先日、韓国海洋警察官の一人が、深夜、干潟に取り残された観光客と思しき人物の救助に向かい、命を落としました。
当時は満潮の直前で、警官は自身の救命胴衣を遭難者に着せ、徒歩で岸に向かっていたそうです。遭難者はその後、無事救助されたものの警官は心肺停止状態で発見されました。
この警官の行動自体を批判するものではありません。責任感の強い人だったのだろうと思います。
しかし、正直、この報道を読んだときには違和感しか感じませんでした。
一点目は、なぜ警官は「一人」で現場に向かったのか、ということです。遭難者は見回りドローンパトロール(多分、委託を受けた民間業者)により発見され、通報を受けた警官は現場に向かっています。通常、二人一組で行動するはずです。
二点目は、なぜ「徒歩」で向かったのかです。当時は満潮直前で水位が上がっていました。ドローン映像でも水位が上がっていることが確認できるのに、なぜボートを出さなかったのか?です。遭難者を救助するために最終的にヘリまで出動しているのに、初動でボートをケチる理由が分かりません。
三点目は、この報道が最初に出た際、メディアは警官が「救命胴衣を譲った点」のみをクロースアップし、彼の「自己犠牲精神」を賞賛するだけで、上記のような疑問を呈することが無かった点です。
変だなぁ...と思っていたら、案の定と言いましょうか「口止めの指示があった」という話が出てきました。理由は「英雄が必要だから」だそうです。
アジア経済の記事からです。
中国人に救命胴衣を譲って殉職...「『英雄』を作らなければならないので事件に沈黙せよ」暴露
干潟に孤立した70代の中国人を救助して死亡した海洋警察官の故イ・ジェソク警査(34)事件と関連し、警察内部の隠蔽の試みがあったという同僚たちの暴露が出た。
(中略)
仁川海洋警察署永興派出所でイ警査と共に事故当時、当直をしたチーム同僚4人は15日仁川東区の葬儀場で記者会見を行い「この間、永興派出所長からイ警査を『英雄』にしなければならないので事件と関連して口止めしろという指示を受けた」と明らかにした。
(中略)
それとともに「交番所長が初めて(事件)緘口を指示したのが、行方不明になったイ巡査部長が救助された後、救急室に移送中だった」とし「交番所長が永興交番として使うコンテナの後ろに私たちのチーム員と捜索で非常招集された他のチーム員を呼び、(仁川海洋警察)署長の指示事項という内容を聞いた」と明らかにした。
同僚たちは、仁川海洋警察署長からも口を閉ざすよう指示を受けたと主張した。イ巡査部長と当時当直をしたあるチーム員は「イ巡査部長の知人に会うと仁川海洋警察署長と交番長が『どんな関係か』と尋ねた後『遺族たちにいかなる話もするな』と指示した」と話した。
(中略)
チーム員たちは、担当チーム長が迅速な対応をせず、救助が遅れたと主張した。チーム員たちは「チーム長は休憩時間を終えてコンテナに復帰したのに、イ警査の状況を全く共有しなかった」とし、「数分後にドローン業者から申告を受け深刻な状況であることを認知した」と話した。それと共に「私たち海洋警察はパトロールを2人1組することになっており、甚だしくは食事をしに行ったり、コンビニ移動の時も一人で移動する場合がない」とし「このような場合は初めてで、事件発生直後に(チーム長が)交番内にある非常ベル一つだけ押していたら(休憩人員)皆が起きて状況に対応したはずだが、そうではなかった」と話した。
(中略)
これに対し海洋警察庁は「この間、遺族に閉鎖回路(CC)TV、無線録取録、ドローン映像など事故関連現時点で可能な関連資料一切を提供した」として「仁川海洋警察署長と交番長が内部真実を隠蔽しようとしたという疑惑が強く提起されたが、署長は全く事実無根という立場を明らかにした」と説明した。イ・グァンジン仁川海洋警察署長は以後、別途の立場文を出し「真実隠蔽は全くなかった」とし「真相調査団などの調査に積極的に協力し、すべての実体を糾明する」と明らかにした。
(後略)
アジア経済「중국인에 구명조끼 양보하고 순직…"'영웅' 만들어야 하니 사건 함구하라" 폭로(中国人に救命胴衣を譲って殉職...「『英雄』を作らなければならないので事件に沈黙せよ」暴露)」より一部抜粋
隠ぺいは無かったのかもしれませんけれど、人災はあったかもしれませんね。ルール通りに運営されていなかったのですから。
もう一つ別のソースでは、短いですがドローンが撮影した映像が見られます。警官が遭難者を背負って(足を負傷していたそうです)避難しようとして上手くいかなかった様子です。
警官は自身の救命胴衣を遭難者に着せ、手袋を負傷した足に履かせています。その時点で水位は腰のあたりまで到達。素人目にも応援が必要そうに見えます。
水位はその後もみるみる上昇し続けます。この間およそ33分あったそうです。
この映像が存在しているということは、ドローンは近くで状況をモニタリングしていたということです。場所も状況も分かっていたのに、なぜ応援が送られなかったのでしょうか?