韓国が根拠なくイチャモンを付けて来るネタの一つにアルファベット表記の「Korea」に関するものがあります。
ヨーロッパの古い文献ではもともと「Corea」だったのが、日帝時代に「Korea」に変えられた、という主張です。
アルファベット表記順に並べたときに「Japan」の後ろになるようにしたに違いない、という理由からですが、もちろん根拠はありません。
「Coreaという国号を回復すると、独島・東海問題を解決する」という謎なコラムで、またまたこの主張が持ち出されていました。
結論から言うと、これは日本は関係ありません。
「英語」という言語の国際的地位の変遷の問題と、その特質によるものです。
「Corea」表記の文献として持ってくるのは中世ヨーロッパの記録物です。
この頃はラテン語が欧州における共通言語で、英語は「粗野な言語」として一段低く見られていました。
なにせ新約聖書、旧約聖書が原典から英語へ直接翻訳されたのは16世紀に入ってからやっとです。
イギリスの教会で使われるのはラテン語であり、更に上流階級はフランス語を用いていた時期もあります。
この頃、欧州で知識人・教養人の間で実質的な共通語として機能していたラテン語は、もともと「K」という文字がなかったので「Corea」と表記しました。
後にギリシャアルファベットのK(カッパ)が用いられるようになり、ラテン語から派生した現代イタリア語やスペイン語、ポルトガル語などでは外来語を「K」で表記するのが一般的になっています。
日本語で外来語をカタカナ表記にするのと似た感覚です。
その後、英語が世界共通言語として影響力を高めていきます。
大英帝国の勢力拡大とその繁栄、更に大英帝国の繁栄に続いて世界をリードした米国の影響によるものです。
東アジアにおいて英語圏の勢力が影響力を強めていくのは18世紀後半からになります。
英語が大きな影響力を持つようになった頃にはアルファベット「K」は一般的です。
英語は一部の単語を除けば、日本語の「カ行」の音を表す外国語表記に「K」を使います。
これはイタリア語、スペイン語などと同様にラテン語の影響と思われます。
ですがいつ頃からか、英語とドイツ語などのゲルマン語派では「k」の音を「K」で表記するのが一般的になっています。
イタリア語などは、既に歴史的に「Corea」という表記が定着していたのでわざわざ「C」を「K」に直す動きは見られなかったものと思われます。
ですが英語にしてみれば、コリアは新しい外来語です。
古い英字新聞を調べてみると 「Corea」と「Korea」の表記が乱立している時期があるそうです。
本来外来語である外国の国号をルールに則って「K」表記に統一していったとしても何ら不思議はありません。
以上のことから 「Corea」を「Korea」に変えたのは日本ではないというのが私の認識です。
というか、変わってすらいませんよね。
ロマンス派言語では今でも「Corea」表記ですから。
このネタで騒ぐのは、騒いでいる人がいかに「英語偏向思考」で「視野が狭く無教養」かということを示していると感じます。