているのは公捜処側ということになります。

平たく言えば、公捜処は「日和った」ということです。体を張って警護に当たる人たちと、高学歴でご立派な肩書を持っていてもデスクワークしかしない文官とでは肝の座り方が違います。